第1話 魔女と救国の聖女(仮)
「ひぃぃぃぃぃ。魔女さんやり過ぎですよぉ~~。」
少女は野営地の端で泣き叫ぶ。
ただし、少女の声が小さいのか味方の兵士達は起きるような素振りもないし、見張りの兵士達もその声に気づく様子もない。
「うるさいわね。いつも声が小さいのにこんなに叫ぶんじゃないわよ。こんなことのために結界を張らなきゃいけないなんて...。」
黒のドレスに身を包んだ黒髪サイドテールの少女は耳を塞ぎながら泣き叫ぶ少女の頭にゲンコツを入れる。
少女の泣き声が周辺の兵士達に聞こえなかったのはこの「魔女さん」と言われた少女の結界によるものである。
「ひぃぃぃぃぃ。死んでしまいますぅ~。明日には処刑ですぅ~~。王太子殿下を脅迫したてぇぇぇ。」
「はあ、大袈裟ね。ランスをブルゴーニュ公に押さえられている地点であの王太子には正統性はないの。最高戦力になる私達の方が立場が上なの。」
「でもぉ~。私はぁぁぁないもべきないのでぇぇぇぇ。ごべんなさいぃぃおとうしゃぁぁぁんおかぁしゃぁぁぁんんんん。」
「はぁ~。ジャンヌ・ダルク!。」
魔女は少女の頭に二度目のゲンコツを降らせ、名前を叫ぶ。
「えっぐ。ひっぐ。」
ジャンヌ・ダルク
後のフランスにおいて、フランス革命の際に救国の英雄として祭り上げられる少女...のはずであるが、今は涙をこらえるのに精一杯のようである。
美しく伸びた薄い金色の長い髪にエメラルドグリーンの瞳。見た目だけであれば神の使わした少女で間違いない。
「いい?貴女は神の声を聞いた少女。そして、この国を救う英雄になるの。」
「...えっぐ....。」
「その第一歩としてオルレアンを解放するの。そして、私はそこにいる魔女を殺して色を奪うの。いい?」
「(コクコク)」
ジャンヌは大きくうなずく。
「良い子ね。それじゃ...。」
魔女が「寝よう」と切り出そうとしたところで
「で、ででも。私達が勝てば不敬罪でぇぇぇ、しょ、しょ、しょっけいですよぉぉぉ。」
「...。」
後に百年戦争に終止符を打ち勝利王とまで呼ばれるようになった王太子シャルルに天を仰がせた魔女。
しかしながら、その魔女を持ってしてもジャンヌ・ダルクという少女を御すことはできない。
「さて...明日はオルレアンなんだけど...。寝れるのかしら?」
魔女は王太子シャルルと同じように天を仰いだ。
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フランス王国 オルレアン周辺
「ったく。どいつもこいつも面白くねーな。まあ、ブルゴーニュの方に大半の占星術師は寝返ったんだったけ?アクレシア家も教会内部の闘争でシノンを守る分を回すだけで精一杯みたいだからな。」
深紅のドレスを身にまとった女性はフランス王国の精鋭ともいえる占星術師を葬り去り月見酒...ヤケ酒であった。
「おやおや、飲み過ぎは体に触りますよ。」
「んあ?てめぇ。本当に来るんだろうな?」
「はい。もちろんです。そのために情報をシノンに流しておきましたからね。
えぇ。」
「“黒”のやろうの後釜か?」
「いや、そこは魔女の貴女達しか知らないと思いますけどね。えぇ。」
「まあいい。どちらにせよ、魔女の器にないなら殺す。」
“赤”
又の名を―罪血の魔女―
ここまで読んでいただきありがとうございます。
レビュー?とか評価?とかしてもらえるとうれしいです。(システムをよく理解できていない)
それでは、どうぞ皆様よしなに。




