まだダンジョンに入ったばかりよ そんな大きなモンスターなんかいるはずが
この物語のテーマのひとつはトーテムと呼ばれる守護霊のバトルです。
主要キャラのトーテムが明らかになったところで、それぞれのステータスをオープン!
なお、それぞれの数値は100がMAXです。
紅蓮の戦士『不動の解脱者』
術者:アスカ=ウィスタプラン
攻撃力 : 45
防御力 : 61
魔 力 : 22
体 力 : 50
素早さ : 31
射 程 : 15
アスカはまだトーテム使いになったばかり。だからステータスも高いとはいえず、特殊能力もありません。まだまだ発展途上。
白銅の獣聖『迷い犬』
術者:ヒロミ=ドグブリード
攻撃力 : 18
防御力 : 23
魔 力 : 59
体 力 : 20
素早さ : 60
射 程 : 42
ヒロミもトーテム使いになったばかりなのでステータスは低め。その中で魔力が高い傾向にあるので、これから覚える特殊能力が楽しみ。
墳丘の真ん中、ダンジョンの奥へ進む坑道を見つけ、降りていくアスカ、ヒロミ、オビトの3人。その先には、古代の大王の御魂が眠っていると信じている。
そう信じて良い根拠はない。
それでも、こうと信じたら疑いもしない、それが12歳である。
坑道は、奥に進むほど広い。広間といっても差し支えないスペースとなる。この中で、大規模な葬送の儀式でもしたのだろうか。その周囲は、間隔をあけて円筒埴輪が設置されてある。その内部がぼうと光っており、暗闇でまったく視界がきかないということはない。
たまに浮遊霊が漏れ出す。
アスカ
「紅蓮の戦士『不動の解脱者』!」
浮遊霊を駆逐するのは、アスカの担当である。
アスカ
「それにしても、浮遊霊の数が増えて来たわね」
オビト
「それに、形も人型に近づいている――」
ヒロミ
「ここは上の封印石の内側だから、霊の風化が進んでないのかもしれない――て、オビト? あなた、視えているの?」
守護霊や浮遊霊のような霊体は、よほど強力なものでもない限り、守護霊使いにしか視えないと言われている。それにもかかわらず、オビトが視えているかのような発言をしたのに気付き、ヒロミは驚いた。
オビト
「え? 最近は、たまにそこに居ない者が視えることがあるんだ。 今日は、とくに鮮明に視える」
ヒロミ
「ということは、オビトも、もうすぐ守護霊使いになるのかもしれないわね」
アスカ
「馬鹿ね! 今日の冒険はそのためのものでしょう! 『かもしれない』じゃないの。 オビトを、守護霊使いにするのよ」
そうだねと笑いつつ、ヒロミが冷静の表情にもどる。
ヒロミ
「そうだとしても、やはり、引き返しましょう。 浮遊霊の数が増えてきて、霊力も強力になってきている。 この先には、剛力な亡霊兵が潜んでいるかもしれない」
オビトも首を縦に振ってヒロミに同調する。
しかしアスカは「大丈夫よ」と聞く耳を持たない。このような話を続けながら、また2体、『不動の解脱者』が浮遊霊を斃した。
ヒロミ
「私も召喚する! 白銅の獣聖『迷い犬』!」
浮遊霊の数が多いのだ。否、この場の浮遊霊の中には、小鬼も混じるようになった。『不動の解脱者』の守護霊1体だけでは対応しきれなくなって、「戦闘向きでない」というヒロミの『迷い犬』も戦わざるを得なくなった。
『迷い犬』の鉤爪は、鋭いと言っても大型でなく、大きな攻撃力をもたない。だから、アスカの『不動の解脱者』のように一撃で妖怪を撃退できるものではない。2,3回の攻撃で、やっと1体を戦闘不能させる。
妖怪の気配は、古墳の奥に進むほど、多くなっていく。
ヒロミ
「囲まれて、いるようよ」
アスカ
「大丈夫。 弱い妖怪ばかりよ。 2人で落ち着いて対処すれば、まだ先に進める」
ヒロミ
「そうだと、良いけれども――」
戦闘を続ける『不動の解脱者』と『迷い犬』、妖怪の半分ぐらいを退治したところで、守護霊をもたないオビトが「アワワ」と言い出した。
アスカ
「な……なに?」
ヒロミ
「まさか、亡霊兵とか……」
アスカ
「バ、バカなこと言わないでよ。 まだ古墳に入ったばかりよ。 そんな大きな妖怪なんかいるはずが……」
オビト
「いや、そのまさかのようだけど……」
3人の前に、身の丈3メートルはあろうかという亡霊兵が現れた。
圧倒的な霊気を放っている。
小妖怪を相手にして得られた、本当にちっぽけな12歳の自信を、一瞬で奪うには十分な、それほど圧倒的な霊気だった。