俺はこれから玄室に入って木棺を開けてくる
救援に現れたボーゼン=ウィスタプランですが、その守護霊である面向不背はどれくらい強いのでしょうか? とりあえずステータスオープン!
深海の龍女『面向不背』
術者:ボーゼン=ウィスタプラン
攻撃力 : 92
防御力 : 65
魔 力 : 73
体 力 : 50
素早さ : 64
射 程 : 67
その両手から放たれる雷撃の威力は一撃必殺。高出力で大ダメージを与えたり、攻撃力をしぼって全体攻撃に切り替えたりできる有能なアタッカー。防御力と体力の低さが弱点。
アスカ、ヒロミ、オビトの3人を連れ戻すように命じられ、メスリの丘の古墳探索に向かったボーゼン=ウィスタプランであったが、3人の姿が見当たらない。
古墳を守る妖怪に殺られたかもしれないとも思ったが、それにしては死体の1つも見当たらない。
坑道の中をくまなく探したが、人の気配がまったくない。
墳丘の封印石が除かれている。この坑道内は、自分が来る直前に戦闘が行われた形跡がある。だから、3人が、この古墳内部のどこかに居ることは間違いないのだが。
そのように考えながら探索を続けるボーゼンであったが、天井が崩れて塞がれたような入口があることに気が付いた。近づくと、中から、いくらか霊気が漏れ出しているようだ。耳を澄ませば、人らしき声が聞こえるような、聞こえないような。
まさか?
とは思ったが、中を確かめないわけにはいかないようだ。
ボーゼン
「出よ! 深海の龍女『面向不背』!」
ボーゼン
「そしてぇ! 雷撃! 強出力!」
『面向不背』が片手を上げて、その掌から強力な雷が発せられ、入口を塞ぐ岩石を破壊する。
入口が開いた。
中を見ると、その奥に、アスカ、ヒロミ、オビトの3人がいた。
入口が開いた瞬間、異様な霊圧を感じる。真夏に駐車中の自動車の扉を開けたときに、中から不快な熱気があふれ出したような、不快な霊圧だ。
その霊圧の源がどこなのか、ボーゼンは一見して理解した。
アスカら3人がいるその先は、この古墳の主の玄室になっているようだ。その中央に、つい昨日に葬儀が行われたものと見紛うほど真新しく見える、荘厳な木棺があった。この場所の異様な霊圧が、その木棺の中からあふれ出ているものであることは明らかだ。
アスカ
「ボーゼン兄貴!」
ボーゼン
「やはり、この中だったか。 ダメじゃないか。 こんな危ないマネをしては!」
異母兄が叱ってみせる声であったが、アスカら3人はボーゼンの下に駆け寄った。ボーゼンが優秀な守護霊使いであることは、3人とも知っている。だから、これで安全に古墳の外に出られると、安堵したのだ。
自分の背後に隠れるような3人に、ボーゼンは問う。
ボーゼン
「それで、あそこに安置されている棺は開けてみたのかい?」
アスカ
「いいえ。 やってみようと思ったけど、そもそも棺に近づくことができなかった。 棺に近づけば近づくほど、足がすくんで動けなくなる感じだった」
ボーゼン
「そうか。 そうだろうな。 これほどの古墳を作った主の霊だ。 君たちのような子どもでは、その威風に気圧されて、近づくことすらできないだろう」
アスカ
「でも、ボーゼン兄貴が来てくれて、助かったわ。 これで、家に帰ることができる」
ボーゼン
「いや、もうすこし、待ってくれないか」
アスカ
「?」
ボーゼン
「俺は、これから、玄室に入って、木棺を開けてくる」
オビト
「! ダメです! ボーゼン義兄さん! いくらボーゼン義兄さんでも、中の御魂を目覚めさせては無事ではすみません!」
ボーゼン
「黙れ! これはウィスタプラン家の問題だ! ウィスタプラン家は、まだまだ力を集めなければならない! そのために、この玄室に眠る偉大な霊を目覚めさせ、これをわがウィスタプラン家の守護霊とする!」
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