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虹色の英雄伝承歌(ファーレ・リテルコ・ポアナ)紅刃の章1~復讐の果て、さまよい続ける死神剣士~  作者: 新景正虎
第三章 戦士たちの祭典、くすぶる過去の残滓

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蛇蝎(だかつ)の戦士

一方、準決勝の第二試合。闘技場ではスクードとセルぺが戦っていた。


だが、その勝負は歴然だった。長賢と短剣、その間合いの差を生かしたスクードはセルぺを全く寄せ付けない。


無駄な動きをせず守りに徹するスクードに対し、隙を見つけようと動き回っていたセルぺの方が消耗が早い。


二振りの短剣を手に斬りかかってくるセルぺ、刃を交えるスクード。


互いの息遣いまで伝わる距離。


と、セルぺが突然小声で声をかけてきた。


「ど、どうだい、スクードさん、ここは取引と行かないか」


「取引だと」


セルぺの言葉に眉をひそめるスクード。この期に及んで一体何を取引するというのか。


「ああ、俺が優勝したらガシオン公に取りなしておれがあんたを雇う。そうすればあんたは晴れて自由の身だ。何ならあんたが前に率いていた傭兵団を呼び寄せたっていい」


その言葉にスクードは表情は変えずに思案を巡らせる。


なるほど、要はわざと負けろと、そういう事か。だがスクードにはその提案の問題点も見えていた。


「…悪くない話だが、賞金だけではどうにもなるまい」


そう、確かに優勝賞金は莫大。だが、ガシオン公から剣闘士を引き取り、さらには傭兵団を呼び寄せるには足りない。


「それは…」


口ごもるセルぺ。それを見たスクードの表情が険しくなる。


彼の胸中で漠然と存在していた予想が現実味を帯びてくる。


「裏賭博、だな」


その指摘にセルぺの表情が変わる。その様にスクードは確信を得た。


裏賭博の話は剣闘士の間でも広まっていた。しかし、剣闘士たちは外部との接触手段が限られている。しかし、裏賭博に盗賊結社()ラバン・ルクシャ)が関わっていて、勝敗操作を目的に剣闘士と接触したのなら、十分にあり得る話。おそらくセルぺは盗賊結社(ラバン・ルクシャと取引をして、エダと自分への賭け率は低く、このセルぺ自身の倍率を高く設定するようにしたのだろう。


そうしてセルぺが優勝すれば結社とセルぺに莫大な金が入る。


だが、どうやってエダを仕留めるというのか。それについてもスクードは確信があった。

おそらく…毒。


結社なら兵士たちの目を盗み、暗殺用の毒物を持ち込むことも不可能ではない。


短剣使いであるセルぺを選んだのもそれだろう。


スクードは確信を得た。

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