32、事の顛末はこうです
私は状況を整理することにした。まずは病魔さんからだな。
「病魔さんって結局何なんですか?」
「えっと普通の人だったんですが、魔力が強いし瘴気が出てしまってそれを抑えられなかったんですね。それで封印されまして、ゆっくり結界に魔力を吸われて徐々に普通の人に戻っているところですね。」
「じゃあ人がどうたらという話は?」
「昔は思っていましたが、今は思っていません。次の結界で終わりだと思います。はい。あっ、ちなみにご両親を生き返らせる事はできません。それはバートさんに言えって言われました。」
「分かりました。正座をやめてもいいですよ。」
「じゃあ次は藤ね。あの涙は嘘なの?」
「百合ちゃんあの気持ちは本物よ。でも病魔さんに言われたのではなくてアルに言われた。」
「じゃあアルは藤を知っていたのね。最初から嘘をついていた。藤も正座をやめていいです。次はバートさんですね。リリアは元気ですか?」
「ええ、元気です。今は母のもとで女将修行をしています。うちの旅館は1日3組限定で最高のおもてなしをさせていただいております。結構、人気があります。」
「よかったです。バートさんはカート君の事は気付いてたんですか?」
「正直、話を聞いたときびっくりしましたが、何故か、納得しました。百合様大変でしたね。いつでもうちに癒やされに来て下さいね。」
「この流れは誰が考えたんですか?」
「一応、私とアル様です。」
「分かりました。バートさんも正座をやめていいです。アル最後はあなたです。その前に本物のブレスレットを返しなさい。」
「はい。どうぞ。」
私がつけていたものは消え、アルがポケットから出した本物を出してくれる。なんとも上手く騙されたものだ。少しデザインが違ったのは見間違いではなかったのだ。
「アル、藤に力を返してあげて。」
「はい。」
藤は一瞬光をおびた。
「返ってきたありがとう!」
「百合、でも藤に頼りすぎだぞ。それは気付いてるだろう?いつも傷付く前に助けられ過ぎだ。だから藤を説得して力を制限させてもらった。返したというより制限をといただな。」
「だからなんなの?そこまでして女王の資質を探るのは何故?」
「多分だが、俺を好きになるようにだと思う。」
「はぁ?」
「俺は皆の前で結婚を断られたろ?あれはこの国で初めてのことだった。焦った大人達がというか王様が百合が旅に出ると言ったのをいいことに試練という名目で俺が上手く立ち回れるようにしたんだと思う。」
「私の気持ちは無視して?」
「すまなかった。」
「私、アルのこと信頼しかけてたのに。」
「ぐっすまない。言い返す言葉もない。」
「さっきの言葉に嘘はないの?」
「ない。あれは全て本心だ。」
「じゃあずっとそばにいてね。」
「ああ!俺の全てをかけて誓う!」
それから2カ月後私たちは結界をはった。病魔さんは全ての魔力を失ったが、もう誰も傷付けなくて済むと喜んでいた。そして私とアルは結婚してアルは王になった。3つ目のブレスレットの加護が何かをアルはやっと突き止めたがアルは頑なに教えてくれなかった。それが分かったのは初夜のことだ、アルと初めてのという時にそれは発動した。私は今まで着たことこないような露出の多いメイド服姿に変わったのだ。
「これなに?」
「すまない、ブレスレットの加護だよ。お前が愛する相手が想像した格好になるんだ。」
「最低!」
この世界で1番強い魔法使いは皆から恐れられ黒の王と呼ばれるようになった。話し合える魔物とは話し合うべきだと、前代未聞のお触れを出したためである。今まで魔物を迫害してきた者たちからは反発が起こった。だが民の信頼は厚かった。黒の王と王妃は話があると言われれば誰であっても絶対に直接話を聞き、公正な判断を下すように生涯をかけて示したからである。病魔をも浄化した2人は後生まで語り次がれた。ついでにたまに女王がとんでもない格好に一瞬で早着替えすることも語り次がれた。




