15.空気読む
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「今日はしないぞ!!なんで今日なんだよ!」
俺は黒い空間で、あぐらをかいて腕組みしていた。俺はゆーちゃんと仲良く一つのベッドで寝息を立てているはず。それなのに空気を読まない残念淫魔が夢に出てきているというわけである。淫魔は横座りで俺のそばに侍るようにして居た。
「まー、まー、そんな怒らないでよー?なんで出てきたかっていうとー。」
「どーせ、タツキさんが死にそうになってることを話に来たんだろう?おまえアホだから加減とかしなかったんだろ?会社で見るたびタツキさんが生きててホッとしたくらいだからな!」
「あ、やっぱり知ってるんだ。だったら人…じゃないわね?私とタツキを助けると思って話だけでも…。」
「話だけだぞ…したらもう2度と抱いてやらないからな。…今日はとにかくダメだ。」
また来れば抱くのかとか、今日じゃなきゃいいのかというツッコミはナシだ。
「分かってるって!!本命の彼女?が来てるんでしょ?」
「………。」
「………無粋だったわね?ハーレム目指してる人に。」
淫魔はウィンクのように片目を瞑り、言った。本命と言われると困ってしまう。3人とも魅力的で、可愛くて、美人で…。選べと言われても選べない現状だ。本命と言われると3人のことになってしまうかと。
「話を戻すわ。タツキといちゃいちゃしたいけど、このままだとタツキが死んじゃうわ。」
淫魔は頰に手を当てため息を吐いた。
「オッド曰く、俺は人間離れしてきてるらしいからおまえから搾られるくらいがちょうどいいみたいだけどなー。俺ですらダルくなるんだから、常人にはキツイだろ。」
「オッド?あぁ、あんたが契約してる、あのにゃーにゃー鳴くやつね。そうね。確かに淫魔と交わると早死にするって言われているわね。」
にゃーにゃーって。淫魔にはオッドの声が聞こえてないようだ。オッドもコイツと喋る気なんてさらさらなさそうだもんな。俺は苦笑しながら続ける。
「おまえも受肉だっけ?オッドみたいに身体を持つことはできないのか?その身体で直接いちゃいちゃすればいい。それで俺とオッドみたいに契約すればタツキさんのそばに居られるんじゃ…?」
淫魔はハッとしたような顔になった。でも、俺、暗にタツキさんを悪魔に売ったな。今に始まったことじゃなかったけど。本人も悪魔に魂売ってもいいって言ってたし。いいってことにしよう、そうしよう。
「でも…タツキ、私に気がついくれるかしら?」
「そこは俺がおまえを紹介してやるから、タツキさん好みの身体探して俺に会いに来いよ…。」
俺、完全に悪魔を唆してる。自分でも分かってる。俺が、人の道を踏み外しているということぐらい。もー、いいや、どうとでもなれ。半ばヤケに笑いながら
「話も聞いたし、帰れよ?満足しただろ?」
「いいえ?」
そういいながら、淫魔は俺の唇を奪う。ねっとりと這うようなキス。
「…しないって言ったろ?」
俺は半眼になりながら、淫魔を見る。
「最後まではしないから、これくらいいいでしょう?続きは誰も居ない日にしましょ?」
そう言って淫靡な笑みを浮かべから淫魔は暗闇の中に消えていった。アイツ…上達してやがる。そう思うと意識が遠のいた。
重い瞼を開くと目の前にはゆーちゃんがいた。メイクとっても可愛いし、寝顔も可愛い。思わずおでこにキスをするとゆーちゃんは目を覚ました。
「ごめん、起こしちゃった?」
「うぅん。おはよ。」
少し寝ぼけた声が愛おしい。思わず抱きしめると、ゆーちゃんが少し恥ずかしそうにしている。というのも、ゆーちゃんの太ももあたりに俺の昂っている部分がバッチリ当たっていたからだった。朝だしね…淫魔にキスされてたしね…ゆーちゃん可愛いしね…!
「あぁ。ごめん。…可愛いかったから、つい。」
「謝らなくて大丈夫だよ?」
そう言ってゆーちゃんが俺にキスをする。優しく包み込むようなキス。そのキスで堪らなくなった俺は昨晩のおかわりを要求するべく、ベッドに潜りこんだのだった。
順番にシャワーを浴びているとオッドがトテトテとやって来て、
「主、順調のようだな。」
そう言ってなぜか爪を立てた。
「いってぇ!なんで爪立てるんだよ?!」
「む?なんとなくだ…。」
俺はニヤニヤしながら茶化して言う、
「まさかヤキモチか?」
「………。」
オッドは黙ってしまった。
「…なぁ、なんとか言えよ?冗談なのに。」
「みゃー。」
誤魔化しやがった…そう思ったらゆーちゃんがお風呂場から出て来たようだった。多分黙ったのもそのせいか。なんだ。ちょっと焦って損した。
シャワーを浴び終わって、俺たちは軽く朝食を食べて、2人でまた読書タイムをした。今日はさすがにもう頭を保たれられても内容が入ってくるのだが、オッドが邪魔をしてくる。ここ最近はちゃんと遊べていないから、ゆーちゃんが漫画を読んでいる間、俺はオッドと遊んだ。
「にゃ!にゃ!」
と言いながら一生懸命に猫じゃらしを追いかけている。あまりにハッスルしすぎなので、つい
「オッド、壁壊すなよ?大家さんに怒られちゃうからな。」
と言ったら大人しくなった。その様子を見ていたゆーちゃんは
「オッドちゃんって空気読むよね。夜は見えないところに行ってたみたいだし、今も言葉が分かるみたいに大人しくなったね。」
「…そうだね。」
実際分かってるし、喋るし、悪魔だよ。とは言えない。当のオッドはおすわりして猫じゃらしを見つめている。まだやれという事らしい。俺はオッドが満足するまで遊んでやった。ゆーちゃんはキリのいいところまで漫画を読んだら俺に声をかけた。
「続きは今度にするね。一緒に出掛けよう?」
「うん。じゃあ、今日は何する?映画?それとも本屋さんにでも行く?」
「じゃあ本屋さんに行こう!意外と店員さんのイチオシ本とかチェックするの好きなんだ〜。」
そう言って2人で出掛ける支度をして
「オッド、行ってくるな?」
オッドを撫でてから出掛けて行った。
ゆーちゃんと俺は電車に乗って大型書店まで来ていた。装飾は既にクリスマス一色だ。
「クリスマスか…。」
俺は呟く。働くようになってからは休みではないし、ぼっちの俺には特にイベントもなかったから「クリスマス、なにそれおいしいの?」状態だったけど。今年はどうなるんだろ?ぼっちどころか3人もの美女たちがいる。
「年末だからきっと忙しいよね…。」
俺の呟きを聞いたゆーちゃんもぼそりと言った。月末ピークを乗り切った後だが、2人とも年末進行を思い浮かべてため息を吐いた。
「だねぇ…。休日出勤とかなるかもねぇ…。」
「うわー。予定立てると仕事でキャンセルになりそう…」
ゆーちゃんは眉間にシワをよせて言うので、
「今考えるのやめよう…。折角楽しい本屋に来てるので、そちらに逃避することにしましょう。」
わざと丁寧に言って茶化す。
「そうだね!」
ゆーちゃんの笑顔で、その話題はそこで終わった。今の俺は予定がっつり決めらるのも困るから好都合だったし、本当に俺も仕事のことを考えるのが嫌になったのもある。とりあえず先送りだ。その後は2人でこの漫画の続きはいつ出るんだろうとか、これが話題だけど、読んだか、などアレコレ話ながら本を物色し、数冊の漫画と文庫を買って本屋を後にした。駅近くで食事を済ませて
「また会社でね?」
「ほとんど会社じゃ顔会わせないけどね!また着いたら連絡するね?」
そう言ってゆーちゃんとは駅で別れた。
これは完全にデートだったよな。はっきり言ってないだけで、今後もこういう関係が続くと思っていいんだろう。俺は鼻歌を歌いながらオッドの待つ家へと帰っていった。
日曜日、俺は特に用事もなく、なんとなく買い物に出ていた。誰とも予定がない休日だが、これから増えるであろうゆーちゃんとのデート用に服も欲しかったし、催淫の練習でもしようと思っていた。ユウちゃんとゆーちゃんを頂いた今、特に要らないかとも思ったのだが、その満足とは別の欲求が湧いてくる。オッドいう通り、俺は人より欲張りなのかもしれない。
催淫の練習をしたいとオッドに伝えるとオッドには練習など要らないと言われてしまった。なぜかと問い詰めると、
「主は気づいていないようだが、ずっと催淫は入っているぞ。」
「は?いつから?」
「電話で管理会社というところに電話してからだな。それ以降は我は解いていない。切れと言われておらぬし。自身で無意識に入切しているようだ。練習は要らぬだろう。」
と言われてしまった。確かに切れって言い忘れてた。でも無意識でっていうのも不便な気がして、練習は必要だと思い外に出て来たという訳だ。これで意のままに入切できるとさらに人の道を踏み外した気がするが。もう今更だな。
まずは、宝くじの当選確認をすることにした。宝クジは確認しなくても当たっているのだろうが、俺の見間違いかもしれない。売り場で確認するのが一番はっきりする…っていうのと、一度高額当選したらどうなるのかその目でみてみたいというミーハー根性だ。だって何かに当選するなんてあまり経験がない。懸賞も何度か出してはみても当たったことなんてなかったし。そう思って窓口に当選確認しに行くことにした。
窓口に行って買ったクジを出すと、窓口のおばちゃんはピー!という機械音に一瞬だけ表情を変えたが、その後は小声で事務的に
「…おめでとうございます。高額当選ですので換金は銀行へお願いします。本日、購入はどうされますか?」
あまりに通常対応なので、俺はあっけにとられて
「じゃあ、スクラッチ5枚ください。」
と普通に新たなクジを買ってしまった。意外とあっけない。そしてなんとなく買ってしまった新たなクジ。当たるかな。スクラッチだから後でオッドと一緒にやろうと思い、当選券とともに財布にしまいこんだ。
なんでも揃うし、と思いショッピングモールへ行ってふらふらしていると思い出した。オッドのキャリーだ。病院にも今週行きたいから買っておかなくては。そう思ってペットコーナーに行った。キャリーだけでも何種類もある迷ってしまうが、リュックタイプが良さそうだ。これなら自転車にも乗れる。小窓からオッドが顔を出すところを想像して思わずニヤニヤしてしまう。そんな時は不審者になる前に口元を手で撫でてごまかすのが一番である。キャリーはリュックに決定して、シー○の手から食べるオヤツも忘れずに。気がつけばまたオッドの買い物をたくさんして、俺はレジにいた。
「お買い物金額に応じて抽選クジをやってますので、ぜひご参加ください。」
そう案内された。年末のショッピングモールでよくやってるやつだ。いっつもうま○棒とか飴とかそんなのばっかだけど、今だったら当たるかな。そう思ってなんとなくガラポンしに行くと、
「おめでとうございます!2等テーマパークご招待券です!」
あっさり当たった。2等だけど。誰と行こうかな…そんなことを考えながら帰路に着いた俺は呟いた。
「あ、催淫の練習。忘れてた。しかも俺のものなんも買ってないわー。」
読んでくださってありがとうございます!
とりあえず延命措置ですいません。最終話一個手間と最終話の途中まで書いてたんですわ。人生初のレビューに舞い上がって、つい延命してしまいまいした。15話、今週完結は当方が勝手に決めた目標で、楽しみしてくださる方がいると知ると終わりにするのが少々惜しくなったというのが本音です。かといってつまらない文をダラダラ書くのもよくないと思いますので、自身の限界を見誤らないように完結したいと思います。あと少しだけ、おつきあいください。
延命したため、毎日更新出来なくなるかもしれません…すいません…。