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翌日の日曜日。
わたしは駅前に出てきた。
編み物の材料を買う為に、駅ビルに一人で来たのだ。
午後からは家族で出かける予定があるので、朝早く来ていた。
けれど駅ビルの中で、ミホを見つけた。
「ミホ~」
「あっ、カナ。どうしたの? 一人で」
「急ぎの買い物。ミホは…あっ、ミユちゃんと一緒だったんだ。おはよう、ミユちゃん」
「おはよう! カナちゃん」
ミホの妹、ミユちゃんは小学三年生。
ミホにベッタリで、可愛い女の子。
「あっ、カナ。帽子、ありがとね。今度何か奢るから」
私服のミホは、早速あげた帽子をかぶってくれていた。
「ありがと。でも九月末じゃ、まだ暑いんじゃない? ムリにかぶらなくてもいいよ」
「そんなに暑いってほどじゃないでしょ。それに気に入ったから良いの!」
「ねぇね、カナちゃん」
ミユちゃんがわたしの手をグイグイ引っ張った。
「ん? なぁに? ミユちゃん」
「おねーちゃんと同じ帽子、あたしにも作って」
「コラッ、ミユ!」
「だっておそろいの欲しいもん」
そう言ってわたしにべたっとくっついてきた。
「アハハ。良いよ、ミユちゃん。ミホとおそろいの作ってあげる。色も同じので良いの? ピンクとか、好きな色で作ってあげるよ」
「ホント? え~っとね、う~んっとね」
考え込むミユちゃんの頭を、ミホが困った顔で撫でた。
「カナぁ、ゴメンね。帽子代、ちゃんと払うから」
「いいよ、いらない。ミホからお金取る気無いし。それに女の子っておそろい、好きだから。今のうちだけだよ? 『お姉ちゃんとおそろいが良いの』って言ってくれるのは」




