22
棚の写真も撮って、頼まれごとは終了。
「さて、新刊あるかな?」
料理よりも手芸の方が悲しいかな、ファンが少ない。
なので同じ新刊でも、こっちに置いている場合が多い。
「おっ、あったあった♪」
手芸の本の売り場に、平置きにされてあった。
「一冊千六百円か…。専門書は高いなぁ」
「げっ、マジで? よく買えるね」
「お金、貯めてるもん。予算として貯金しているし」
分厚い手芸の本を一冊持って、レジに向かい、支払いを済ませた。
「さて、わたしの用事は終わり。ミホは何か本買わないの?」
「ん~。ケーキ代でけっこうお金使っちゃったしいいや。今度マンガ買う」
「あっそ。んじゃ、帰ろうか」
「うん」
ミホは駅前から出ているバスに乗って、高校に通っている。
「それじゃあ、ミホ。月曜日にね」
「うん。気が向いたらメールするから」
「はいよ。んじゃね」
バス停で別れて、わたしは歩き出す。
けれど手芸の専門学校の校舎を見て、ちょっと立ち止まった。
…高校を卒業してから、ここに通うのも悪くない。
親はお金の心配はしなくていいから、自分の進みたい道に進めば良いと言ってくれる。
まあわたしもそこそこ手芸で収入を得ているけれど、それで学校に通えるほどじゃない。
一人前になるには、まだまだかかりそうだ。
そう思うと、またため息をついてしまう。
…ダメだ。寝不足のせいか、まとまらない考えばかりしてしまう。
今日は早めに寝よう。




