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私は隣の田中です  作者: 秋月 忍
小噺集
64/64

ハロウイン

※ハッピーハロウィン♪


本編終了後くらいの感じです。

「マイちゃん! ハッピーハロウィン!」

「ええええ???」

 壁をするりとすり抜けて、やってきた桔梗に私は思わず声をあげる。

「き、桔梗だよね?」

「うん」

 やってきた式神さんは、とんがり帽子に黒マント。もちろん中は白いいつもの和服。

「魔女の、コスプレ?」

「そう。似合う?」

 ニコニコと笑う桔梗。間違いなく可愛い。でも、似合って……いるのかなあ? ちょっとわからない。

「式神さんが西洋の魔女のコスプレって、すごく意外なんだけど」

「かぼちゃの方がよかった?」

「えっと。そういう意味ではないよ」

 桔梗が、和服にジャックオーランタンの被り物をかぶっている姿はさすがに想像の域を越えている。

「あのね、悟さまがね、ハロウインだからケーキ買ってくるって! 一緒に食べよう?」

「ハロウィンケーキ?」

「うん」

 ハロウィン限定スイーツはかなり心惹かれる。ハロウィンってお祭りそのものは、よくわからないんだけど。

「だからね。マイちゃんも、仮装しよ? ちゃあんと悟さまにもさせるから!」

「でも私、仮装グッズなんて持ってないよ?」

 私はコスプレとかやったことないし、やろうと思ったこともない。

「大丈夫! 持っているから!」

 得意げに胸を叩く桔梗。えっと。それ、どうやって手に入れてるんだろう……そういえば通販大好きだって言っていたっけ。

「魔女と、黒猫、どっちがいい?」

「どっちでもいいけど……じゃあ、桔梗と同じ魔女かな?」

「うん。じゃあ、持ってくるから着替えてね!」

 桔梗は嬉しそうに、壁の向こうへと消えていった。



 桔梗の仮装はマントと帽子だけだったのに。

 なぜか黒のセクシーミニスカワンピースまで用意されていた。

 着る、と約束したし、ちょっとだけ着てみたいなあって好奇心もあって着たんだけど。

 胸元は、ハート型で思いっきり谷間が開いてるし、ふんわりミニスカは、太ももの半分の丈しかない。

 デザインはとてもかわいい。リボンとかレースとかフリフリしていて、アイドルの女の子とか着たらすごく似合いそうだ。

 私は姿見に自分の姿を映す。

 いや、これはない。どうみてもない。恥ずかしすぎる。

 着がえてマントだけで許してもらおう……そう思った時。

 玄関のベルが鳴った。

「あ、はい!」

 私は大きな黒マントで全身を隠すようにして、玄関の扉を開いた。

「如月さん?」

 ビジネススーツに大きな黒マント。それだけなんだけど、なんかすごくドラキュラっぽくって、めちゃくちゃカッコイイ。思わず見惚れてしまう。

 どちらかというと、如月はドラキュラを退治する側のひとなのに、すごくよく似合う。

「ごめん。変かな。一緒にケーキをと思って……」

 少しはにかんだ如月の視線が、私の胸元に落ちて、止まる。

「や……やだ。見ないでください」

 しまった。如月があまりにかっこよすぎて、自分の格好を忘れていた。

 私慌てて、黒マントで前を隠す。

 こほん。

 如月は咳払いをして、扉を閉めた。そしてゆっくりと鍵をかける。

「ケーキは、あとにしよう」

「え?」

 如月の手が伸び、私の身体は抱き寄せられる。

「先に魔女を食べる」

「あ……」

 如月の唇が私の唇に触れる。

 甘いハロウィンの夜が始まろうとしていた。




如月ってドラキュラ似合うよなーと思っただけのお話でした(^^;


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