第十章
「陸の日常は太るためにあるようなものだ」
そういって、喜んで部下の艦隊を率い、海にでた。
コライラムにいたパトルカは暗い情念を沸かせていた。
いよいよ、イールスハンフ海最強の艦隊と戦うのだ。
むしろその事実は、パトルカに喜びすら与えていた。
喰って喰って喰いまくるのだ。
作戦はいつものごとくリンローが立てた。
「今度のかなめは勢いです。とにかく勢いに全力を掛けてください」
牢城から出てきていた彼は、淡々と言う。
作戦立案に「ついては」いつも乗り気だった。何時だったか、「考えたものがやがて改めて思い通り動くさまが楽しくてたまらない」とったことがある。
その発言は、ある種の神の目と行って良い。
戦争はやってみなければ誰二も予測がつかないものだからだ。
パトルカは『旗』を立てた。
イールスハンフ海賊の集合の合図である。
ただ今回の『旗』はあきらかな意図が見えていた。
フュライカル艦隊を襲撃する。
イールスハンフ海で「帝王」の名前をほしいままにしてきた相手である。
それでも、パトルカは迷うところがなかった。
『旗』のもと、海賊たちは想像をうわ回る数があつまっていた。
「こいつら、相手がフュライカルだってわかってるのかね?」
ルービニーが飽きれたような声を出す。
「今回は死にますよ」
リンローが静かに口を開いた。
「相手が相手です。堕天燈の時はよかったですが、シー・ゴースト・サイスに核実に被害はある勝ち方をします。と言うかそれしかない」
「そうか。どっちにしろ、僕も死んでる」
パトルカは感慨もなく答えた。
彼に作戦能力はない。全てリンローに頼っている。
パトルカにできることは、海賊たちを集めることだけだ。
今回は、水蜘蛛盟主の名前を使って名士たちの部下たちを集めていた。
「ビージーヒリーはどうしてますか?」
リンローは、フュライカルのもう一人の公然とされた後援者の名前を上げた。




