子供の成長って早いね
皆様 ご機嫌よう。
今、私は2人がかりで採寸されています。
時は遡り3日前。
子供の成長は早いもので、ちゃんとナイフとフォークを使って食事出来るようになりました。
まあ、前世の記憶があるから、簡単なんだけどね。
その日も、美味しい晩御飯に舌鼓を打ちながら、パパとママとで会話していると、ついでと言わんばかりの軽さで、パパが、「そういえば」と口を開いたのが、事の始まりだった。
「ソフィアも、あと3カ月で10歳になるね。」
もう10歳だよー、
ゲームでは語られてない、一般常識や、貴族のマナー、国の歴史なんかを勉強してたら、
あっという間だった。
「はい。」
「じゃあ、素敵なドレスを仕立てなくちゃ!」
ん?何故に?
「今もかわいいドレスいっぱいありますよ?」
ドレッサーに入りきらないぐらい。
パパもママも初めての娘に舞い上がって、すぐ着れなくなるというのに、たくさん買ってしまうのだ。
プレゼントしてくれるのは、嬉しいけど、私にお金使い過ぎだと思うの。
8才の時にママに言ったら、「なんて優しい娘なの!」と感激され、それを聞いたパパに「うちの娘は天使の生まれ変わりだ!」と1日中抱っこされながら、屋敷中の使用人に自慢され続けた。
あの時の恥ずかしさと言ったら!
いつも助けてくれるバートンさんも、その時は敵だった。
「違いありません。」とパパに同調して、本物の天使のアルに向かって、「ソフィア様にお仕え出来る事を誇りに思いなさい。」と言い聞かせていた。
やめて!私のライフはもうゼロよっ!
――という出来事があり、
それ以来、前より増えていくドレスに頭を抱えた。
「だって、王宮で開催されるデビュー式典に出なきゃいけないだろう?」
は?
きいてない、きいてない。
ゲームでそんな事言ってなかった。
「デビュー式典とは何ですの?」
「うふふ、貴族の子供はね、
10歳になったら貴族の仲間入りが認められるの。
だから、みんな10歳の年に王宮で開かれる式典で、お披露目するのよ?」
まじか。
貴族すごっ。
道理で貴族の子供が老けてるわけだ。
中身大人の私が言うのもアレだけど、、。
「今年の式典は、確か9月だったから…
そろそろドレスを作っておかないと。」
早くない?
まだ4カ月もあるよ?
「そうね!王都で有名な仕立て屋に頼んだら、
それぐらいかかるわね。」
そうなのっ⁉︎
はー、大変だわー。
「ソフィアはかわいいからね、きっと主役になるだろう!」
やめてよ、本気でそう思ってそうなところが怖い。
「あら、旦那様?
今年の式典には、第1王子のアレン王子も参加されるはずよ?」
「む?確かにそうか、、
まずい!ソフィアが見初められてしまうっ!」
「まぁ、大変!
それじゃあ、ソフィーが王妃様にっ?」
アホだ。
誰か親バカ2人を止めてちょうだい。
妄想するな、戻ってこーい!
「パパ、ママ、落ち着いて下さいませ。
そんな事は天と地がひっくり返ってもあり得ません。」
だって、アレン王子の婚約者は公爵令嬢 レティシアだもの。
ソフィアは、宰相の息子 ジルの婚約者だったわ。
―はっ!忘れてた!
攻略対象の婚約者だから、悪役令嬢役なんじゃない!
この婚約、潰さないと!
ヒロインとジルが出会う頃には、すでに婚約者だったから、いつ婚約したのかしら?
それが分かれば回避出来るのに……。
「…それもそうか。いや、だがソフィアの可愛さなら――――…」
だめだ、こりゃ。
「それで、ドレスはいつ作るのですか?」
「ん?ああ、そうだね。
とりあえず明日、王都一と名高い『トルソー』に連絡しよう。」
店名『トルソー』ってすごいわね。
「それは良いわっ!
ソフィー、きっと素晴らしいドレスになるわよ!」
ふっ、
もう9才にもなると、女神の微笑みにも耐性がついたわ!
「わぁっ、まぶし…じゃなかった、
楽しみです!」
おっと、危ない。