全ての終わり【戦争よりの使者】
そいつにとって戦争は未だ続いていた。
時はこの物語の時間軸より二十年前に遡る、霊界での【強化人間戦争】は二十年の長きに渡った戦争であった。
百戦連魔の兵士が簡単に死に、
百戦連魔の【ロボット【実際には魂の有る生物】】が簡単に死ぬ。
残された者は只の【普通の騎士や兵士】ばかり、それが戦争と言う物だ。
巨体と言う物がいかに強く、そして儚いのか、戦争は嫌と言うほど教えてくれた。
【闇】を教えてくれた。
【彼】は来た。
思うに只の普通の騎士であった事が彼を生き長らえさせたのだ。
戦争は【闇】を教えてくれる、
【特別な人間】は戦争では只死ぬだけだ…。
彼の凶刃が魔人ジークやヌマスに向けられた。
魔人ムシンが日本刀で止めていた。
ガキンッ!ガキキン!!
馬鹿に激しい巨体をも凌ぐ戦いのさなか魔人ムシンは言う。
「お前…邪悪ではないな?何だ」
騎士は言う。
「…戦争が終わったって、信じられねえよ、俺には戦争しかなかった」
騎士は剣を下げた。
「ガキの頃から【普通過ぎて】性根も大して優しくねえ、すまねえな、ジーク、魔人ムシン、俺の居場所は戦争にしかなかった、忌み嫌われる俺にはな?戦争が全てなんだよ…」
ヌマスが口を開く、
「そんな事言ってはいけませえん、新しい時代が霊界では始まる、人間とは、」
「人間とは?」
「ただ生きているだけで素晴らしいモノなのですよ」
騎士の目がアヒルやジークに向けられた。
「俺は何やってんだ、こんな、ガキ相手に…、解った」
ジークが口を挟む、
「もうやめてよ!戦争なんて忘れて普通に生きていこうよ」
騎士は言う。
「ああ…そうだな」
そして、万感の思いを込めて
新しい時代が始まる…




