鋼のガールフレンド
速水颯太が発明した自律人型AIロボット『マナ』は、ロボット技術の発展が滞っていた我が国において最大級の大発明として、国内の学者から多大な脚光を浴びた。
彼が脚光を浴びた理由であった無限電力の発明に次ぐ世紀の大発明として、彼の名前は再び轟くところとなったのだった。
『マナ』の誕生を皮切りにして、我が国はロボット革命が巻き起こり、安価で高性能、かつ自律行動が可能なロボットが生まれ続けることとなった。
そのロボットをタイムマシン計画。家事。そして、軍事利用するという動きは、瞬く間に世間に広まった。
ロボット兵団は戦場に投入されると、人智を超えた力をあますところなく発揮し続けて、向かうところ全戦全勝。北の国から注がれた十二の核爆弾により荒廃してしまった我が国は、他国の領土を条約により奪取することで、悲願であった列強国としての道を再び歩み始めるまでに経済活動が回復したのだった。
その戦争の最中、偉大なる速水颯太は命を落とす。大往生であった。
彼の亡き後、自律人型AIロボット『マナ』は、颯太の家族が彼女の身を引き取ることを煙たがったが故に、政府により引き取られることになった。
『マナ』はそこで政府の重鎮相手に、颯太に教育されたように、まるで人のように微笑み、悲しみ、笑ってみせたりしたという。
そして政府の人間は、『マナ』のその作られた美貌と人物に取り入るために必要な教養、人間性を見抜き……。
彼女を政府極秘の暗殺用ロボットへと転用させた。
それから『マナ』は、国のために各国首脳のキーパーソンに取り入っては、SPの隙を見てその人物を暗殺して回る生活を送った。戦乱犇く混乱の時代において、首脳陣の突然の暗殺は敵対国を衰退させるのに十分すぎる功績だった。我が国は、敵対国を内と外から攻め立てたのだ。
そうして『マナ』は自らの任務を着実にこなしていったが……次第に各国の首脳陣でこんな噂が囁かれるようになったそうだ。
暗殺された人物の傍には、いつも決まって同じ顔の女性がおり、その女性はまるで機械のように正確に人の心の隙間を縫って取り入り、人智を超えた力でその人物の首をへし折り、目にも留まらない速さで死んだ人物の前から姿を消す、と。
そんな誇張交じりの表現で、彼女の存在は少しずつ世間に知れ渡り、いつしか彼女はこんな通称で忌み嫌われ呼ばれることとなった。
その通称とは――。
『鋼のガールフレンド』
書き切って思ったことは、結構読む人を選びそうな小説だったということでした。
だけど、ここまで読み切ってくれた皆様だからこそ、お願いしたいことがあります。
評価、感想、ブクマ、特にレビューして……(切実)。
皆さんの応援がとても力になります。
最近、私の趣味嗜好が変わってきています。昔はあまり好きでなかった世界史を好きになり始めたのです。
おかげで、こういう凄惨な小説を書く上で大切になりそうなリアリティを感じさせるための適当な言い回しだったり、その場しのぎがうまくなった気がします。
ありがとう!
最強の○ラとオリ○ジのあっちゃん!
本当はスクラップしたロボットを主人公が作って感動、完! というドラ○もん同人誌版最終回スタンスでいこうと思っていたが、それよりも本作テーマであるエゴイズムのラストを取った。
作中で主人公にも語らせたが、誰かの考えを変えさせたい。とか、誰かと会いたい。とか、結局この世はエゴにより全てが成り立っています。
エゴが絶対悪というわけではないと思います。エゴがないことはつまり、一切の発展性がなくなる、ということですから。
どこまでのエゴが許されて、どこから悪となるのか。
その辺の折り合いがつくことは一生ないでしょうね。
あとは、重いテーマなだけあって、思想めいた描写がとても多いが、作者は何も考えてないことを念頭に置いてください。こう書いたら面白そうと思って書いただけなんや。
つまるところ、本作の一番のエゴイストは、本作を書いた私ということになります。
なので皆さん、エゴイストである私の承認欲求を満たさせてくだせえ。ちょっと星5とブクマとレビュー書いてくれるだけでええんや。
というわけで、これからはほっぽっていた『サラリーマン、高校生になる』の続編に手を付ける所存です。
すぐにまたお会いしましょう。
それでは、また後ほど。