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赤い服を着た悪魔の贈り物  作者: さめもらきん


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憧れのサンタクロース

「ニコ、もうみんな行っちゃったね。僕たちはまだかな?」

大きくそびえ立つ、はじまりの木のふもとでノエルは呟いた。


ここは、雲の上の、天使と悪魔が生まれる”はじまりの木”。

はじまりの木から生まれた子たちは、心が決まった証に背中から羽が生えてくる。

その羽が白ければ天使の街 ”ルクス” へ、黒ければ悪魔の街 ”ノクス” へ。

羽の色は自分では選べない。

その子の「心」が、自然と決めるものだから。


「ノエルの背中にはまだ羽は生えてないよ。もう少しここで遊んでいられるね!」

「ニコと遊ぶの楽しいから、ずっとこのままでもいい!」

「ふふ、そうしたらずーっと遊んでいられるね!」


はじまりの木から生まれると、大抵、3歳頃には羽が生えて生涯が決まる。

ここにいるノエルとニコは、もうすぐ6歳になるというのにまだ羽がなかった。

同じ時期に生まれた子たちも、後から生まれてきた子たちも、みんな先に旅立ってしまった。

だけど2人でいられる安心感から、全く焦っていなかった。


天使と悪魔には親や家族がいない。

物心がついた時から何をするにも2人で一緒に過ごしてきた。


大好きなのは、クリスマスの絵本を読む事。

自由に遊べるおもちゃがたくさん置いてある中で、いくつかあるクリスマスの絵本を飽きずに何度も読んでいた。

キラキラとした世界と、空を飛んで世界中の子供たちにプレゼントを配るサンタクロースに夢中になっていた。


5歳になる頃、2人にはまだ名前が無かった。


「サンタさんって、かっこいいね!僕は天使になって大きくなったら、サンタさんになるんだ!」

「私もサンタさんになりたい!トナカイもきっと、可愛いんだろうね!」

「フワフワしてるのかな?楽しみだね!」

「そうだ、お互いの名前をこの絵本から決めようよ!」

「僕はクリスマスが好きだからノエル!」

「じゃあ私は、聖ニコラウスのニコにしちゃおうかな!」

「わあ、かっこいいね!ニコ!」


そうやって名前も夢も、自分たちで決めた。

疑う事を知らない、純粋でお互いを思いやる、どこからどう見ても天使のような2人だった。


「もし明日羽が生えたらどうする?順番が違うのは寂しいね。」

「同じ日に生えてきたら嬉しいね!ルクスはどんなところなんだろう。楽しみだね!」

これから白い羽が生えてきて、天使として2人がずっと一緒である事は、疑う余地が無かった。



それなのに、どうして。



「ニコ!嫌だよ!僕だけ黒い羽が生えてる!どうして、嫌だよ!助けて!」

「ノエル!ごめん!私のせいよ!お願い、ノエルと一緒に天使の街に行かせて!」


非情にも、白い羽はニコの意思を無視して天使の街、ルクスへと向かって羽ばたいた。

ノエルの黒い羽もまた、悪魔の街、ノクスへと羽ばたいてしまった。


ずっと一緒だった2人が、初めて離れ離れになってしまった。

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