↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
20/32

第20話 部屋作り

 お風呂を上がり、廊下に出て奥の方を皆で眺める。

 もう慣れた光景ではあるが、どこまで伸びているのだろう。

 それだけは今でも気になるな。


「ちょっと見て来る!」


 するとアーシャが突き当りを目指して走り出す。


「ここって、どこまでの続いてると思うだよね。飛んで行ってみたけど、突き当りまで辿り着けなかったし」


「私もそう思う。たぶんだけど、無限に広がってるんだと思うよ」


 ルキアは好奇心からこの廊下を飛んでみたらしいが、向こう側に到達することは無かったようだ。

 私とシャルも以前挑戦してみたけど、無限に伸びているであろうと結論を出し、途中で諦めたからな。


 それから十五分ほど経っただろうか、ようやくアーシャが私たちの元へ戻ってきた。


「うん、どこまでも伸びるね! 先がまったく見えないや」


「やっぱりそうだよねぇ。ま、部屋の数は無限だから、好きなだけ好きな部屋を作れるからいいんだけど」


「へー、それはとんでもないね! あのさ、良かったらボクも旅について行ってもいいかな? ボクも強くなる旅の最中で、君たちといると楽しそうだし」


「いいですわね。仲間は多い方が楽しいですもの」


「私は別にいいよ。寝るところは部屋を作ればいいんだし」


「私もいいかなぁ。強い人が多い方が、危険は少ないだろうしね」


 最後にリリルの方を見ると、彼女も大きく頷く。

 これで満場一致。

 新しい旅仲間が出来た。


「じゃあこれからよろしくね、アーシャ」


「うん、よろしく頼むよ、チドリ」


「ってことでそろそろ個人個人の部屋を作ろうか。あのベッドで4人で寝てたけど、限界だって思ってたんだ」


「そうですわね。5人にもなると狭すぎて寝れませんものね。それにアーシャ様、綺麗にしてくれているといいのですが……」


 私とリリル、それにシャルとルキアで寝てたけど、アーシャが混ざるとなるとこれ以上一緒に寝るのは不可能だろう。

 それにアーシャが汚くすることを想定してか、シャルは青い顔で乾いた笑い声を出している。


「皆の部屋を作るなの?」


「うん。5人それぞれの個室を作ろう」


「じゃあ私、大きなベッドがある部屋がいい!」


「分かった。ならすぐに作ろうか」


 早速ルキアの部屋を作ることにした。

 彼女の部屋は風呂場の隣。

 ルキアの部屋にする予定の扉の前に立ち、眼前に現れた半透明のタブレットを操作する。


 部屋の作り方は至って簡単。

 どんな部屋にするか、部屋の広さはどれぐらいにするか、どんな物があればいいのか。

 それらを文字で入力するだけ。

 最後に決定ボタンを押すと――


 ピカッと部屋の中に光が生じる。


「え、これで完成なのかい?」


「そうなんだよ。チドリさん魔法使いみたいに、簡単に何でも作っちゃうんだから」


 私の能力を自分の手柄のような言葉使いで話すルキア。

 そして彼女が部屋の扉を開けると、大きなベッドがある部屋が完成していた。


「これがルキア様の部屋ですか……ちょっと個性的ですわね」


 ベッドは部屋の端にあり、中央に大きな木が生えている。

 後はタンスなどがいくつかあり、天井は空が見えるような仕組みだ。

 

「おお……部屋にいながら外を眺めることができる。面白いじゃないか」


「木の上でお昼寝もできるし、最高でしょ?」


「ルキア、寝るのが大好きなの」


 ルキアはゆっくりと空を飛び、木の上に腰を下ろす。

 そしてあっという間に眠ってしまったのか、寝息を立て始める。


「もう寝ちゃった?」


「あの寝つきの良さ、羨ましいですわね」


 皆で笑いながら部屋を出て、ルキアの部屋の逆側の前に立つ。


 次はアーシャの部屋だ。

 彼女の要望はベッド一つ。

 後は訓練ができればいいとのことなので、トレーニング機器をいくつか導入してあげた。


「これがボクの部屋か……素敵だね」


「素敵どころか、無機質すぎませんか?」


「いい。ボクはこれがいいんだよ」


 コンクリートのような造りの部屋にベッドが一つ。

 部屋の端にはランニングマシンやサンドバック、ベンチプレスなどができるパワーラックという大型器具が備えられている、アスリートの部屋みたいになった。

 サンドバックは特注品となっており、多分だけどアーシャが全力で殴っても壊れないようになっている。


 試しにアーシャがサンドバックに爪を立てるが――揺れるだけで割けもしない。


「壊れない……これならいくらでも訓練ができるね!」


「良かったね。では次はシャルの部屋に参りまーす」


「よろしくお願いしますわ」


 クスクス笑うシャル。

 アーシャの隣にシャルの部屋を作る。


 彼女の部屋はまさに令嬢が住むような豪勢な造り。

 天蓋付きのベッドに綺麗なソファ。

 テーブル席もお嬢様が使うような物で、お茶のセットが備えられている。


「素敵ですわ! 旅をしながらこんなところに住めるなんて……夢のようです」


「喜んでもらえて嬉しい。後はリリルの部屋だけど、どうしようか」


 私の肩に乗っているリリル。

 どんな部屋に住みたいのか彼女に訊ねてみるが、あまり興味無さそうな表情をしている。


「チドリ様」


「どうしたの?」


「リリル、部屋いらないなの。チドリ様と一緒の部屋がいいなの」


「リリル……じゃあ私と一緒の部屋にしようか!」


「うんなの!」


 嬉しそうなリリル。

 私と一緒にいることを喜んでくれている。

 それが嬉しくて、私はリリルと一緒の部屋で寝泊まりすることをすぐに決めた。


「じゃあ私たちはシャルのお向かいさんだ」


「私たちの部屋は、ルキアの部屋を参考にしようか」


 タブレットを操作して自分たちの部屋を作る。


 中は元住んでいた部屋のような造りだ。

 木造のフローリングに桃色のベッド。

 可愛い化粧台に、アロマを乗せた小さな収納箱。

 壁は全面白く、清潔感があるように。

 そして部屋の端には木が一本。


 リリルが喜ぶかどうか分からないけど、おサルさんだから木の上に乗りたい時もあるんじゃないかなーと作ってみたけど、どうだろう。


「リリル、これに登ってもいいなの?」


「もちろん。そのために木を用意したからね」


「ありがとうなの!」


 リリルが駆けて木を登っていく。

 そして上から嬉しそうに手を振る。

 ああ、木を用意して正解だったな。

 これだけ喜んでくれるなら、作って良かった。


「こんな簡単に部屋が作れるなんて、夢のようだよ」


 ベッドに腰を下ろし、天井を見上げる。

 その景色はまるで元の世界そのものであった。

 まぁ木は生えていなかったけど……おおむね元通りってところだ。


「チドリ様のお部屋、少し変わっていますわね」


「うん。でもこれが私の世界では普通だったんだ」


「そうなんですね。木があるのもですか?」


「それは普通じゃない! 木以外は普通だね」


 部屋に入ってくるシャル。

 彼女は私の隣に腰を下ろし、興味深そうに部屋を眺める。


「なるほどなるほど、これが異世界の部屋か……もっと訓練できるものがあった方がいいんじゃないか?」


「アーシャの部屋みたいに用意してる人もいるけど、私はいらないかな。別に鍛える気はないし」


「それは勿体ない。今度ボクと訓練しようじゃないか」


「お断りします。アーシャに付き合ってたら、身が持たないよ」


 笑いあう私たち。

 何でもないような会話が面白くて、それだけで本当に楽しい。

 個室が出来たし、これからはプライベート面も問題無し。

 

 それに部屋は作り放題だから、色んなことを考えているとワクワクしてくる。

 まるで家ごと旅しているような気分だ。

 考えれば考えるほど、とんでもない能力だよな、キャンピングカーって。


「これからもよろしくね」


「リリルこそよろしくなの」


「よろしくお願いいたします」


「ボクもよろしく頼むよ」


「私も……よろしくぅ」


 最後に寝ぼけながら部屋にやって来るルキア。

 彼女の姿に笑い、私たちの周りには幸せな空気が流れていた。

 ずっと一緒に居たいな。

 素敵な仲間に出会えたことに、感謝しかない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。