22話
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担がれながら戻ったアリアは、父の大きな背中で呻き続けていた。物理的にも、精神的にも大きなハティの背中に、今は、感情が湧いてこなかった。
何をしようとも、今は、鳩尾の痛みが足を引っ張る。どうしようもなかった。
「うぐぉぉお! 吐きそうになってきた…」
「背中で! 待って、もう少しだけ我慢して!」
口を押さえたい気持ちも山々だが、手を離したら、床に落下しそうで出来なかった。
首元に巻きつく2本の腕は、がっちりと固定されて、離れる事はない。
だんだん家のドアに近づいてくると、あることを思い出した。
(そういえば、ここらって結界が張られているんだったか。今までなんとも思ってなかったけど、魔物が来ないのは、そういう事だったのか。てっきり数が少ないだけかとなぁ)
魔物たちの、そもそもの頭数が少ないのなら、冒険者などと言う職は、必要ない。腕っぷしだけの無頼な輩に、立場を与えるのがどれだけ危険か。それは、幼いアリアでも理解できる。
では何故冒険者と言う職が成立しているのか。
明白だ。魔物が多くて、国や貴族だけでは対処出来ないのだ。
実にシンプルな答えである。
国が主導で魔物狩りなど行う筈がない。国の敵は、別の国。つまり、人間だ。魔物と戦う訓練は、していないしするつもりもない。それが国の結論。
なら、聖職者や騎士、貴族はどうか。彼らもまた、魔物狩りに積極的ではない。
大元の国と国王が消極的なのだ。評価と領地の欲しい者からすれば、国王の興味が惹かれる事柄に従事した方が建設的だ。
だから魔物は狩られない。人の良い領主なら別かもしれないが、善人は希少だ。
そこで白羽の矢が立つのが冒険者であるのだ。
洞窟、遺跡、森林、山道、海と湖、草原。ありとあらゆる場所を探索し、そして、価値ある物を見つける。その過程で、魔物を倒して進むのだ。
命を賭けた仕事。多少のお宝は、賞与だろう。
「ほい、ベッドに着いたよ。ちょっと待ってて、塗り薬と包帯持ってくるから」
「わかった」
悲痛な声で応える。それもそうだ。強烈な一撃を喰らってからというもの、ジンジンと痛みが続いている。それが徐々に鈍痛に変わって、吐き気すら催させている。
ベッドで腹を抱えてうずくまるしか出来ない。手当てしてもらうまで、この不快感と戦うのか。
そう考えていると、ハティが、包帯と小さな壺を持ってやってきた。
「脇腹出して。そこに薬塗るから」
今度は、ベッドに座って、服をめくる。原を露出させると、脇腹に痣が出来ていた。
そこに塗り薬を使うが、人塗り毎に顔が歪む。痛すぎて嫌になる。この後に包帯を巻く作業が待っているのか。本当、嫌になる。
「よし、これで良い。包帯も巻いたし。心配ならルーナに魔法を使って貰うのも手だけど、どうする?」
「包帯だけでいいや。なんとなく痛みも治り始めたから」
「うんうん。それが良いね。じゃあ、ゆっくり休んで。次の稽古は、治ってからだね」
うん、と返事をする。次こそは、完璧に避けてやると、心に決めて。




