販売リスト
――販売リスト――
薬品 消費霊力25
・傷薬ポーション(lv1)
・病薬ポーション(lv1)
武装 消費霊力100
・魔剣(lv1)
・魔導書(lv1)
・魔法杖(lv1)
消耗素材 消費霊力50
・魔石
・聖水
・龍印
・砥石
所持霊力202
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視界に浮かび上がったそんな画面に、俺は驚愕する他無かった。
探索者という仕事を始めて二年。
俺には才能が無いという事は一ヵ月で分かったが、それでも続けていたのは報酬が良かったからだ。
戦闘能力に乏しい力を授かり、俺の力は荷物持ちとしてしか評価されなかった。
しかし、荷物持ちというのも割の悪い仕事ではない。稀に戦ってないのに報酬なんて出せるかとかいうアホも居るが、殆どの探索者は俺の有用性を理解してくれる。
マジックバックと呼ばれる物を無限に収納できる鞄がある。
しかし、その欠点は重さは変化しないという点だ。如何にバックが持ち運びに便利でも、何十キロもの重りを抱えながら戦闘するなんて並みの探索者には不可能である。
故に、ダンジョンから持ち帰る事ができる素材の数には限りがあった。
しかし、俺のスキルの一つである『異空間収納庫』は十種の物に限りだが、重さもサイズも制限なく収納する事ができる。
収納条件は粒子密度が固体状態で繋がっている物。
条件を満たしていれば、ドラゴンの死体を丸々一つ収納する事すら可能だ。最初は三種しか入れる事ができなかったこのスキルも、この二年使い続けたお陰か十種まで拡大されていた。
そんなスキルのお陰もあって、そこそこの稼ぎを維持しつつ割と平和に暮らしていた。
しかし、やはり探索者という仕事は何が起こるか分かった物では無い。
俺のスキルを何と勘違いしたのか知らないが、今回俺のパーティーメンバーとなった男たちは俺に「持っている金目の物を全て出せ」と言ってきた。
当然俺は十種しかない枠は素材を入れるため空にしてダンジョンに入っている。そんな脅しをされても出せる物なんて何もない。
そう何度も説明したが、薬でもやっていたのかその男たちは俺の話を一向に信じようとはしなかった。
直接的な戦闘能力を持たない俺は、殴る蹴るの暴行を加えられ最終的にダンジョンに放置された。
殺されなかっただけマシとは思えるが、それでも俺はこのダンジョン内でどうした物かと仰向けに倒れていた。
打撲の痛みが強く立ち上がる事すら億劫に思える今の状態で、もしも魔物が出てきたら逃走すら難しいように思う。
そんな絶体絶命のピンチに、その画面は俺の目の前に現れたのだ。
この商品リストという物だが、詳細な情報も意識を向ける事で読む事ができた。
・傷薬ポーション(lv1)
軽い傷を治す事ができる。
・病薬ポーション(lv1)
軽い病原菌をある程度取り除く事ができる。
・魔剣(lv1)
魔法が込められた剣。意識的に振るう事で能力が発揮されるが、その分魔力が消費される。
・魔導書(lv1)
魔法が込められた書。持つ事で誰でも魔法を扱えるようになる。
・魔法杖(lv1)
魔力を強める杖。使用する魔法の威力を底上げする。魔法書の魔法は不可。
・魔石
魔法の込められた石。各属性の石を選択でき、レベル1の魔法を一発だけ放つ事ができる。
・聖水
清められた水。聖なる魔力が込められており、死者を成仏させる効果がある。
・龍印
龍の心臓核から作られた印籠。使用する事で一時的に魔力を得る。ただし、効果時間が終わると必ず魔力枯渇状態になり気絶する。
・砥石
武器を研ぎ直す事ができる。鍛冶用の魔法が込められていて、刃に触れさせるだけで効果が発揮される。
という物らしい。
俺が持っている所持霊力、多分金みたいな物だろうこれの数値は202。
購入できる数に限りがあるという事だ。
しかし、今最も必要なのは傷薬ポーションだ。
この力がどういう物なのかという実験的な意味でも、これを買う事は間違っていないだろう。
購入は特別な操作を必要とせず、意思だけでできる様だ。
しかし、依然そのポーションなる物は現れない。キッチリと霊力の数値が減っているのにだ。
まさかの詐偽。いや金は取られてないから詐偽じゃないけど。
なんて考えていると、俺の力である『異空間収納庫』の一つが埋まる感覚があった。
そこに入っている物は感覚的に理解可能。それは間違いなくポーションだった。
俺はそれを取り出す。
緑色の液体は、メロンソーダみたいな色をしていた。
勿論、炭酸水では無さそうだが。
一気に俺はそれを呷る。
どうせ、飲まなくても高確率で死ぬのだ。
ここで日和るれる程余裕のある状況じゃない。
ポーションの効果は飲んだそばから現れた。
ダンジョンから時折算出されるポーションという治癒薬は現代医学を超越した物らしいが、これもそうなのだろう。
俺の身体にあった幾つもの打撲と切り傷が消えて行く。
流石に一本で完全には治らなったが、二本飲み終えると折れてそうだった骨も軽く動かせる程回復していた。
残りの霊力は152。
魔剣なんていいんじゃないだろうかとも思う。
剣の訓練何て殆どした事は無いが、振るうだけで魔法が発動するのなら俺でも最低限は使えそうだ。
という事で100ポイント使って魔剣を購入した。
ポーションと同じように異空間収納庫に感覚があり、そこから取り出してみると禍々しい感じの剣が現れた。
柄と刃の間の部分に揺らめく炎のような赤い模様が刻まれていて、刀身の模様も炎みたくなっている。
形状は刀に近く、片方だけに刃が着いて少し沿っている。刀身は多分平均的なサイズだろう。
残り50ポイント。
さてどうするか。
まぁ、それほど購入に時間は必要なさそうだし、物が必要になった時に購入するのがいいか。
そう考え、今は何も購入しない事とした。
このダンジョンの出口は憶えているが、パーティーメンバーの男たちに結構な距離を引きずり回されたらしくかなり奥まで来てしまっているようだ。
ここからソロで帰るのはかなり難しいように思う。
「流石に時間を掛け過ぎたか……」
俺の目の前に魔物が現れた。
シャドウウルフと呼ばれる黒い狼型の魔物だ。
毛皮の色が濃く、その黒さで毛皮の耐久性が変化するという特性を持つ魔物だ。
それが三匹。
取り合えず魔剣を振るってみる事にした。
どれくらいの距離をどれくらいの威力で攻撃するのか分からなかったから、取り合えず今いる場所から振るってみる。
相手との距離は5メートル程か。
身体から魔力が抜ける感覚と共に、振るった刃から炎が発された。
それは魔法使いが使う魔法と同様に、使用者にダメージを与える事の無い不思議な力。
それが3メートル程度の所まで火を噴いた。
流石にシャドウウルフには届かなかったが、それでも効果の実験にはなった。
それに消費する魔力の量も分かった。
魔剣を選んだのは失敗だったかもしれない。後8度も振るえば、俺の魔力は完全に底を着く。
しかし魔剣の力は確かに優秀で、どうにか三匹のシャドウウルフを焼き焦がして倒す事に成功した。
その死体を異空間収納庫に入れる。
すると、更に新たな画面が表示された。
――売却リスト――
・シャドウウルフの焼死体
獲得霊力4
・シャドウウルフの焼死体
獲得霊力5
・シャドウウルフの焼死体
獲得霊力4
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なるほど、死体を還元する事で霊力を獲得できる様だった。
でも、じゃあなんで最初から202の霊力を持っていたのだろうか。
まあいい。どうせこのシャドウウルフの焼死体は使い物にならないし、売り物としてもそれほど価値が高い物じゃない。
さっさと売ってしまおう。
そう操作すると、確かに霊力は13増え、異空間収納庫にあった死体は消滅した。
問題は俺が魔剣を振るえる回数がたった4回しか残っていないという事だ。
龍印を使えば一時的に魔力を増やす事ができるらしいが、気絶すららしいから使えない。
こんな場所で気絶なんてしたら結末は目に見えている。
さて、どうするか。
と、そんな事を考えていた時だった。
魔物の凶暴な遠吠えと、誰かの助けを呼ぶ声が聞こえて来た。




