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再会

《法術士》→《僧侶》へ変更しました。

 辿り着いた第四の街には、今まで通り過ぎた街とは違う空気が漂っていた。

 空は赤黒く染まり、街もどこか廃れている。

 その雰囲気は、終わりが近付いている事を告げていた。


 この場所を超えた最後の街は城下街となる。

 ラスボスである、魔帝が住む城の。


 公式からの情報によると最後のステージは城の中を進んでいく事になるらしい。


「……妙に、空気が重たくないか?」


 トモが街の様子を感じとる。


「それに、やけに慌ただしいような……」


 周りを見てみると、所々でプレイヤーが集まり、話し合っているようだった。

 その表情はどこか困惑しているようだ。


「君達は、ここに着いたばかりかい?」


 そう、話し掛けてくる人影があった。


「僕はレスター。先行プレイヤーの一人だよ」


 先行プレイヤー。

 このゲームの最速クリアを目標に取り組んでいるプレイヤー達の事だった。


「……と言っても、ここで足止めを喰らってるんだけどね」

「妙に他のプレイヤーが慌ただしいようなんだが、何かあったのか?」


 トモがレスターに聞く。


「一緒に着いてくれば、すぐにその理由が分かるよ」


 言われるがままパーティーのメンバーと共に街の外へと連れだされた。

 外に出るまでの間、ヒロは街の様子を伺うが……誰も彼もみんな虚ろな様子だった。


 街の外へ出て見てみる。

 第四の街からのフィールドは、荒れ果てた大地だった。

 草木の無い枯れた地面だけが遠く、向こうまで広がっている。

 その先には城の姿がぼんやりと浮かんでいた。

 空の色は、城へと向かって更にどす黒いものへ変わっていく。

 そして、その城の前から大地を半分程埋め尽くし、波打つのが見える。


「あれ……、全部モンスターか……?」


 波打つ物体の正体は、無数のモンスターの塊だった。

 遠く離れた距離のモンスターが幾重にも重なり、その動きが波打って見えていた。


「数日前、急にこうなったんだ。それまでは今までの街と同じような量だったのに」


 レスターが、遠くで蠢くモンスターの群れを見ながら言った。


「この街が攻略の最前線だった。僕ら最初に組んだ先行プレイヤー三十人はこの街で必要なレベルだけ上げたら直ぐにでも出発する予定だったんだけど……、これ以上進め無くなった。あれのせいでね」


「ありゃ、いくらなんでも多すぎるだろう……」


「モンスターのポップポイントが向こう側に固定されてるみたいでね。こっち側には一匹も沸かないんだ。おまけに、どれだけ待ってもモンスターの塊が散る事も無い」


 しかも、とレスターは付け加える。


「一定のラインを過ぎると、あの全てのモンスターが向かってくるんだ。《暗殺者アサシン》の《隠密歩行ハイドウォーク》で近付こうにも、無効化してくるモンスターも混じってる。辛うじて、第五の街の門まで辿り着いたけど、ボスの周りもモンスターで埋まってる状態」


 個人やパーティー程度じゃどうにもならない、レスターはそう言った。


「じゃあ、これは……」

「多分、『大規模戦争』のイベントだと思う」


 ヒロの疑問に、レスターは先に答える。


「……だから、僕らは今『大規模戦争』に参加してくれる仲間を集めてるんだ」


 酒場で待っても、そう言ってレスターは街へと戻っていった。


「……でだ、どうする?」

「そりゃ、参加するしかないしょ」

「先を目指すなら、進むしかない」


 トモの問いに、咲もシルフィも参加の意思を示した。


「俺も賛成だな」


 そしてトモも。


 三人の視線がヒロへと注がれる。

 ヒロは、もう一度大地の向こうに蠢く塊を見た。


「……俺が出来る事なんて、あるのか分からない」


 あんな、密集された中では……たとえヒロの殲滅力が優れていた所で役に立つとは思わない。

 むしろ、HPを回復出来ないヒロには無理な戦いだろう。


「それでも行く。このクソみたいな仕様で進むって決めたんだ」


 その瞳には強い意思が込められていた。


「それじゃ、決まりだな」


 トモはニカッと笑うと、ヒロの背中を叩いた。

 衝撃にヒロの鎧が弾ける。


「何すんだよっ!」

「さて、酒場へ行こうかみんな!」


「ちょっと、待て!服を着させろ!」


 ヒロの手を、するり、するりと避けながらトモは街へと向かった。

 その後ろをヒロがパンツ一枚の姿で追いかける。


 そんな様子を咲とシルフィも笑いながら街へと向かった。




 街の酒場には、多くのプレイヤーが集まっていた。

 酒場だけに入りきらず、外までプレイヤーが溢れかえっている。


『参加者は、こっちで受付してくれー』


 その集まりの外で、広域ボイスを使って呼び掛ける人物がいた。

 レスターでは無かったが、その仲間の一人なのだろう。

 ヒロ達も、参加の意思を示して受付を済ませる。


 そんなヒロ達に近付いてくる人影が二つあった。


「ヒロさん」「ヒロ」


 リコとエダの姿だった。


「おう、久しぶり……って、二人とも知り合いだったのか?」

「アンタの時と同じ。第三の街でコンビを組んで、ここまで来たのさ」


 ヒロの問い掛けにエダは答える。


「で、アンタの後ろは?」

「ああ、こっちは……」


 目線を後ろのトモ達へと向ける。


「俺のパーティーで、仲間だ」


 そう答えて、ヒロは仲間を紹介した。

 最初の街で、リコの誘いを断ったにも関わらず、こうして紹介するのは気が引けるヒロだったが、リコは特に気にする素振りも無く微笑んでいた。

 仲間と二人、互いに自己紹介し終えるとトモが口を開く。


「ところで、お二人さんもイベントに参加するのか」

「そりゃ参加するさ。このイベントが終わるまで、ろくにクエストも受けられなさそうだしねぇ」


 外のモンスターと同じく、酒場で受けられるサブクエストもこのイベントのものだけとなっていた。


『大規模戦争は明日、午後八時からやります。三十分前には街を出てすぐ外の位置に集まって下さーい。受付を済ませてない人は随時受付します』


 外で受付を行なっていた人が解散の合図を出す。

 どうやらプレイヤーが溢れ過ぎたらしい。

 受付を済ませた人から順に酒場を離れて行く。


 ヒロ達も、受付を済ませてどこか落ち着ける場所へと移動した。


「ヒロさん、あたし《修練僧モンク》になったんです」

「《修練僧モンク》かぁ……」


 《修練僧モンク》、《僧侶ディコン》からのクラスアッブで、回復や支援よりも打撃に特化させた上級職業。

 それから、ヒロと別れてからどうやってここまで進んで来たのかをリコは話す。


「ヒロさんに指定ボイスを開いた時、丁度後ろにエダさんがいて……」


 ボスの直前に二人から同時に指定ボイスが届いたあの時、二人は知り合ったらしい。


 エダの方を見ると、トモ達と話し込んでいる所だった。

 その視線にトモが気付き、こちらへと声を掛けてきた。


「エダと話してたんだけど、二人ともウチのパーティーに入ってくれないかってな」


 これで丁度六人になるし、と。


「《修練僧モンク》と《暗殺者アサシン》ならアタッカーとして十分だしな」


 そのパーティーなら、ヒロを除いて満遍なくバランスの取れたものになるだろう。


「俺は賛成だよ」


 反対する理由も無く、ヒロは答える。


「あたしも、お願いします」


 リコも賛同する、そして



「これで、やっと一緒にゲームが出来ますね」



 ヒロにそう言って笑った。


読んで頂いて有難う御座います。

ご指導、ご指摘宜しくお願いします。

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