第40話 介護
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福祉介護師の人を呼ぶと、要介護とか、要支援とかそれに数字をつけて言うのである。伯母が親父の代わりにこれからの話をしていた。
「大変ですね。まだこれだと要支援6なのでヘルパーはつかないんです。――これ、一応、介護グッズのカタログです。」
それだけ話して福祉介護師は帰った。
「福祉介護制度なんて、いい加減なものだよな。杖ついて歩けるって言ったって、人が見てないといつ転ぶか分からないのに」
幸助はいつものソファに腰かけて伯母と話した。伯母はカタログに載っているいくつかのグッツを眺めながら、介護士の人から勧められた商品を見比べていた。
「でもそういう決まりなんだから、仕方ないわよ」
幸助は食卓の方に座っている伯母を見て話を続ける。
「だけど面白いねこのグッズ、なんか安っぽいカタログだけど、祖母さんのその貰った杖、脚が四つに分かれて四点で支えるから、フラつかないんだね」
「よく考えられてるよね」
伯母はそれだけ言って、昼食を作った。――祖母と幸助の分まで。
「今日もお風呂に入れて、寝かせてあげてね」
「はいよ」
祖母が退院してから夜は幸助が祖母の世話をした。昼間は伯母が訪れて祖母の世話をした。伯母は理解のある人で、彼のことも、父のことも、祖母のこともよく知っていたから、幸助は気負わずに昼間は大学に行くことが出来た。
「何かあったら連絡すれば良いからね」
「わかった。ありがとう」
「いいえ。――じゃあ今晩は、作って冷蔵庫にあるから、あれ食べてね」
伯母はそれだけ言って出て行った。
祖母は寝室で寝ていた。暫くは放っておいて、彼は食事にした。




