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マナギア~異世界で契約した銀髪メイドが魔剣だった件。魔人と戦う俺は生きた鎧へと変身し無双する~  作者: 河原 机宏
第二章 魔剣と聖剣

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光と闇の必殺闘技

 グランソラスを装備した時に使用可能な力は俺が持つ光系統の魔力とアンジェの闇系統の魔力だ。

 今まではその二系統の闘技なり魔術を使い分けて戦って来た。もっとも俺は光の魔術は使えないけども。

 その中でも最大の威力を持っているのは、光系統の闘技〝白牙びゃくが〟と闇系統の闘技〝無影斬むえいざん〟だ。


 『この二つの闘技を同時に繰り出したらどうなるのだろうか?』というのが俺が試してみたい技だ。

 本来なら相反するはずの光と闇の魔力。それを一つにまとめ上げた時に何が起こるのかはアンジェも知らない。

 もしかしたらお互いの魔力が干渉し合って何も起こらずに終わってしまうかもしれない。

 それでもこの技に全てを託す価値はあるはずだ。


「つっ……くそ……思い通りに魔力が上がらない……!」


『光と闇の魔力が反発し合ってコントロールが難しい状態です。アラタ様、頑張ってください。私も可能な限り補助します』


「分かった、根性を見せてやる! うおおおおおおおおおああああああああああっ!!」


 アンジェのコントロール補助を受けながら光と闇の魔力を同時に高めていく。

 二つのエネルギーが反発し合いながらのこの作業は、まるで荒れ狂う海の上で船がひっくり返らないように必死で舵を取るようなものだ。

 繊細な魔力コントロールが必要な作業に涙が出そうだ。この戦いが無事に終わったら練習しよ。


 魔力をある程度上げた時、今まで反発し合っていた二つの魔力が突然一つにまとまった。それによってコントロールも安定して面白いように魔力が上がっていく。

 俺はグランソラスの刀身から放たれる白と黒のオーラを見て息を呑んだ。白い光を基礎としながらもその中に黒い光が混じり込んだ不思議なオーラ。

 この不可思議な光を前にアンジェも困惑気味だ。


『不思議です。さっきまでは今にも暴発しそうだった二つの魔力が今では穏やかな水面みなものように静かになっています。それでいて内包されたエネルギーは凄まじい。こんなの初めてです』


「そんなヤバいエネルギーを受けてアンジェは大丈夫なのか?」


『問題ありません。この身体は金属として最高峰のオリハルコン製ですからちょっとやそっとでは壊れません。それに今発せられている力は見た目ほど負荷はありません』


「そうか……それなら良かった。――よし、それじゃ一気に決めるぞ!!」


『かしこまりました』


 完全に一つとなった光と闇の魔力を最大まで高めてグランソラスの刀身に集中させると巨大なオーラによる刃が形成された。

 イビルプラントの触手が数本近づいてくるが、その刃に接近すると一瞬で弾け飛び消滅する。


「これで吹きとべぇぇぇぇぇぇ! 光と闇の必殺闘技、斬光ざんこう……白牙びゃくがァァァァァァァァァァァ!!!」


 グランソラスの刀身に集中させた魔力を解放すると光と闇による巨大な刃が放たれる。

 白と黒が混じったその刃はイビルプラントの触手を一瞬で消滅させ本体を真っ二つに斬り裂いた。

 さらに斬り裂いた断面からイビルプラントの身体を物凄いスピードで分解していく。

 間もなく大樹の魔物は跡形も無く消え去り、その場所には巨大な斬撃の痕が残っているだけだった。


 この予想以上の破壊力と強敵の消滅という事実をすぐには頭が受け入れず、俺はしばらく放心状態のままグランソラスを握りしめていた。


『アラタ様、お見事でした』


「アンジェ……俺たち……やった……のか……?」


『……はい。私たちの勝利です』


 アンジェが言った『勝利』という言葉を徐々に受け入れていくと自分の中で喜びが爆発した。


「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 今までの人生で感じたことの無い達成感と充実感が全身を駆け巡る。

 あー、この感じはヤバい。絶対アドレナリンがどばどば出ているに違いない。


「凄いです。やりましたよ、アラタさん!」


 ルシアが大喜びで俺に抱きついてきた。アンジェの時と同様にめっちゃ柔らかいモノがぐいぐい当たっている。


『いきなりずるいではないですか、ルシア!』


 言うや否やアンジェが魔剣状態から人間の姿へと戻るとルシアとは逆の方向から俺に抱きついてきた。

 なんか……もう柔らかすぎて訳が分からなくなってくる。こんな幸せな感覚を自分が味わえるなんて……俺は明日死ぬかもしれない。


 イビルプラントの完全消滅を確認した後、俺たちは一旦森の出入り口まで戻りその場にいた冒険者パーティにイビルプラントの件を説明した。

 すると彼らは一番近くの冒険者ギルドのある町『ファルナス』に伝言鳥を飛ばしてくれた。

 伝言鳥はオウムのように人の言葉を話せる鳥で、今回のような緊急時に要件を覚えさせ目的地に飛ばして情報のやり取りをする。

 アンジェも『マリク』に到着して間もなく伝言鳥を使ってメイド協会『ゴシック』に自分の無事を知らせていた。


 冒険者ギルドへの報告が済んだ俺たち三人は当初の目的通りに『試練の森』内で探索を続けた。

 新しい目的としてグランソラスだけでなくブレイズキャリバーに慣れるという事と他のイビルプラントがいないか調査するという事が追加された。

 翌日には『ファルナス』から派遣された多くの冒険者たちが『試練の森』にやって来てダンジョン内の人口密度がかなり上がった。

 俺たちと彼等の数日間にわたる調査の結果、イビルプラントはもういない事が分かり、この件は一応収束した。


 『ファルナス』から派遣された冒険者の中でリシュウという名のやたら厳つい爺さんと知り合ったのだが、その人は二十代くらいのアシェンという女性と一緒に来ていた。

 話してみた感じだと爺さんがマスターでその女性はアルムスのようだ。

 俺はこの森で修業中という事を話すとリシュウの爺さんは興味を持ったらしく、色々とアドバイスをしてくれた。

 爺さん達は調査が終わって『ファルナス』に戻る際、俺たちがそこの冒険者ギルドを訪れるようなら顔を出せと言っていた。


 こんな感じで初のダンジョン生活の目まぐるしい一週間は終わり、俺たちはマーサさんが待っている『聖剣の鞘』へ帰ることにしたのである。

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