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明日(土曜日)の予定

ご指摘があったので、少し内容を変更します。

 僕は呆然と風香ちゃんを見る。


「な、何言って……」


 彼女はふっと笑い、


「冗談よ、本気に取らないで」


 そう行って自分の席に戻っていった。

 僕は授業中、部活中に彼女の表情と発言の雰囲気が脳裏に残る。


──本当に予定を明日に入れてみる?


 この時の顔は冗談の表情ではなく、真面目に見えた。そう感じてしまっただけだろうか。いや、そんなことは……、


「危ない!!」


 僕が気づいた時には顔にボールが当たっていた。


「小野原、小野原ーっ」

「いてて……」


 軽くクラクラしたので部活仲間に連れられて保健室に行った。そして保健の先生の眞鍋が、


「軽い脳しんとうと打撲ね。しばらく安静にしてた方が良いわ」


 そう言って保健室のベッドに横になって安静して、しばらくすると暗闇から風景が現れた。ここは……公園?


「孝君。何ぼーっとしてるの?」


 少女が笑いながら僕に問う。


「あ」

「ブランコに行こ~♪」


 彼女は僕の手を持って遊具の方に連れて行く。


「私が孝君の後ろ押してあげる♪ 危ない? 危なくないよ。大丈夫♪」


 彼女はブランコに乗った僕の背中を押す。


「い~ち、に~、さ~ん……」


 僕と同い年と思う彼女は楽しそうに押しながら数字を数える。


「楽しい? 孝君?」

「うん、楽しいよ」

「え? ¶†がするの? まだ小さいから危ないわ」


 彼女はある少女を止めに入る。そして僕はふと振り返ると、僕の乗っているブランコが同い年の彼女に当たりそうだった。


「危ない!……」


 そして僕はふと口に出す。


「風香ちゃ……」


 はっとして目を開けると、白色の天井だった。

 ここは……あぁ、保健室か。僕は寝てたのか。そして起き上がると頬に痛みが走る。そうか、ボールが顔に当たったんだ。ぼーっとしてた気がする。何考えていたかな……覚えてな……、


「先輩?」

「!?」


 そして声の聞こえた方を見ると、優海ちゃんが柳のように綺麗に伸ばした眉毛を垂らして椅子に半座りしていた。不安そうだ。


「優海ちゃん……」

「大丈夫ですか先輩?」

「あぁ、大丈夫だよ。いてて……」

「だ、大丈夫ですか、先輩!?」

「だ、大丈夫だよ……いてて」

「大袈裟ねっ。若いんだから、しばらく冷やすやつ当てときゃー自然と治るわよ」


 シャッと白のカーテンを開けて口に棒を咥えた保健室の眞鍋があっけらかんと言った。


「先生……」

「本当にとろくさいんだから、どうせ碌なこと考えてなかったんでしょ?」


 そうだったかな? 覚えてない……。


「偶々私が放課後に居たから良かったものの、居なかったらどうなってたでしょうね?」


 彼女はにやにやしている。


「全く残業代誰が出してくれんのよーっ。本当誰かが出してほしいものよっ」


 そう言って笑いながら彼女は自分の席に戻って行った。


『気になるんだったら病院行きなよ』


 そう眞鍋が言った後、顔に包帯を巻いたまま保健室を出て優海ちゃんと帰る。


「ところで優海ちゃんがどうして保健室に?」

「先輩がなかなか待ち合わせ場所に来なかったので、校門に向かうと偶々先輩と同じ部活の方に会ったので」

「そうか、ゴメンね。しばらく待たせてしまったんだ」

「いえ、大丈夫ですよ。はい……」

「?」


 彼女は少し元気がなかった。どうかしたのか?


「どうしたの優海ちゃん。元気ないね?」


 彼女ははっとしたような顔になり、


「いえ、全然大丈夫ですよっ」


 明るくニコッとした。そして彼女は話を変える。


「ところで小石川さんとの話はどうなりましたか?」

「あぁ、それが……」


 そして僕ははっとした。あの時の風香ちゃんの雰囲気を思い出す。そう言えばそれに引っかかていたな。それを糸口にして徐々に思い出していく。


「先輩?」


 彼女の声を微かに聞こえながら、頭をフル回転させる。そうかそれで……ボールが、だったな……。そして彼女の方を見ると心配そうな顔でこっちを見ていた。


「あぁ、ゴメンゴメン。考え事してた」

「それで小石川さんは……」

「あー、何かクラスに来て断りに来たよ」

「え?」


 彼女は拍子抜けしたような顔になり、


「そ、そうですか……」


 少しホッとした顔になっていた。そしてしばらく歩いていると、


「ところで明日、用事ありますか?」

「え? 部活ぐらいかな?」

「だ、駄目ですよ! しばらく安静にしとかないと!」

「そ、そうだな……」

「……もし良かったら、明日……先輩の家に行っていいですか?」

「え!? どうして!?」

「先輩の体調を見たいんですが、駄目……ですか?」


 僕が驚いたせいか、彼女は保健室にいた時のように眉毛を垂らす。


「いやいや、駄目じゃないよっ! 嬉しいなー」


 何か明日の件で色々とあったけど……。しかし彼女は詳しいことは知らないので無垢な笑顔を僕に見せる。


「ほ、本当ですか? ありがとうございます!!」


 小さな声でやったと言って彼女は嬉しそうに軽くガッツポーズをする。

(まったく、姉妹で違う可愛さを持ってるな……)

 そして僕達は家の分かれ道まで一緒に雑談しながら帰った。

 ということで明日()()()優海ちゃんが僕の家に訪問する予定になりました。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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