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夏の思い出  作者: 凡。
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(1)「はじまり」

ひと夏の思い出。あの時の出来事を俺は忘れない。

当時の俺はまだ学生だった。

学校から出た夏休みの課題は、町役場の手伝いをしてくること。

宿題や自由研究とかをしなくて済むというのもあって俺は喜んでいた。

だが、いざ行ってみると力仕事ばかりで毎日が体力勝負みたいなもんだった。


「お、よく来たね。じゃあまずはこの荷物をお願い。

 場所は、郷土資料室。分かるかい? この廊下の先にある部屋だよ。

 部屋の前に書いてあるから分かると思う。」

「はーい、分かりました。行ってきますね。」


大きめの箱と細長い箱。同級生と手分けして持って郷土資料室に。

結構どれも重たくて、なかなかに重労働だ。


「全くよぉ、何がラクな課題なんだよ……。」

「ほんとそうだな。これだったらまだ宿題の方がラク出来たんじゃ?」

「力仕事ばっかりで疲れるし、せめて何か面白いもんでもあればなぁ。」


お互いに愚痴りながら荷物を部屋に置く。

広い部屋に、乱雑に置かれた資料。

それぞれの資料には番号も振られているのだが、置いてある場所がバラバラだ。

なので資料の番号や種類を整理する話も頼まれている。


「……かなりの量があるな、これ。」

「今日中には終わりそうにないね。」

「相当長い時間ほっとかれてたのもあるっぽいな。ホコリ被ってるのもある。」


溜息をつきながら、分担を相談する。


「はぁ……。じゃ、俺は入り口から右の方から。」

「なら、入り口の奥からにする。」

「じゃあ俺は入り口の左でいいな。」


それぞれ手分けして手前から整頓し始める。


「何かあったら声出すってことで。」

「おう。」

「了解ー。」


1時間ほど黙々と作業をしてから、お互いに疲れて部屋の中央に戻ってくる。

俺はその途中で気になる書類を見つけた。


「もう、むーりー。なんなんだこの量は!」

「ホコリ被ってる意味、分かった気がする。」

「これどれだけ整理すれば終わるんだ……。」


役所の人にも、できる範囲でいいよとは言われているが、

こんなに大変だとは思ってなかった。


「とりあえず、いったん戻るかー。」

「おう。」

「……ん?あ、ちょっと待って。こんなのあったよ。」


見つけてきたそれは、古そうな書類だった。

背表紙に書かれていたのは、【大狼神伝記、狼牢寺】というもの。


「何だそれ?狼牢寺?何て読むんだ?」

「この街のやつかなぁ?相当古い感じじゃね?」

「分かんねえな、大人に聞いてみるしかない。」


俺達はその資料を持って、役所の人に聞いてみた。


「あの、この資料って何ですか?」

「え?……何これ。どこにあったの?」

「郷土資料室の部屋に落ちてましたよ。左の方の奥に。」

「おっかしいなぁ、こんなの見たこと無いんだけど。

 調べてみるから、預かるね。何か分かったら教えるよ。」

「分かりましたー。」


その日は夕方まで倉庫の整理や資材の確認とかをしていた。

来月末くらいには夏祭りもやるので、そのための準備も。

出来るところまでやって、家に帰った。


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