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40 飼い主に似る

閲覧ありがとうございます。

今日の魔法学の目当ては王族の使役獣について知るという事になった。


そういえば、王族男児は何かを使役しているって言ってたね。


私は右手を上にあげた。

「はい。」

「はい、どうされましたか?ルキアーナ様。」

発言前に手を上げるのが珍しいのか、隣の2人が不思議そうな顔をしているが無視。エーデル侯爵が当ててくれたので答える。


「王族男児は何かを使役すると聞きました。いつから使役するものなのですか?」

「そうですね…」

「そんな事も知らないのか?」

エーデル侯爵が教えてくれようとしたのに、ネクス殿下が割り込んできた。


知らないよ、こっちに来て間もないんだよ。


殿下に聞いてないしと思いながら睨む。

「キロネックス殿下は生徒です。私はエーデル侯爵様にお聞きしたのです。静かにして下さい。」


「なっ!」

ネクス殿下がカッとなると、その後ろから、

「あ、兄上になんて口の聞き方。失礼だ!」

もっさり王子がガタンと立ち上がる。


そんな3人にエーデル侯爵がまあまあと嗜めながら、

「殿下方はご存じとは思いますが、今一度お聞きいただけたらと思います。」

と言ってもっさり王子に着席を促した。


そしてエーデル侯爵が話し始めた。

「起源はこの国の創設からになります。まだ各地国ができていなかった頃、人々と魔獣は日々生活圏の争いをしておりました。無論魔法を使えど、人は多くの魔獣には勝てませんでした。この地から人が消える事を危惧した者が神に願います。この身を捧げるから彼の地をお守り下さいと。神は手助けはするが自分達で事態を収束するよう命じます。この時に願った者へ神は神獣を憑依させました。その者は圧倒的な力を与えられたようです。神は試したのです、その力で魔獣を全て殺すようであれば、この地を無に返そうと。しかしこの者はそうしなかった。この者はその力を人々が住まう国の創設と魔獣が住む森の区域分けに用いました。それに感銘を受け、その者に神獣を与えたままにしたそうです。そして王となったその者の血を引き、次代の王の資質を持つ男児は魔獣の事もあるようですが、使役獣と共に生まれるようになったと言われています。」


おお〜、めっちゃファンタジー。


へ〜初代王様はいい方だったんだね。徳を積んだから神獣を得れたんだね。

魔獣も守ってあげるってすごいよね。魔獣って響きから怖そうだし。


うんうんとお話しを噛み砕いていると、隣から。

「わかったか?私達がいかに素晴らしいか。」

と偉そうな声がした。


「いやいや、今の話をちゃんと聞かれてましたか?初代王が素晴らしい人徳のある方だったという話ですよ?」

私が反論すると、ネクス殿下はふふんと笑った。

「だからその血を私達は受け継いでいる。」


バカだ、バカなのか? その座にふんぞり返りおって。


「だから血が使役獣と繋がりを持つのなら、ただの遺伝です。」

そう答えると、またネクス殿下が怒り気味に。

「お前はちゃんと聞いていたのか?次代の王となる男児だけが使役獣を受け継ぐと。その資質を私は持つと言っているのだ。」


「資質とは?今の殿下方を見る限りではやはり遺伝です。資質があるというだけです。使役獣に見合う、神に認められる人物になるかはその人の努力と生き方だと思いますよ?」

射抜くように言うと、ネクス殿下はウッと詰まった。


後ろからもっさり王子が、

「不敬だ!不敬だ!兄上は素晴らしいのだ。兄上こそふさわしいのに、不敬すぎる!」

わーわー文句を言う。


もっさり髪がユッサユッサ揺れているだけだから全く怖くない。


「ははは、これは珍しい。いつもより大人びていて、なかなか手厳しい指摘ですね、ルキアーナ様。」

エーデル侯爵に言われて、私も詰まる。


ネクス殿下の登場で、いつもより素が出てしまう。

気をつけなくちゃ。


「申し訳ございません。言葉を選ぶべきでした。」

そう頭を下げると、

「いいえ、殿下方には良い刺激であったと思います。」

と笑ってくれた。


「全く内容の訂正はしてないではないか。」

不服そうにネクス殿下が言う。


だって間違えてないもん。殿下方の性格はどうかと思うし。


ふと頭上の温かさを感じた。

モップ様はもっさり王子の使役獣よね?


ばっとネクス殿下の方に向くと、殿下は珍しくビクッとなった。

「な、なんだ。」

私はモップ様を指差す。

「モップ様は第二王子殿下の使役獣です。王には第二王子がなるのが決まっているのですか?」


私がそう言うと、ネクス殿下は顔を真っ赤にして怒って立ち上がった。

「王には私がなると言っただろう!もちろん私にも使役獣くらいいる!この度は王子2人とも使役獣と共に生まれてきたのだ!」

その剣幕にびっくりしてしまう。


「あ、兄上が王になるに決まってる!君は失礼すぎるよ。」

もっさり王子も殿下の背後霊のように苦言を呈してくる。


「そ、そうなのですね。殿下も使役していらっしゃるのですね。」


知らないし、誰が使役してるとか。

ただ王が決まってるなら、なんでルキアーナちゃんが選んだ王子が王太子になるって言われてるんだろうって思っただけだし。


じゃあ、もっとしっかりしろよ、2人共!

そう思って2人を睨むと、2人して目を逸らして座った。


このやろう……。


「そうなのです。此度は殿下方御二方共、使役獣と共にお生まれになり、得難い幸運なのです。」

誇らしげにエーデル侯爵が言った。


幸運なのか? まあ、どちらかが真っ当になったらね。


「共に生まれてくるとは、どういう事なのですか?」

「そのまま言葉通り、手に使役獣の卵を握って生まれてくる。」

ネクス殿下が答えてくれる。


え、卵も一緒に?母体の腹の中でどうやって卵も作ってるの?

鶏のようなシステムもこちらの世界の人には備わっているって事?


首を傾げると、エーデル侯爵も首を傾げた。

「どうされましたか?」

「いや、人体の不思議に直面してます。哺乳類と鳥類の特徴を持つ出産が、意味不明で。」


すると横からネクス殿下が文句を言う。

「またお前は、王族を鳥と同じにするな!」


いやだって、卵を人は普通産めないよ?

全く理解できない。


「神聖な事なのだ。神秘的と思え!」

更に殿下が言う。


「そんな非科学的な。」

私がそう言うと、殿下が怪訝そうな顔をした。

「ひかがくてきとは、なんだ?」

あ、科学なかった。魔法だった。


ニッコリ笑って誤魔化す。

「言葉が難しかったですね。証明できそうにない事象の事です。ほほほ。」


するとバカにされたと思った殿下が盛大な舌打ちをした。

殿下、キラキラが崩れてきてますよ?


「ま、まあ、王族が使役している獣については、まだ分かっていない事も多いのです。」

エーデル侯爵が控えめにまとめてくれた。


そうなってくると気になるよね。

「キロネックス殿下。」

私が呼ぶと、

「なんだ!」

イラついてる返事が返ってきた。


イラつくなら講義に参加しなかったらいいのにと思いながら、

「殿下の使役獣様はどのようなお姿なのですか?」


私が聞くと、途端に苛立ちが霧散しキラキラしい笑顔が復活した。

なんとなく聞くのが嫌になる………。


当たり前のようにもの凄く威張って、

「それは素晴らしい使役獣だ。」

「そうだ、兄上の神獣はとても美しいんだ。」

背後霊のもっさり王子が援護する。


ほ〜そんなに綺麗なのか。


モップ様も可愛いけどね。思わずモップ様をなでなでする。

「あ!」

もっさり王子が拳を握っているが気にしない。


あったかい、柔らかい、可愛い。


するとネクス殿下がエーデル侯爵に、

「使役獣を呼び寄せても構わないか?」

と聞いた。


「もちろんです。構いません。」

エーデル侯爵はそう言うと、指を振った。

瞬間、後ろのテーブル一才合切が消えて空間ができた。


すごっ。目が丸くなる。


そして空間にネクス殿下が立つ。

「ラルクァンシエル。」

そう言った瞬間、眩しい光が出現した。


そっと目を開けると、そこには殿下より遥かに大きいライオンみたいな生き物がいた。


「大きくて眩しい……。」

私の漏らした感想にネクス殿下は満足そうに頷く。

「そうだろう。王に相応しく神々しいのだ。素晴らしいだろう?」


いや、違う。


神々しいに間違いはないのだけど、その毛並みはゴールドでキラキラ輝いている。

なんなら翼もゴールド。そして何より印象的なのが立て髪。

もうレインボーカラーが光っていて、目がチカチカするのだ。


まるで殿下パート2ではないか。

揃うと更に光線が強い。


すごいとしか言いようがない。こちらも飼い主に似過ぎ。


「あ、兄上の神獣様はいつ見てもお美しいです。」

もっさり王子は神に祈るように、手を組んでいる。


私は手でうっすら目を隠しながら、

「キロネックス殿下の神獣様は翼があるのですね。」

素晴らしいかどうかはよく分からず、見たままを言ってみる。


「そうなのだ。この神獣はゴールデンレインボーライオンと言って、翼を持つ獅子だ。名はラルクァンシエルだ。」


ゴールデン……レインボー……ライオン………。

そのまんまで笑いそうになる。


大きくてキラキラゴールドのラルクアンシエル様と小さく真っ黒のモップ様。


共に飼い主に似すぎていて、笑いを堪えるのに必死なのだった。











閲覧してもらえて嬉しいです。


ラルクァンシエル様はモップ様と対照的にしてみました。


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