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突然の悠里くんからの告白に混乱する私。
混乱が収まらず、私がアタフタしていたため、悠里くんにタクシーに乗せられました。
着いたのは悠里くんの自宅みたいです。
大企業の社員さんだけあって良いマンションですね。
「座って」
「はい…」
タクシー内で幾分か落ち着きました。
と言っても、悠里くんの家に来ているので、心臓が煩いです。
全身が悠里くんの匂いに包まれている感じがします。
「俺は楓が好きだ。昔もそうだった。責任なんかじゃない」
「うう…」
悠里くんは、ソファーに座ると私を抱きしめてきます。
暑いです。
真冬なのに暑いです。
「会社で楓と分かったときに改めて好きだと思ったんだ」
「………」
「嘘じゃない」
「うう…」
悠里くんから愛の告白です。
今までも2回告白されていますが、こんなにドキドキするのは初めてです。
自分でも顔が赤いのがわかります。
「楓、俺じゃダメかな?」
「…ダメじゃないですけど」
「けど?」
「私は悠里くんに釣り合いません。私みたいな女と悠里くんじゃ不釣り合いです」
私だって昔悠里くんが好きだった。
あんなに優しくされたらどんな女でも落ちちゃいます。
私も見事に落ちちゃいましたし。
「本気で言っての?」
「そうでしょう?私みたいな田舎娘…んんっ!?」
「…悪い口はお仕置きだ」
悠里くんにキスされました。
まだ何も言ってないのにキスするなんて最低です。
でも、私の心は喜んでいるみたいです…。
「楓、今日みんなに何か言われなかったか?」
「はぁ…」
今日の出来事を話す。
皆さんが雑誌の女の子に比べて可愛いと。
私が可愛いわけないですよ。
「それが一般常識だ」
「はぁ…」
「いいか。楓は十分可愛い」
「可愛くないです…」
「自己評価低すぎだろ…」
そう言われましても…。
自分のが可愛いなんて言える程、私は自意識過剰じゃないです…。
「改めて…。楓、俺と付き合ってください」
「うう…」
「楓は俺のこと嫌い?」
「…嫌いじゃないです」
「好き?」
「…多分」
悠里くんのことは嫌いじゃないです。
好きです。
全てを打ち明けてくれた悠里くん。
昔のように優しい悠里くんにときめかないなんて無理です。
「なら、大丈夫だ」
「だいじょ―――んっ!?」
まだ返事もしていないのですが…。
悠里くんはキス魔です。
痴漢です。
変態です。
「キスは初めて?」
「初めてじゃないです…」
「そ、そうか…」
初めてじゃなくても顔は真っ赤になります。
昔みたいに頬じゃないですし…。」
なんで悠里くんは落ち込んでいるのでしょうか。
「私のファーストキスは悠里くんじゃないですか。昔頬にしたことあります」
「…あ」
「忘れてたんですか。最低です」
「ごめん」
悠里くんは忘れていたようです。
私は悠里くんとしかキスしたことないです。
謝りながらキスされても困ります。
「ごめん…。ちゃんと責任取るから」
「え…、ちょっと悠里くん!?」
悠里くんがソファーから私をお姫様抱っこで抱き上げます。
た、高いです…。
「きゃっ…」
「我慢の限界…」
「いやぁ…」
悠里くんに襲われています。
現在進行形で襲われています。
ちょっと待ってください!
「待って…!」
「ダメ?」
ダメじゃないです。
ダメじゃないですけど…。
「…悠里くんに襲われてないということでしたので」
「そうだな」
「…その、私…初めてです」
悠里くんに襲われて処女じゃくなったと思っていましたが、悠里くんには襲われていないようですので、私は未経験です。
恥ずかしながら、21にもなって処女です。
未経験です…。
「俺が初めて?」
「…そうですね」
「優しくする」
「…昔の記憶を上書きしてください」




