難民受け入れ。
ある日の夕食での報告会
「魔王様、予測していた通り難民の方々が後数日で押し寄せて来そうですわ。」
以前のマリーの予測通り難民がもうそろそろくるそうだ。
「そうか、城壁はほぼ元通りで居住スペースも確保できてたよね。でもその前に城壁前で一時待機してもらって病気の有無の検査をしなきゃならないね。医療部隊からお願いできるかい?」
「もちろんでございやす魔王様。必ず変な病気は街に入らない様にしますんで、ご安心くだせぇ!」
彼はオクト。医療部隊を束ねるタコの亜人だ。その頭脳と手腕により数々のものたちが助けられた。
数日後簡易テントを設置して難民の到着に準備を整える。
「来ました!難民の方々です。」
先頭が見え始めると一気に緊張感が増して来た。
「さぁ、今日は眠れないと思え!俺たちに街の衛生がかかってるんだからな!」
オクトが隊員を鼓舞すると皆がそれに合わせてテンションを上げる。
流れはとてもスムーズで重症者、軽傷者に分けて様々検査した後に数日間テント泊をしてもらい問題なかったものから居住スペースへと案内する。
街の中での案内人はローズ・クイーンの部隊員が務めた。
数日をかけて8割9割ほどが終わった。今の所時に大きな問題もなく進んでいる。
ドンッ!と大きな音を立て地面が抉れた中心にはあのウサギが立っていた。
「誰だ?私の睡眠時間を妨害したやつは。」
ついさっき、本当に先ほどまでは問題なく進んでいた。
この現状に皆が混乱している。それは魔王軍の者たちも例外ではない。
「そこのお前とお前、それにそっちのお前もだ。外套を脱いでこっちに来い。2度は言わない。早く。」
そう言われた者たちは周りの難民を人質に取り魔王を出せと言ってきた。
風でフードがめくれるとその姿は明らかに人間だった。
「おい、難しい話はお前たちでやれ。」
ルーナはそう言うと座り込んでしまった。
「それでは、魔王様の代わりといたしまして不肖私オクトがお相手つかまつる。そこの御三方、今日は何用でござろうか?」
「お前たち魔族や亜人、魔物はこの世界の悪だ!それを綺麗にしにきたんだ。」
そう言った男の目は血走って焦点もあっていなかった。
「うむ、言葉が通じてない様でござるな。」
「オクト、私に変わりなさい。」
そう言った出てきたのはローズ・クイーン。
ローズクイーンの能力で難なく相手3人を拘束する。
「それで、あなたはどこの誰なのでしょう?」
「俺たちはお前らを根絶やしにしろと神から使命を頂いたから来たんだ!」
そう言うと男たちの体は異様な膨れ方をしてローズ・クイーンの拘束をぶち破った。
「これが我が神の力だー!」
「早くするぞ!」
「まかせろ。」
そうして異様なまでに上昇したその能力を持ってその場の皆を蹂躙する。
「もういいか?」
いや、蹂躙できなかった。その声の主によってその3人はただの肉片へと変えられていた。
「あー、やっちった。まぁ、後はよろしくね。」
そしてそのウサギは城壁を軽々飛び越え城へと戻って行った。
その場にいた難民の全員がその強さに希望を抱いた。ここなら。ここでならと。
ルーナの活躍を見てからは今まで以上に皆が協力的になり数日後には全ての受け入れが終わった。
簡易だか居住スペースを与えられただけで喜んでもらいこちらまで嬉しくなり準備した甲斐があった。
だんだんと落ち着いてきたら各人仕事を探す様に伝えてある。まだ小さい子たちがいる家庭には王立の学校へ通ってもらえる様にお願いをしているところだ。
とりあえずは難民受け入れ関係はほとんど片付いたと言ってもいいかもしれない。
そして数ヶ月、畑を増やしていたため食料問題も起こらず勇者や英雄からの襲撃もなく平和な日々が続いていた。その間ルーナはずっと食っては寝の生活をしていたがその体型に乱れはなく羨ましい限りだ。一体どうなっているのだろう。私は運動しても最近は少しお腹が出てきてしまっているというのに。
「さすがに、ルーナにも何かしら働いてもらわないとな。」
勇者襲撃の際の活躍によって今までは誰も何も言わなかったが数ヶ月がたった今、少し優遇しすぎなんじゃないかなどの声がちらほら聞こえてきていた。
一度ルーナとしっかり話し合う必要があるな。
「カルネラ、いつもご苦労様。ルーナはいるかい?」
「これは魔王様、ご機嫌麗しゅうございます。ルーナ様はただいま就寝中でございます。」
ルーナの専属メイドとして付けたカルネラ。その小さな見た目からは想像できないほどのシゴデキメイドさんだ。
「そうか、ありがとう。起きた時に僕の方に一度声をかけてくれ。」
本当にご飯を食べているか襲撃などのトラブルがある以外は本当にいつも寝ているところしか知らないな。
「いえ、お待ちください魔王様。あの者はお食事時まで惰眠を貪るでしょう。只今起こしてまいりますので少々お待ちを。」
そう言うと部屋の中に入っていきものの数分でルーナを連れてきた。
「なぁ、魔王様よ、このメイド変えてくんねぇか?なんかちょっと怖いんだよ。」
あのルーナにここまで言わせるとは底が知れないな。メイドにしておくのは勿体無いのかもしれない。だが
「すまない、今はどこも人材不足でやってあげることができないんだ。」
「ちっ、使えねーな。んで、なんかよーか?」
「あぁ、さっきも人材不足って言ったろ?だからルーナにも何かしら働いてほしいと思ってね。」
「この前働いたばかりだろ!あと数年は休んでいいはずだ。」
「もちろんそれぐらいの活躍をしてくれたのは確かなんだけれども、何せ私たちは様々なものたちの集まりだ、不満も出てくるのさ。簡単なのでもいいからやってくれないか?」
「それじゃ本当に簡単なものだったらやってやるよ。」
「魔王様、失礼ながら発言をお許しください。私とルーナ様の2人で城壁の守護兵などいかがでしょう。最近はめっきり襲撃もなくなりましたし、何もなければ休んでもいい、うってつけかと。」
「休んでいいのか!それならいーぜ!」
カルネラ、彼女は恐ろしいな。守護兵は常に気を張っていなければならないしトラブルがあったらどんな敵であっても1番に現場に向かわなければならない不人気の仕事だ。それを知らないルーナを自分もやると言うことで難易度が低い様に見せかけてやらせるとは。
本当に恐ろしい。
「そうだね、それじゃ城壁守護兵をお願いするよ。早速明日からお願いしてもいいかな?」
「はぁ、明日からかよ、はえー………」
カルネラがルーナを睨むと流石のルーナもたじろいだ。
「ルーナ様ここで寝ても城壁上の詰所で寝ても変わりません。早速明日から行うとしましょう。それでは魔王様、明日から務めさせていただきます。」
「う、うん、よろしく頼むよ。」
そんなこんなでルーナの働き口問題はカルネラのおかげで意外にもすぐに終わった。私1人だったら押し切られて働かせることができなかったかもさせない。
まだ午前中なのにすでに疲れた。
少し休んで昼食を済ませたら次はオジバルのところにでも顔を出すか。




