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魔王と使い魔召喚。

「ま、魔王様ー、大変ですっ!!

勇者どもが乗り込んできましたっ!」


私はこの世界に唯一生き残っている魔王、

名を グリモヌス=ロンド と言う。

魔王とは名乗ってはいるが他の魔王とは違い他国に危害を加える事無く過ごしていたため<勇者>や<英雄>などに目をつけられることがなかったのだ。

ちなみに、勇者や英雄がいる国に危害を加えた魔王はその国の民もろとも殲滅させられた。

ということで、この世界の唯一の魔王になってしまった。


「予定よりかなり早いな。

急ぎ魔術師団は守護壁の強化を、一般兵は国民の避難誘導、補助をっ!」


「はっ、直ちに。」


私の国では、圧倒的に軍事力が足りない。国民全員が衣食住や、病気などで困らないように予算を割き力を入れてきた。そのおかげで国は豊かだが、軍事力は一般的な国の半分くらいしか無いのが現状だ。


「魔王さま、召喚魔術で兵の増員をお願いしたく思います。」


「本気か、オジバル……

わかった。やれるだけのことはやろう。」


オジバルのその目には強い意志が宿っているようだった。



使い魔召喚、召喚魔術と言われるそれは高位の魔術師などが数人ががりで行う儀式系の最高位魔術だ。

しかも、難易度の割に召喚される者はそのほとんどが下位クラスなどだ。よって、使い魔召喚は最後の手段で完全に運に頼るしか無いとされている。

私は魔王と呼ばれるだけあって、魔力はそこそこ保有してるので、一人での実行が可能だ。しかし今までに200回ほどしているが未だに上位クラスは出たことはない。


「我の想いに応え、我と共に歩み行く者よ、ここにその姿を現せ。」


その時、今までの召喚では見たことのない閃光が走った。


「…この輝きは。」


「ま、魔王さま、これはもしや……」


その輝きの中心には人型の何かがいる。

輝きが収まってきた頃にようやくその姿を確認することができた。

すらりと長く美しい耳、華奢でスレンダーながらもつい見入ってしまうその姿。白銀髪で髪の一本一本が輝いている、腰までもあるその髪。

そのには美しいウサギの亜人が居た。


「やりました!上位クラスですよ魔王さま。」


使い魔召喚により召喚される人型の者はそのほとんどが上位クラス以上と言われている。


「あぁ、だが、これでは……

単体最上位クラスせめて軍隊上位クラスを出さなければ。勇者に対抗することは出来ない。

私は可能な限り召喚を行う。皆には下手に手を出さずに上手く立ち回るように伝えてくれ。」


「はっ!ーーー」


「ーーー待て、その必要はない。」


オジバルが返事をした瞬間に強く威圧的ながらも、綺麗で透き通るような女性の声がした。

その声の主はウサギの亜人だった。


「私が行く。私が召喚された時に大体の状況は頭ん中に入ってきた。

勇者とかいうやつを足止めすればいいんだろ?」


「申し出は嬉しいが相手は勇者だ、君一人では正直厳しいと思う……。

ギリギリまで待って最大戦力で一緒に向かって欲しい。」


私が言い終えたところで、おもむろにその亜人は歩き出し壁に近づくとその姿からはとても想像ができないような力で壁を粉砕した。


「な?」


そう言うと粉砕した壁から出て行ってしまった。


「魔王さま、もしやあの亜人…」


「あぁ、単体最高位クラスかもしれない。」


使い魔召喚では、大まかに分けて

最高位。

上位。

中位。

下位。

がある。

さらに詳しくすると、各クラスの中で単体か軍隊でかに分かれ、さらに攻撃型、防御型、支援型など様々なものに分けられきりがない。





ウサギの亜人が守護壁付近に着くと勇者の一行も守護壁に着いたようだった。

魔王軍の努力虚しくその守護壁はあっさりと砕かれてしまった。


「あと少しだ、みんな、気合い入れて行くぞ!」


「はいっ!」


「おうっ!」


「っ!」


「オーケー」


「わかってるわよっ!」


勇者の一行が気合いを入れ直し城下町へ入ろうとしたところに一人のウサギの亜人が現れた。


「悪いが、ここから先は行かせてやれない。」


今までは、皆守りに徹しており誰一人として好戦的な者はいなかった。その違和感が勇者達の行動を一瞬遅くさせる。


「陣形を組み直せ。相手はただの亜人だ、今までのと同じ雑魚だ。一気に行くぞっ!」


「「おうっ!」」


「はいっ!」


勇ましく鼓舞しその違和感を払拭する。

だがその声に応えたのは3人だけであった。


「どうしたっ!お互いの位置を確認するためにもーー」


そう言いながら振り返ると、そこにいるはずの仲間が心臓があるはずの位置にぽっかりと穴を開け倒れていた。

ウサギの亜人の方に再度視線を送るとその亜人の手が鮮血で染まっていた。


「…い、いつのまにっ! 目は離していなかったはずだ。」


このパーティーのメンバーは勇者以外も天才と呼ばれる者達だ。簡単にやられるわけがない。

これまでの実績やそこからくる自身によってパーティーメンバーの強さを信じていた勇者達は動揺を隠せずにいた。


「勇者御一行様は、さぞかしお強いんだろうと思っていたけど、案外こんなもんなんだな。」


あからさまな挑発に対して先ほどの仲間の死もあり、冷静な判断ができなってしまった勇者達は連携を忘れただ闇雲に突っ込んでいった。


「はぁっ! この!亜人風情がぁ!」


「消え失せろっ!」


「このやろーっ!」


「雷神の怒りを。憤怒の落雷っ!」


ほとんどのものはスキルを使うのも忘れただただ突っ込んで行ったところに、それを待っていましたとばかりに妖しい笑みを浮かべるウサギの亜人。


「このっ、ちょこまかと逃げるな。」


ウサギの亜人は勇者の攻撃を見切っていながらも危なっかしく避けることにより、もう少しで攻撃が当たるかもと期待をさせることにより上手くある場所への誘導をしていた。


「………っ!」


今まで視認できない攻撃ばかりしてきた亜人がいきなり

<光の矢>という中級程度の魔法攻撃を連発してきたのだが

それを上手く剣で受け流すところを見ると、腐っても勇者といったところだ。

だが実際は威力や速度をかなり落とした物を勇者に、そのままの<光の矢>で他の者に攻撃をしていた。


「よしっ!勝てるぞっ!」


勇者はあの攻撃を受け流し続けることが出来た事により、あの亜人は魔法面に関してはあまり得意ではないんじゃないか?と思っていた。


中級魔法でこの威力、普通ならもう少し速く重いはずだ。

魔力制御が出来ないのか?だったら魔法防御もうまく出来ないはず。


「みんなっ、魔法系の攻撃をするんだ。」


だが、返事がない。

振り返ると眉間に<光の矢>を刺した仲間達が倒れていた。

勇者はそこから一歩も動かなくなり、只々突っ立っていた。


「余りそう何度も戦闘中に余所見をするもんじゃないと思うけど。」


その言葉を聞いて振り向こうとした時にいきなり視点が下がり、地面と変わらないほどのところからその亜人を見上げていた。

数秒後、勇者の意識は無くなった。





あの亜人が出て行き数分が経った頃、あの亜人が戻ってきた。やはり最高位クラスでも、勇者を相手にするのは無理だったのかもしれない。顔も手も血だらけになっている。


「すまない。無理をさせてしまったようだ。」


「いや、そんなことはない。いい運動になった。」


澄ました顔で応える亜人。

よく見ればついている血は全て返り血だ。亜人は傷一つ負っていない。


「ありがとう…」


ロンドは、ただその一言だけを呟いた。

瞬間、その亜人は倒れてしまった。ロンドが駆け寄ってみたがどうやら寝ているようだ。ロンドはその亜人を優しく抱え、寝室へと行き寝かせてあげた。



はじめまして ツナメガネ です。

勤勉魔王と怠惰な使い魔。読んでいただきありがとうございました。

まだまだ未熟者ですので、今後のためにアドバイスなどいただけると有難いです。

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