第39話 社長
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「ねぇ、どう思う?」
「さぁ?」
今私の家に遊びに来ている神崎姉妹といつもの4人で合わせて7人が囲んでいるのは1枚の封筒だ。ただし差出人や件名などは一切書いておらず、ただ封筒の表側中央に達筆で「深見優衣様」とかいてあるのみである。まぁ、恐らくまたヴァンパイア関連なのだろうけども…
「開けてみるか…」
「待って優衣、もしかしたら危険物かもしれないわよ?ここは私が開けるわ。」
「え、でももしそうなのかもしれないならあけないほうが…」
「いいえ、名前と住所がばれている以上読んでいたほうがいいかもしれないわ。」
「じゃあやっぱり私が…」
「あーでももしかしたらやっぱり中に危険な粉とかが入っているかもしれないし念のためにも私が開けるわ!」
「…」
「あの、藍さん?別にそれはラブレターとかじゃないと思うのですが…」
「え…」
やっぱり…藍、勘違いにも程があるよ?それにたとえこれがラブレターだったとしてもこんな小細工するような男に興味なんてないし。
というわけで結局私が開けることにした。中に入っていたのは三つ折りの紙が一枚で、またしても達筆だった。おそらくは同じ人が書いたのだろう。で、肝心の内容はというと。
「明日ハッピー玩具株式会社本社に来てくれ…だって。」
「ハッピー玩具株式会社?なにそれ。」
「たしかヴァンパイアキットを販売している会社だったと思います。」
「え、つまりユイユイが呼び出されたってことか?」
「たぶんそういうことかと…」
「待って、それなら封筒にもしっかりとハッピー玩具株式会社とかなんとか書いてあるはずだしやっぱり怪しいわよ。優衣、行く必要はないわ。」
「うーん、でも本社から来たのだったら重要なことかもしれないし。」
「それだったら行ったほうが良いんじゃないか?べつに本社に行くだけなんだし危険はないだろ。万が一のことを考えてみんなで行けばいいことだし。」
「まぁみんなで行くというなら。」
「優衣、どうする?」
よし、思考タイム。本社から呼び出されたということはすなわち私を、いや私達に関する重要なことがあるかもしれないわけだ。藍のようにやや怪しいのは分からないが、みんなで揃っていくのならば大丈夫だろう。よし、行こう。
「じゃあ、みんなで一緒に行こっか。」
みんなは頷いて賛成してくれた。
翌日。ハッピー玩具株式会社本社へ向かうために私たちはこのくそ暑い中電車に揺られている。ちなみにわたしの両隣は藍と林檎さんだ。右端には雪奈と氷麗。左端にいる蜜柑ちゃんと東子は二人そろって窓から見える景色をみて興奮している。
「うおぉすっげぇ!一面緑でそまってらぁ!」
「すっごーーーい!」
おい、お前ら小学生か。
「ちょっと暑くないですか?」
「あぁ、地味に暑いなこの車両…」
「ええ、弱冷房車に乗ってしまったのは失敗だったわね。」
「まあみんな座れたからいいけど。」
「ところで、なんで私達本社なんかに呼ばれたんでしょうか?」
「それがさっぱりなんだよねー。あの会社何してくるかわからないし。」
実際、会社側が何の目的で私たちを呼び出したのかは全くと言っていいほどわからない。いや、正確には思いつくことがありすぎて分からないのだが…まぁ本社に呼び出すくらいなのだからそんなふざけたことではないのだろうけど。
なんだかんだしているうちに本社につくことができたのはもう昼過ぎで。いまだ真夏を感じさせる太陽がとてもうざい。ヴァンパイアなわたしだが別に太陽の光が苦手というわけではないが普通につらいわ…
で、私たちを呼び出した本社なのだけれども、なんともまあよくこんな田舎にどでかいビルを建てたもので、都会にある高層ビルを思わせるようなビルが周りの風景をぶち壊すように建っていた。
中に入ったとたんに入口の付近にいた係員?みたいな人に「深見様ですか?」と聞かれ、頷くと「奥のエレベーターより最上階へどうぞ。」と、流れるように案内され上の階へ。
最上階につくと入口近くにいた係員の人とは異なる服装をした秘書的な人が案内してくれた。
「こちらで社長がお待ちです。」と案内されたのがいかにも社長っぽい人がいそうな木製の扉で、ピカピカに光る金色の社長室と書かれたプレートが貼られていた。
「なんか、えらいごっついところだな…ユイユイ」
「うん…」
やっぱりお偉いさんと会うのは苦手だなぁ、話しづらいし。
恐る恐るドアをノックして中に入る。
「失礼します。手紙をいただいてお伺いしました深見優衣です。」
部屋の中はそこまで広くはなく、物もほとんどなかった。そしてわたしの正面にある社長椅子に座っている人物。今は窓のほうを見ていて背もたれしか見えないが、何とも言えない威圧感がする。そして、社長椅子が回転してハッピー玩具株式会社の社長とご対面。
「おうおうよく来たな、わたしはこの会社の社長の小林令奈だ。言っておくが私は小学生ではないぞ?」
そう言いながら背伸びをし、ない胸をアピールする小学生みたいな女の子がいたのだった。




