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ヴァンパイアパラダイス  作者: ピルルピピ
3章 優衣と姉妹
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第21話 オムライス

「お、ま、た、せ!」


 ドン!


 うわぁ、また随分と豪華なこと。私を助けてくれた人の一人、双子の神崎姉妹の姉こと神崎林檎さんが目の前の机に大皿に乗ったオムライスを豪快に置いた。

 まるでメイドカフェに出てきそうな仕上がりの良さだが、大きさがまるで違う…これ、卵4つくらい使ってないか?

 ただでさえ大きいお皿にギリギリに乗るくらいまで敷き詰められた半熟の卵に包まれたケチャップライス。胃がもたれそうだ。


「さぁ、どーんと食べてね。」


 その擬音語は間違ってないですか?


 とゆうよりよくこんなでかいオムライス作れたなぁ。家に業務用フライパンでもあるのだろうか。


 でも正直お腹は死ぬほど空いていたし何と言ってもとてもおいしそうだ。

 ここはお言葉に甘えて…


「いただきます。」


「どうぞー、召し上がれ。」


 うーむ、やたらなんかウキウキしてるな林檎さん。料理が好きなのかな。


 うわ、めっちゃ美味しい。特にこのケチャップライスの絶妙な癖になる感じの味。おそらくデミグラスソースをちょこっと入れてるな、それにこの卵も半熟で絶品だ。


「とっても美味しいです、林檎さん。えっと、料理得意なんですか?」


「まぁね、小さい頃から蜜柑の分も作ってたし、それに私料理が大好きなんだ。」


「お姉ちゃんの作るご飯はとってもおいしいんだよ!」


 そう熱愛しているのは神崎姉妹の妹こと、神崎蜜柑。話を聞く限り、彼女が倒れている私を見つけてくれたようだ。


「で、食べてるとこ申し訳ないんだけど…そろそろちょっと話聞かしてもらえる?

 私としては、あなたやっぱり何かしら問題かかえてるでしょ?って思うんだよね。なんとなくわかるんだー、まぁ寝巻き姿であそこに倒れてて何にもないって思う方がおかしいんだけどね。」


 林檎さん、結構グイグイくるなぁ…私は別にそんな大層な理由じゃ、いや大層だわ…私、この二人といるとなんか和んでしまう。すっかり4人を失ったことを忘れかけていたわ。


「で、どうなの?正直自分はそういうのほっとけないんだ…困っているのにそれを誰にも告げることができない人っていうのは何人も見てきたから」


 んーまずい、これは言い逃れできんぞ。ヴァンパイアのことなんてとてもじゃないけど言えないし、いや言っても信じてもらえないだろうし…でもこの人なら分かってくれそうだな。


 いやいやまて、もし万が一にも信じてもらえたとして彼女達は何もすることができないじゃないか。余計な心配はかけたくないけど、下手にヴァンパイアについて知ってしまったことが原因で何か危ない目にあうことだってあるかもしれないし、やっぱりここは誤魔化すしかないか…


「うん、じゃあ話すよ…」


「うん、いいよ。しっかり聞いてあげる。蜜柑もね。」


「私でも何か役に立てるかもしれないもん。お姉ちゃんと一緒に聞くよ。」


 うわぁ、めっちゃいい人達だなぁ…正直心が痛いです。正直全部ぶちまけたいくらいです。でもそんなことはできないんです許してください。


「実はね、私のお母さんが死んじゃったの。」


「…それは……悲しいよね……」


「うん、それでちょっとさみしくなっちゃって、気づいたら外に出てたの。きっと相当ショックだったんだと思う。自分を見失っちゃうくらいにね。」


 嘘はついてないよね…お母さんが死んじゃったのは事実ですよ。

 ただ死んだのは私が生まれて間もない頃だし、特にあんまり覚えてないんだよね…


「それであんなことに…私もわかるよ。私も小さい時お母さんが病気で死んじゃったの。その時とっても悲しかった。でもお父さんとお姉ちゃんがいっぱい励ましてくれたの。お母さんはずっと私を見守ってくれているよって。だから深見さんも落ち込まないで。きっと深見さんのお父さんも見守ってくれてるよ。」


 うっ、なんだこの罪悪感。そっちの方が話重いじゃない。どう返せばいいの私?


「うん、分かったよ。お母さんも多分私を見守ってくれている。そう思ったらなんか気が少しだけ軽くなったわ。ありがとうね、蜜柑さん。」


「うん、よかったー深見さんが少し元気になって。お姉ちゃんも私もとっても心配してたんだよー。」


 ふぅ、なんとか誤魔化せたみたい。それにしても蜜柑さん、本当にいい子なのね…私やはり罪悪感に押しつぶされそうだわ…


 そんな感じでこの話は幕を閉じかけたが、ふと話をじっと聞いていた林檎さんが一言発する。


「深見さん、ちょっと下まで来てくれない?」


 ビクッ!!こ、これは嫌な予感が…まさか、まさかとは思うがこの人、バレてる?


「え、えぇ。大丈夫よ。」


「蜜柑はちょっと待っててね。」


 そのまま私は林檎さんについていった。連れてこられたのは一階の和室、部屋に入るなり林檎さんは襖を閉めて外に音が漏れないようにする。


 私は背筋に嫌な汗が流れるのを感じた。


 そして彼女は私に問いた。だが、それは全く予想してない言葉だった。


「深見さん、 あなたお父さんはどうしてる?」

 オムライス食べたくなったなー

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