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ヴァンパイアパラダイス  作者: ピルルピピ
3章 優衣と姉妹
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第22話 怪しげなリンゴ

「深見さん、 あなたお父さんはどうしてる?」


 その予想だにもしない質問に戸惑い、私はしばらく黙り込んだ。


「あ、まさかお父さんも…ごめんなさい、そんなつもりじゃ」


 その間が誤解を生んだのか、林檎さんは間違った気遣いをして来た。

 即座に訂正する。


「いやいや、お父さんは生きてるよ今も。ちょっといきなりお父さんのことがでてきてびっくりしちゃったんだー。」


「あ、ああごめんなさい、私ったら飛んだ早とちりを。じゃあ質問を元に戻すけど深見さん、あなたのお父さんはどうしてる?」


 普通ならなんでこんなことを聞くのか怪しむところだったが、わたしは動揺していたせいか、素直に答えてしまう。


「お父さんは確か今出張中なんだ。夏休みの間は少なくとも戻ってこないよ。」


「そうですか、それでは家ではずっと1人なんですか?」


 んー答えづらい質問だなぁ、あの4人と同居してるって言うのはまずいし、でもいまはいないから一人暮らしでいいのかなぁ?うんいいよね。


「そうよ。今のところは一人暮らしよ。」


「そう…ですか。」


 なんだ、この林檎さんの感じ…まるで何かを企んでるとも思えない仕草だな。

 それによく考えたら何故私のお父さんのことについて聞くのかしら。

 まぁでもヴァンパイアのことについては誤魔化せそうだし、まぁいっか。


「分かりました。すいません、ちょっと嫌なこと聞いちゃって。」


「いえいえ、助けてもらったうえにご飯までいただいて、これくらいのことどうってことないです。」


 ふぅ、なんとかバレずにすんだな、林檎さんに呼ばれた時は誤魔化してるのがバレたんじゃないかとヒヤヒヤしたけど、大丈夫そうだ。


「あ、もうこんな時間ですね。そろそろお帰りになりますか?」


「あ、そうですね。遅いですしもうそろそろ失礼させてもらいます。」


「外は雨がひどいですし、傘を貸してあげますので付き添いますよ。」


「いえいえそんな…雨なんて走っていけば大丈夫ですよ。」


「ダメです、ただでさえ弱ってる体に鞭を打つようなことはさせられません、それにまだ心配ですし、送られてください!」


 ん、やたら強引だな…まぁでもそれだけ心配してくれているのか。本当に申し訳ないな。


「じゃあ、お願いします。」


「はい、じゃあ傘を持ってきますので玄関で待っていてください。あ、着替えはどうします?」


「あー着替えはこの前で大丈夫ですよ。少しだけ湿ってますがこれくらいならあまり寒くありません。」


「そうですか、じゃあ傘を持ってきますね。あと、蜜柑にも伝えてきます。」


 そう言いながら林檎さんは二階へと上がっていった。


 私は和室をでて玄関へと向かう。


 だが、この時私は何故か林檎さんの言葉がやたら堅苦しく、何か申し訳なさそうな感じになっていたのに気がつかなかった。それが何を意味しているのかさえも。



 数分くらいして二階から林檎さんが降りてきた。手には一本の70cmでビックサイズと書かれた大きめの傘を握っていた。


 まさか一本の傘に2人が入るのか?と思ったが、どうやら外にもう一本傘があったらしく、妙な誤解をしてしまったことを心の中で詫びる。


「家はどの辺りなんですか?」


 少しだけ朝より強くなっていた雨の中、傘をさしながら歩いていると林檎さんが尋ねてきた。


「えっと…ここから歩いて10分ってところですね。ちょうど百合が原中学校の近くですね。」


「あ、そうなんですか。実は私達、百合が原中学校の生徒なんです。」


「そうだったんですか。ちなみに何年生ですか?」


「3年です。」


「ということは今年受験ですね。」


「ええ、そうなんです。蜜柑と一緒に毎日猛勉強しています。ところで深見さんはどこなんですか?」


「あぁ、私は百合ヶ原第二高校なんだ、去年まで百合ヶ原中だったんですよ。」


「じゃあ先輩だったんですね。」


「そうなるね。あ、でも別に敬語とか使わなくてもいいですよ。」


「とんでもない。私、百合二高受けるつもりなんです。」


「そうなの、それじゃあ頑張って受かってくださいね。高校で待ってますよ。」


「はい!」


 他にも高校の感じとか面白い先生の話をしながら歩いているうちに気がつくともう私の家に着いていた。


「あ、ここです。私の家。」


「この家ですか…じゃあ私はここまでですね。」


「うん、本当にありがとう。とっても助かったよ。」


「いいえ、困った時はお互い様ですから。」


 そして、林檎さんと別れ、家に帰るないなや家中を探し回る。だが、誰もいない。

 家の中は出る前と全く同じ状態であった。


「いつか帰ってくる…よね。」


 その日はすぐに寝ることにした。


 林檎さんと蜜柑さんとってもいい人達だったなー。今度助けてもらったお礼に何か持って行こう。


 そういえば、林檎さん何であんなこと聞いたんだろう…

 わざわざ私のお父さんのことを聞く必要なんてあったのかなぁ?


 あ、もしかしてDVとか疑われたのかな…もしそうだとしたら誤解を解かないとなぁ。


 やっぱり近々もう一度会いに行った方がいいか…


 そう…だ…確か戸棚にお父さんが買ってきたお菓子…が………スヤァ。

次回、またしても優衣が……

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