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間話 学院の日常

数日後。王立魔導学院。


「……で、なんで普通に授業受けてるのよ」

エリシアは呆れ顔で言った。


教室の後ろ。レインはいつものように机に突っ伏していた。


「平和だから?」

「世界救った人の態度じゃないのよ……」


周囲の生徒たちは未だに距離を取っている。

無理もない。学院を襲った災害級魔獣を瞬殺し、古代級存在すら倒した少年なのだから。


だがレイン本人は何も変わらない。

今日も眠そうだ。


そのときだった。机の下から、ひょこっと白い子狼が顔を出す。

『暇だ。狩りに行くか?』

「学院消えるから駄目」

『加減する』

「前回それで山が消えた」

フェンリルだった。


エリシアは額を押さえる。

「なんで授業に来てるのよ……」

『レインが起きん』

「子守りか!」


フェンリルはふわぁ、と欠伸をした。その様子は完全に犬だった。


もし王国の人間が見れば卒倒するだろう。

終焉級幻獣が、机の下で丸くなっているのだから。


レインは片目だけ開ける。

眠たげな黒い瞳。とても世界を救った英雄には見えない。


「帰りに肉な」

『うむ』

「太るぞ」

『強さに体型は関係ない』

「開き直るな」


エリシアは大きくため息をついた。

だが、少しだけ笑ってしまう。



世界最強の魔導師。


灰銀のフェンリル。


神話の災厄。



そんな存在たちが、こうして平和に昼寝している。

悪くない光景だと思った。


窓の外では、穏やかな風が吹いていた。

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