第91話 訓練再開
お茶会から数日後、地下にゴリラがいた…
「行くぞ、小僧!!訓練だ!!!この半年の成果を見せてみろ…」
「は?ちょっと待って…なんでここがバレたの?」
「たびたび地下での騒音問題が騎士団に届けられているからな…すでに調査済みだ…さぁ!行くぞ!!」
「うげっ!!!」
地下での朝の日課中にゴリラ副団長に訓練場へ連行されるのであった…
「マイクちゃん!!久しぶりだね、元気だったぁ?」
「お久しぶりです、マイクさん」
「二人とも久しぶり、なんかキレイになってない?好きな人でもできたの?」
「「っ~~!!……」
「相変わらずだね、マイク氏…もう少し女性の扱い方を学ぶべきだよ‥」
「ゴージャスか…そういえばこの前ゴージャスに似た人にあったけど…知り合いか?」
「ふふっ…そういうところだよマイク氏…もう少し人との触れ合い方を覚えようか?」
「おお…3人とも元気そうでよかったよ…」
「こちらのセリフですよ…副団長様と大喧嘩したと聞いてましてや謹慎なんて…もう会えないかと思いましたよ…」
「ほんとね…いくら何でも森の半壊はやりすぎだわ…騎士団も半信半疑だったけど、副団長のあの時の姿とあの周辺の調査をすればあなたの異常性に恐ろしく感じる団員も生まれてしまったわ…」
「一時は要監視対象危険事物リストに記載されたんですよ!」
「カタリナ嬢、それ言ったらダメな奴…」
「あっ!」
「大丈夫だよ、結界で防音付与しておいたから…」
「た…助かった…」
「油断し過ぎよ、カタリナ…全くおっちょこちょいなんだから…」
そんな会話をしながら訓練場を走っていた…
かつてやっていた訓練メニューと変わらず、こなしていく。模擬戦でカナタさんとやったり、ラスカルをけちょんけちょんにしたら、ゴリラにボコボコにされた。
何なんだよ…だが久しぶりにいろんな人と手合わせするのは悪くない…ただ魔法を使いたくなる…武器一辺倒は向いてないな…他の引き出しも考えてみようかな…
その後も他の武器を使い。模擬戦をして新たに技術を身につけていった…だがやっぱりどれもしっくりこない…
「なにか考え事かい?」
「カナタさん…うん、少しね…あんまりしっくりくる武器がなくてね…」
「マイク君はメインが魔法だからかな…近接ならかなり戦えてるから問題ないように思えるけどね…既存のモノでダメなら作ってみてはどうかな?得意なんでしょ?」
「…作る…か……、アリですね…そうでした!!使いたい武器ありました!!」
カナタさんが微笑んでくれた傍で土属性の造形魔法を使う…細部までの詳しい形はわからないが、思い描いたのは前世で憧れた武器…刀…
押して切るよりも引いて斬るを究極まで突き詰めた後の先を考えられるタイマン最強の武器…細い刀身、柄にかっちょいい鍔を付けて、持ち手はよくわからんのでそれっぽく握りやすくして、鞘も作る…
「できたーーー!!!」
みんなに見られた…恥ずかしい…
「片刃剣ですか?細いですね…耐久力に難がありそうですが素早く振れそうですね…」
「ああ、しっかり刃をつければかなり切れ味のある武器になるはずです、刀って聞いたことないですか?」
「昔の勇者が使ってたものかな…王宮に展示されてるのは見たことあるね、これ言っちゃいけないヤツだけど…」
そうなんだ…と思いつつ今度見に行くことに決めた。
一旦その考えは置いといて振ってみることにした。これまでの振り方と前世の剣道の授業で振った感覚を思い出しつつやってみる。違いは分からんが…結果軽いことだけはわかった。いなし方をより高度に技術を高める必要があるかもしれない。現時点で切れ味が高くないので十分な武器になりえないのかもしれないと理解した。
一応対人戦として模擬戦で使ってみると速さで圧倒できてしまうのでこれはかなり使えるのではという手ごたえを持ち帰ろうとしたら、ゴリラにバキバキに叩き壊された…なんでなん?居合やりたかったのに…
残骸はそのまま捨て、武器屋に足を運ぶことにした。だがお目当ての刀は見当たらなかった。
話を聞いてみても出てくるのは幅広い青龍刀やサーベルといった思っている太刀とは違うもの…わざわざ造形魔法で似たものを作ってようやくヒントを得られた…
王国の職人街の端に大太刀を打つ工房があるらしい。今すぐ飛んでいきたいが情報をくれた職人たちでもあるので、使えそうな武器として弓矢やナイフといったものを購入した。悪くない…
急いで職人街に行き、探し回ってみるが工房が多すぎて見つからない…しかも表に看板もない、不親切な街づくりである。これなら一旦職人ギルドに詳細を聞きに行けばよかった…
そう思い踵を返したところ職人街から外れたところにポツンと一軒家が存在した…
あれであれ!と思い、近づいてみると鉄を打つ音が聞こえる…
ここだ!と覗いてみるとすごい熱気…
「頼もー!!刀鍛冶の店はここか?」
返事がないただの幽霊屋敷のようだ…仕方がないので扉を開けて中に入ると「…なにか用か?」と振り向かずに声をかけてきた。オッサンかな?
「刀鍛冶の店に来たってことは目的は一つ!刀を売ってくれ!!」
「なんだ?冷やかしか?小僧…チャンバラ用ならそこにあるのを持っていけ…」
そういって顔を向けた方向には無人販売用の会計石板とぞんざいに樽に突っ込まれた抜き身の刀が放置されていた…
「へぇ~こんないろいろあるんだな…どれがいいとかあるのか?」
「…ないな!結局は人殺しの道具でしかない…馴染むものがあれば一番だな…」
「へぇ~どれも良いからわからねぇな…オーダーとかできないのか?」
「いい鉄があればな…お前さんの身長に合うものを作ったとてすぐデカくなるのがオチだ…その時に打ってやるよ…今はそこのガラクタで我慢しておけ…」
なんか認められたのか?そういう意味だったのか…嫌悪されてたのかと思った…
「じゃあ、10本くらいもらっていくね…え?1回5本までなの?2回会計すればいいか…」
「なんだ…お前さん魔法使いだったのか‥収納魔法を素で使う奴なんて久しぶりに見たな…」
「そう?それにしても1本1本高いね…これどうゆうケアをすればいいの?」
「基本は剣と変わらん…柄に血が溜まったときに解体してふき取るようにしておけば問題ない…刃零れも自分で手入れできるようにしておけ…」
「おじさん…サービスとかないの?」
「ワシに人の対応はムリだな…母ちゃんならできたが今あいにく外出中でな…」
「帰ったよ!あんた!!ん?なんだいこの子は?」
かなりの美人がそこにはいた…母ちゃんとか言ってたけどこれは奥さん?いや娘さんだよな…
「客だ…相手してやってくれ…」
「なんだい!あんた対応できるんじゃないかい!それにしてもこんな小さい子が何しに来たんだい?」
「刀を買いに来ました。親父さんにケアの仕方を聞いたんですけど…」
「うわっ、本当に売り上げてるじゃないかい!どこの子だい?こんな刃物を買っていくなんて?何か事件の匂いがするよ…」
「いやいや…別にすぐに人を斬るとかはしないです‥魔物相手に使うかもしれませんが…」
「魔物相手?やめときな…この刀は人を斬るためが基本なんだよ…魔物に詳しくなけりゃ大変だよ…」
「その点は大丈夫です…メチャ詳しいんで…そんじゃ失礼しま~す!!」
「おお!また来なよ!大きくなったら父ちゃんに刀打ってもらい!!」
ん~~~?やっぱり娘さんだったんかな?分かんねぇな…どっちだろ?
こうして刀鍛冶屋をあとにするのだった…




