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SKY〜Harbor Nights〜   作者: RUI


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7/13

SKY-One Day-

 



 ヴェスタリア王国の海は綺麗だった。

 綺麗だからこそ、戦争の影がよく見えた。


 光が浅いところでは水が硝子みたいに透け、深いところだけが紺に沈んでいる。

 その上を、同じ風が同じ速さで吹き抜けた。


 港には、観光客の船と、難民船と、連合の補給船が同じ風に揺れていた。


 デューク・ウォルトは、ゼルンハイト評議国のフリージャーナリストで

 この国の、“戦争をしない選択”を取材しにきた。

 オルディア帝国の南に連なる小国郡の一つ。――その中で、唯一「参加しない」と言い張っている国。



 中立ではある。けれど、中立国ではないヴェスタリア王国

 戦争全体を俯瞰して均衡を保とうとする中立国のゼルンハイト評議国

 その違いは、ここで暮らす人間の顔を見れば分かる。


(“中立”という大義名分の元に……か……)

 デュークは街の外れにある安いホテルにチェックインし、荷物を最低限にして街へ出た。

 潮の匂いが、さっきより濃い。港が近い。

 石畳の隙間に潮が乾いて白く残り、窓辺では布がぱたぱたと揺れている。


 デュークの足が港へ向いた。

 港の市場は賑やかで、買い物客が行き交い、品物の値段交渉をしている商人、カメラ片手に観光してる旅行客。店番をしている日雇いの難民など、多種多様だった。

 魚を捌く包丁の乾いた音と、硬貨の擦れる音が、波音に重なっていた。


 デュークが角を曲がろうとした時、女性とぶつかりそうになった。


「すみません。」

 デュークは咄嗟に避けようとした。


 女性はデュークの前で立ち止まると、顔を上に上げる。

 瞳の色が薄いグレーと、薄いブラウンの2色になっており

 栗色の髪の毛はハーフアップに綺麗にまとめられていた。


 デュークは、その瞳に吸い込まれそうになって、息を呑んだ。


「あなた!ちょうどよかった!一緒に逃げて。お願い。」

 彼女の呼吸だけが、港の喧騒と噛み合っていなかった。


 オッドアイの女性は、デュークの手を取ると、人並みを慣れた歩き方で

 進んでいく。


 市場からどんどんと足は遠のき、人の少ない港の外れまでやってきた。

 声が薄くなり、代わりにロープの擦れる低い音が近づく。

 空が広く見えて、風だけが同じだった。


 何が起きたのか分からず、デュークは慌てて掴まれた腕を持って女性が歩くのを止めた。

「おい!ちょっと、待って。」


 女性は、手を離しデュークに向き直る。デュークの肩越しに何かを探っていた。

「……大丈夫そうね。ありがとうございます。助かりました。」

 そう言って微笑むと、女性は立ち去ろうとした。


「君、いきなりこんなところまで連れていて、置いてけぼりはないんじゃないの」

「というか、ここどこ?俺、この街に来たばかりで道がわからないんだけど」


 デュークは女性に向かって言葉を投げる。怒ってはいない。

 むしろ、綺麗な目の彼女に興味が湧いていた。


 女性は、ゆっくりと振り向く

「……あなた、観光客の人……じゃないわよね?」


 意外と鋭い女性だ。そう思ったが、記者とは簡単には名乗れない。

「…仕事で来たんだよ。俺の名前はデューク。君は?」


 女性は目線を斜め下にむけ、少し考えてから

「…アリアよ」


 本名ではなさそうだ。記者の感がそう言っていた。


「OK、アリア。とりあえず、大きな道まで案内して。そしたら自由にする。」

 デュークは自分の方向音痴を痛いほど自覚している。ここで放置されたら

 宿に着くのは何時になるかわからない。


 アリアは港の柵にもたれ、革靴の先を揃えるように整えた

 所作が一般人のものじゃない。育ちの良さが隠しきれずに出ていた。


「大きな道、嫌いなの。……見つかるから」


 大通りの方角から、制服の布が擦れるような音がかすかに届いた。


 デュークは、港に打ちつける波の音を一度聞いた。

 それから、彼女の言葉の“見つかる”の部分だけが胸に残った。


「……誰に?」


 アリアは答えない。答えないまま、港の向こう――補給船のマストの影を見た。

 その視線が、ほんの一瞬だけ硬くなる。


「あなた、方向音痴なんでしょ」


「は?」


「さっきの顔、そうだった」


 デュークは口を開けたまま、ふっと笑ってしまった。

 図星を刺されると、言い返すより先に笑いが出る。


「……悪いかよ」


「悪くないわ。助かる」


 アリアはそう言って、デュークの方に手を差し出した。

 さっき握った手とは違う。今度は“引っ張る”ためじゃなく、“連れていく”ための手。


「案内してあげる。大きな道じゃない道で」


 デュークは一瞬だけ、その手を見た。

 指が細い。爪は短く整っている。手袋の跡がない。

 労働の手じゃない。


(……やっぱり、普通じゃない)


「条件は?」


 デュークがそう言うと、アリアは小さく眉を上げた。


「条件?」


「タダで案内するほど、親切な人ばっかじゃない」


 アリアは少し考えてから、あっさり言った。


「……私が逃げる時、止めなかったわ」


 デュークは肩をすくめる。


「止めても意味なさそうだったし」


「ふふ、正解」


 その一言が、妙にくすぐったかった。

 正解って言い方が、“評価”みたいで。彼女の側に、そういう言葉が馴染みすぎている。


 アリアはデュークの手首を軽く掴んで、歩き出す。

 市場の喧騒から外れると、風の匂いが変わった。

 海の塩気に、焼き菓子と香草の匂いが混じる。


「この国、初めて?」


「初めて。取材――仕事でな」


 デュークはさらっと言い換える。

 アリアは、さらっと聞き流す。追及しないのが、逆に怖い。


「仕事なら、見たいものあるでしょ」


「ある。……でも、いきなり王宮に行っても門前払いだ」


「王宮」


 アリアがその単語を口にした瞬間だけ、声が少し薄くなる。


「……じゃあ、門の外から見せる」


「え?」


「門の外にも、国はあるわ」


 アリアは振り返らずに言った。

 真面目な声なのに、どこか幼い響きが混じる。


 港町の坂を少し上ると、景色がひらけた。

 海が遠くまで伸びて、船の列が風に揺れる。逆光の中で船の縁だけが白く光り、揺れが目に見えた。

 観光の白い船も、難民船も、連合の補給船も――同じ波に浮かんでいた。


 デュークは、思わず足を止めた。


「……同じ海なのに、全部違うな」


 アリアは少しだけ顔を向ける。


「違うのに、同じなのよ。不思議よね。」


 デュークはその言い方が気になった。

 まるで“知ってる人”の言葉だ。現場を。選択を。


 アリアは歩調を落とさず、言った。


「あなた、何を書きに来たの」


「……バレたか」


「バレたわ。」

 彼女が笑った。笑うのに、目が笑っていない。


 デュークはアリアを見ながら言った。

「中立っていう、国の選択を」


 アリアは前を歩きながら言った。

「中立は、強い言葉よ。弱い国ほど、背負わされる」


 デュークは返せなかった。

 返すには、彼女の言葉は正しすぎた。


 坂の先の小さな道へ入っていく。

 大通りを避けるみたいに。光のある場所より、影のある道を選ぶみたいに。


「ほら、こっち。ここからが――ヴェスタリア」


 デュークはその背中を追いながら、胸の奥で思う。


(……これは取材じゃないな)


 “案内”っていう形で、国の顔じゃなく、人の顔を見せられてる。


 アリアは振り返らないまま、さらっと言った。


「ねえ、デューク」


「何」


「今日は、あなたが見たいものだけじゃなくて――私が見せたいものも、見て」


 デュークは一拍置いて、短く答えた。


「……わかった」


 アリアの口元が、ほんの少しだけ上がった。


 そして二人は、港町の奥へ消えていった。


 アリアは港の外れへ向かった。

 観光客が歩く桟橋じゃない。荷が積まれる側の、錆びた係留柱が並ぶ方だ。


 潮の匂いが濃くなる。

 魚の血と、燃料と、濡れた縄。

 風が吹くたび、ロープが擦れて低い音を立てた。


「……ここ、観光じゃないだろ」


 デュークが言うと、アリアは歩きながら肩だけで笑う。


「観光客は見ない場所の方が、本当の国が見えるの」


 難民船は、そこに“停まっていた”。

 揺れているのに、動けない揺れ方だった。

 補修痕だらけの外装。剥げた塗装。窓の内側の灯りだけが、点々と、生き物みたいに瞬いている。

 洗い物の水が捨てられる音がして、すぐにまた静かになる。


 デュークは、言葉が遅れた。


「……ここまで来て、何を見ろって?」


 アリアは柵の近くで立ち止まり、船をまっすぐ見た。

 視線が逸れない。逸らさない。


「“中立”の形」


 その言い方が、きれいすぎた。だから余計に、刺さる。


 難民船の側で、子どもの泣き声が一瞬だけ上がった。

 すぐに止まる。誰かが口を塞いだのか、抱きしめたのか。

 港の音に紛れて、消える。


 デュークは思わず、拳を開いた。

 記者の癖だ。メモを取る代わりに、指が動く。


(書ける。でも――)


「……君、ここに来るの、慣れてる?」


 聞いた瞬間、デュークは自分の質問を少しだけ後悔した。

 踏み込むつもりはなかったのに、踏み込んだ。


 アリアは、少しだけ目を伏せる。

 それから、いつもの軽さに戻すみたいに言った。


「慣れてない。慣れたくない」


 言い終えて、アリアはデュークの袖をつまんだ。

 引く力は強くない。けれど、止まらない力だった。


「次に行くわ」


「次?」


「高台。……上から見ると、逃げ道が分かる」


 “逃げ道”。

 その言葉が、また一段、現実を押し込んでくる。


 ⸻


 坂道は細かった。

 石畳が濡れていて、靴底が微かに滑る。

 家々の壁が近い。窓の奥に、食卓の匂いと人の声。

 夕飯の匂いが一瞬だけして、二人の緊張と噛み合わない。


 アリアは迷わず曲がる。

 地図じゃなく、体に染みた道だ。


 途中、路地の角でアリアが足を止めた。

 デュークの胸を掌で軽く押して、陰に寄せる。


「……来る」


「誰が」


「見張り。……たぶん」


 デュークは息を止めた。

 “たぶん”と言うのに、確信みたいな目をしている。


 遠くで軍靴の音がした。二人。三人。

 話し声。国の言葉。命令の言葉。


 やり過ごす間、アリアはデュークの袖を掴んだままだった。

 指先が少し震えている。


 デュークは、その震えを見ないふりをした。

 見れば、彼女が“普通の女の子”に見えてしまう。

 そう見えた瞬間、守りたくなるのが分かっている。


 靴音が遠ざかった。

 アリアは袖を離し、何もなかったみたいに歩き出す。


「……今の、いつも?」


 デュークが聞くと、アリアは短く言った。


「たまによ」


 嘘だ、とデュークは思った。

 でも、追及しない。


 ⸻


 高台に出ると、風が変わった。

 風が柵を鳴らして、金属の音が乾いて響いた。


 港の匂いが薄まり、乾いた草と海塩が混じる。

 視界が一気に開けて、町が“模型”みたいに見えた。


 観光客の白い船。

 難民船の影。

 連合の補給船の無骨な形。


 全部、同じ波に揺れているのに、揺れ方が違う。


 アリアは柵に手を置き、息を吸った。

 少しだけ、肩が軽くなる。


「ここが好き」


「逃げ道が分かるから?」


「……それもある」


 アリアは港を見下ろしたまま、ぽつりと言った。


「でも一番は――」


 言いかけて、止める。

 言うのをやめる癖が、そこにある。


 デュークは、代わりに自分が言った。


「一番は、ここだと国がきれいに見えるから?」


 アリアが、ゆっくりデュークを見る。

 驚いた顔じゃない。評価する顔でもない。

 ただ、“当てられた”顔。


「……記者って、嫌い」


「名乗ってないけどな」


「…それでもよ」


 アリアは視線を戻す。


「ねえ、デューク」


「何」


 アリアは港を見下ろしたまま、静かに言う。


「ここから見える、ヴェスタリア、綺麗でしょう?」


 デュークは、アリアと同じ港の方角に目を向けた。

「……ああ。そうだな。戦争中とは思えないよ」


 アリアは黙っている。黙って、ただ眼下に見える街並みを見ている。

 そして、連合の補給船を次々に指差しながら話す。


「戦争中なのよ。あの船も、あの船だって」

「……明日には戦地に向かうんだわ」


 デュークは肩を上げた。

「まあ。そりゃあ、戦果を上げにいかないとな」


 アリアは揚げた腕を下ろすと、デュークをまっすぐに見た。


「戦果とはなんですか?」


 デュークは、そのまっすぐな質問にすぐに答えられなかった。


「それは、人を殺した数のことでしょう?」


 デュークは息を飲む。言い切る声だった。迷いがない。怒鳴らないのに、重い。


 アリアは続ける。誰かに言い聞かせるためじゃない。自分に言い聞かせるみたいに。


「……そんなもののために」

「王から勲章を授けるような国に、私はしたくないわ」


 その一文で、デュークの背筋がぞくりとした。

 “王から”。

 “国にしたくない”。

 言葉の選び方が、普通の若い女の子じゃない。


「……君、何者だ」


 デュークがそう言うと、アリアは初めて港から目を離し、デュークを見た。

 薄いグレーと薄いブラウンの瞳が、真っ直ぐ刺さる。


「何者でもないわ。」


 言い方がずるい。

 逃げるのに、逃げ切らない。


 アリアは柵から手を離して、背を向けた。

 風が一段強くなって、港の船が一斉に揺れた。


「……行きましょう」


「どこへ」


「案内する」


「俺を?」


「あなた、道が分からないって言ってた」


 アリアは当たり前みたいに言う。

 それが、“助けられた礼”なのか、“自分の気分”なのか、判別がつかない。


 デュークは肩をすくめた。


「優しいんだな」


 アリアは一拍だけ止まって、振り向かずに返す。


「優しくない。……ここで、見つかったら困るだけ」


 言い訳にしては、声が柔らかすぎた。


 ⸻


 高台を降りる道は、さらに細い。

 観光客が歩く石段じゃなく、生活の裏側の階段。

 洗濯物の影をくぐり、壁に描かれた古い落書きの横を抜ける。


 途中、アリアが立ち止まり、路地の角を覗いた。

 人影がひとつ、遠くの通りに見える。


「……やっぱりいる」


「さっきの“見張り”?」


 アリアは頷かない。否定もしない。

 代わりに、デュークの袖をつまんで、別の路地へ引いた。


 彼女の動きは迷いがなく、呼吸が整っている。

 怖がっていないわけじゃない。

 怖さを“隠す訓練”をしている動きだ。


 デュークは、記者の勘で確信する。


(こいつ、護衛が付く側の人間だ)


 けれど、口にはしない。


 ⸻


 路地を抜けると、小さな市場に出た。

 野菜と魚、パン。

 観光の露店じゃなく、生活の匂いがする。


 アリアは果物屋の前で止まり、指差しで注文する。

 言葉が短い。丁寧すぎない。

 でも、店主の方が妙に背筋を伸ばしてしまう。


 アリアが気づいて、ほんの少し眉を寄せた。

 店主は慌てていつもの調子に戻ろうとして、笑いがぎこちない。


 その違和感を、アリアは“無かったこと”にするみたいに、すぐ話題を切り替えた。


「あなた、甘いのは好き?」


「嫌いじゃないけど」


 アリアは小さな柑橘を二つ受け取って、一つをデュークに放る。


「落としたら怒る」


「急に厳しいな」


「当たり前よ。タダじゃない」


 そう言って、アリアは自分の分の皮を剥く。

 指先が綺麗だ。傷がない。

 でも、剥き方が手慣れている。生活感がある。


 デュークはその矛盾に、また少し引っかかった。


 ⸻


 港の方角へ少し戻る。

 今度は“表の港”だ。観光客の船が並ぶ。

 けれど、その隣に難民船の影が見える距離。


 アリアは歩きながら、町を指差しで説明していく。


「この通りは観光用。こっちは漁師の通り。……あそこは連合の補給が入る場所」


「詳しいな」


「……住んでるもの」


 デュークはふと、質問を変えた。


「君、“戦争をしない選択”って言葉、好き?」


 アリアは一瞬だけ足を止めた。

 目線だけで海を見る。


「……好きじゃないわ」


「じゃあ、何て言う」


 アリアは少し考えて、答えた。


「“戦争をさせない努力”」


 デュークは、その言葉を飲み込むのに時間がかかった。

 中立。非戦闘参加。美しい言葉の裏に、疲労がある。


「……それ、記事にしたい」


「勝手に書けば」


「名前も?」


 アリアは歩きながら、肩越しにデュークを見た。

 瞳が薄く笑っているのに、距離は詰めない。


「書けないでしょ。私は“アリア”だもの」


 その言い方が、挑発じゃなく“現実”だった。


 ⸻


 しばらく歩き、港を見下ろせる小さな丘に出る。

 高台ほど高くない。

 でも、町と海と船が一緒に見える場所。


 アリアはそこで立ち止まり、言った。


「ここまで。あなたのホテル、あっち」


 指差しは正確だった。


「え、ここで解散?」


「解散」


「冷たいな」


 アリアはふっと笑った。


「あなた、私といると巻き込まれるわよ」


 デュークは、その言葉に軽口を返せなかった。

 巻き込まれる――は、脅しじゃない。警告だ。


 デュークは一歩だけ近づいて、でも距離を詰めきらずに言う。


「じゃあ、また会える?」


 アリアは返事をしない。

 その代わり、柑橘の種みたいに小さな言葉を落とす。


「……会う必要があるなら、会う」


 言い切って、背を向ける。


「アリア!」


 デュークが呼ぶと、彼女は振り向かないまま、手だけを軽く上げた。

 さよならでも、どういたしましてでもない。

 “黙ってついてくるな”の合図みたいな手。


 そして、路地の影に消えた。


 デュークはその場に残って、しばらく海を見た。

 観光客の船と、難民船と、補給船が同じ風に揺れている。


 さっきの言葉が、まだ胸に残っている。


 ――戦果とは、何ですか?


 デュークは小さく息を吐いて、メモ帳を開いた。

 書けることと、書けないことの境目が、今日はやけに薄い。


(……この国は、面倒だ)


 でも、面倒な国ほど、真実がある。


 デュークはホテルへ戻る道を歩き出した。

 さっきまで“道が分からない”と言っていたのに、今は不思議と迷わなかった




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