17.エピローグ
最終回です。
本日は三本投稿しました。
シルフの国家反逆の騒動が収まるまで、私は王宮で待機となった。無論そこには、クレーナ、ブラッドも一緒に居る。
お父様とお母様に限っては、領地で起きてしまったこの騒動に、ついての調査などに駆り出されている。
王宮に辿り着いた時、ルシウス王子が満面の笑みで出迎えてくれた。
ああ、こんなにも大切に思われていたのか……なんてことを感じながら、彼に感謝の言葉を伝えた。
私の心を救ってくれた彼、私の命を救ってくれた彼、ルシウス王子は私の中でどんどんと大きくなっていった。
私にとっての本当の恋は彼なのだ。
シルフの時のようなあれは、一体なんだったんだろうか?
きっとあれも恋だったのだろう。私にとっての初めての恋で、そうして、間違った偽物だったもの。
レプリカのような愛は、何時しか崩れて無くなって、今ではそこに感情が残ること無い。
彼が私の心を救ってくれたあのときに全てが変わったのだ。私の荒んだ心を甘やかに癒してくれた彼の言葉は突拍子も無いようなことだったけど、自然と信じることが出来た。
彼の言葉はとても純粋に聞こえたからだ。
そうして王宮に迎えてくれて、もう二週間位は経つだろうか。今はルシウス王子と共に、王宮にある大きな中庭でのんびりとしていた。
「なあ、アリス。あの時の約束は覚えているかい」
ルシウス王子の優しい声がふわりとした優しい眼差しと共に呟かれた。
「勿論です。シルフ……様と婚約破棄したら、ルシウス王子と婚約をするという話ですのよね」
「ああ、そのことだよ。あと、シルフは既に身分剥奪した上に罪人なのだから、様は付けないでくれ。俺の方が下に聴こえる……」
少しだけ、拗ねたような口振りでそう言った。
「もしかして、拗ねてますか?」
「す、拗ねて無いよ。ただ、ほんの少し、とても少しだけ不愉快だった」
ごめんなさい、大分不愉快だったようで……反省します……。
「えっと、それで婚約の話ですけど……本当に良いのですか?」
そう切り出すと、「アリスじゃなきゃ駄目!」なんことを訴えるようにして吐露した。
そんなことを言われてしまったら、やっぱり彼に心底惚れてしまう。誤魔化すように慌てて、視線を反らしたが、それを見て、彼は笑いながら私の横に密着してきた。
「僕はね、アリスが良いんだよ。今回の件、危なっかしいことをしていると聞いたときには心臓が止まるかと思った」
「ご、ごめんなさい……」
「でも、それだけ僕はアリスのことをいつも考えているんだと改めて確認できた。あの日、君に会ったときから、ずっとだ」
軽く伸びをした彼は、不意にこちらの顔を覗き込む。
「アリス・シスタリア。私と婚約して頂きたい。私は貴女を永久に愛することを誓おう」
顔が赤くなってしまった。トマトのように。動揺していることが一発でばれることだろう、実際おどおどして、両手をブンブン振ってしまっている。
彼の言葉に対して私の言うべき言葉は既に決まっていた。
「ルシウス王子、いえ、ルシウス・サラスヴィア様。私こそ、貴方に永遠なる愛を誓います」
暫くは見つめあったまま硬直していたが、不意に漏れた彼の安堵の吐息によって、私達は小さくほほ笑み、それから良かったと、幸せな気分で抱き合った。
「アリス、これからずっと一緒に居てくれ」
「勿論、ルシウス王子も私を放さないで下さいね」
庭で抱き合った二人の光景は、自然と廊下を通り掛かった使用人に丸見えな訳で、クレーナやブラッドにも見られて、後々におめでとうとお祝いされて、酷く恥ずかしかった。
──それからは、お父様とお母様が領での仕事も終わったようで、無事に顔を見ることが出来た。
そんなお父様とお母様にルシウス王子との婚約を報告すると、少しだけ心配していたが、祝福してくれた。
今では、彼との婚約者として、毎日慌ただしくも楽しい日々を送れている。
彼と一緒に居れて、クレーナやブラッドも一緒に居る。
あの、どん底からの復活。こんなにも短い期間に色々な出来事があり、ルシウス王子やブラッドに出会ったのもこの短い運命のような時だった。
勿論、ドンペンのおじさんもあの時一緒に戦ってくれた騎士の皆だってそう。
私は周りに恵まれていた。
失った人もいる。
騎士の何人かは勇敢に戦い、そして、公爵領とその民のことを案じながら旅立っていった……。
私は彼らのことを絶対に忘れない。
失ったものは元には戻らない。
でも、今あるものを守ることは出来ると思う。
こうして今ある幸せを私が尽きるまで、消えるまで守っていこう。
そしてきっと、私はルシウス様と居る限り最後の命が尽きるまで、永遠にこう言い続けることだろう。
皆に出会えて幸せだった。
──貴女に出会えて良かった、と。
「ねぇねぇ、お母様。お話の続きは?その人はその後どうなったの?私もっと聞きたい!」
くりんとした目の可愛らしい女の子はそう言葉を漏らした。
「そうねぇ、この後も色々とあるのよ。その人は王妃になって、外交などで大層苦労をしたりとか……」
「なんか、外交で苦労してるって、お母様みたいだね!」
無邪気な女の子の頭を撫でながら、可憐な女性はその子の頭を優しく擦った。
気持ち良さそうにその女の子は感嘆しながら、為されるがままに擦られている。
「おーい、アリス。居るか?」
「ええ、居ますよここに」
「あっ!お父様だ!」
男性の声に対して、女性は綺麗な声で返事をして、女の子はパタパタとその男性に駆け寄った。
「おっ、どうしたんだニーナ」
「あのね、お母様にね。お話をしてもらっていたの」
女の子の拙い呂律に優しい微笑を見せる男性は、自然とその視線をその女性に向ける。
「何の話をしていたんだいアリス?」
そう男性が質問すると、女性はニコリと目を細め、少し首を傾げながら言った。
「ただの、失恋してしまったご令嬢のお話ですよルシウス──」
今までありがとうございます!
上手くは書けなかったと、つくづく力不足を実感しておりましたが、完結出来たことは、皆様のお陰です。
『失恋令嬢~貴女に出会えて良かった~』
に関しては、終わってしまいましたが、次回作『乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢は悲惨な未来を回避したい!!』の連載を明日より開始します!
宜しければご覧ください!
今後もよろしくお願いします。m(__)m




