太郎倒れる?
「ちょっと待って。3人ともさっきから何を言ってるんだ?」
「太郎!いい加減にしろ!」
マリーがキレた。
「そうですわ。いい加減に本当の事をおっしゃって下さい。」
今度はマリーダがキレた?
「太郎、あなたどうしたの?…………。確かに前の太郎と雰囲気や顔つきが変わっていてよく見ないと太郎だってわからなかったわ。」
セーラは大丈夫のようだが、どうやら3人は最初、3人が知っている太郎だとは思わなかったみたいだ。
「太郎様、本当に忘れてしまったのですか。」
「太郎っ!お前ら香織を忘れるとかあり得ないから!」
「太郎、本当に忘れてしまったの?」
太郎は3人が何を言っているのかが分からず、でも確かにそんな名前を聞いた事があるからか、冷や汗をかきながら考え込んでしまった。
その為、3人を拘束していた魔法が解けてしまい、自由になった。
3人は魔法が解けて自由になったとたんダッシュで走りだした。
太郎がその事に気がついた時には時すでに遅く3人は部屋を出ていった。
「「「漏れちゃうっ!!!!」」」
3人はトイレに向かって走っていった。
それを呆然と見ていた太郎。
「な、なんだトイレか。」
太郎の魔法でかなりの時間拘束されていた為、3人はトイレを我慢していた。
しかし、3人が知っている太郎だとわかると途端に意識が、興味が、興奮が、懐かしさが、日本の事がトイレそのものを忘れ、太郎に意識が集中していた為トイレに行きたい事を忘れていた。
しかし、いざ拘束が外れ太郎が考え込んでいたスキを3人は見つけダッシュでトイレに走っていったのだが、太郎は3人が言っていた「幼馴染みの香織。婚約者の香織。」の事がわからずにいた。
「そう言えば、俺はなぜここにいるんだ。…………確かにおれば日本じゃなくこんな異世界に………。」
3人に言われた「香織」の事より、なぜこの異世界にいるのかが不思議でたまらなかった。
「あ、ヤバい。香織の事考えると………」
なぜか、太郎が「香織」の事について思い出そうとしていたら、段々と目眩がしてきてそのまま倒れてしまった。
………………数十分後。
「はぁ~、太郎の前で漏れたらもう生きていけなかったよ!」
「さすがに太郎様の前では………もしそうなってしまいましたら、もう太郎様に嫁ぐしかありません。」
「私は何回も太郎にぶっ飛ばしされた時に既に漏れていたから、太郎にもらってもらおうかしら。」
「えっ~っ!太郎なんか死んでもやだよ。あんなネクラなオタク野郎なんかと。夜ベッドに一緒に寝る所を想像しただけで鳥肌もんよ!」
マリーだけかなり酷い。
3人はワイワイ、キャッキャッと話ながら、寝室に戻ってきた。
「さぁ、太郎覚悟しなさい。もう惚けても……………あれ?」
「マリー、どうしたの?」
「いや、太郎が………」
「太郎様がどうしたのです…………きゃあ、太郎様っ!」
「た、太郎!どうしたの?」
「はぁ、私達に色々責められたから狸寝入りでもしてるのよ。」
マリーだけはどうやら太郎の事をかなり嫌っているようだ。
「私が魔法で太郎様の体を確認しますので、とりあえずみなさんで太郎様を運びましょう。」
「わかったわ。私は頭の方を持つからマリーとマリーダは片足づつ持って下さい。」
「そうですね。わかりました。」
すると
「えっ~~~~っ!私、太郎の体に触るのやだよ!」
「「えっ?」」
緊急事態のこの時でもマリーは平常運転だった。
「マリー、あなた何を言ってるのですか。今は緊急事態なのですよ。」
「マリー、太郎が前から嫌いな事は知っていますが、今はそんな事言ってる場合ではじゃあ………」
マリーがセーラの話を上から強力に被せた。
「えっ、だってコイツにさわったら病気になるよ?だから二人ともやめた方がいいよ。どうせコイツはただ狸寝入りしてるだけだから。」
マリーの太郎嫌いは筋金入りだった。
しかし、なぜ太郎は倒れたのかがまだ謎だ。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
体調が悪いのにコロナとか………。
皆様は大丈夫でしょうか。




