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空白  作者: 夏蝶
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夕焼けは橙色だった

 父が死んだと聞いてから、僕は自分自身について考えるようになった。これから何をして生きていきたいのか、本当にやりたいことはないのか、父の身代わりではないと口では言い続けたのに、今まで僕自身のことと向き合おうとしなかったのは僕の中で父の身代わりである人生に言い訳をつけていたのだと気付かされた。

 兄弟のあいつは、夏休みに入ったばかりで父親が亡くなり、通夜や葬式で忙しいみたいだ。父に会いにいったあの日、たまたまあいつも見舞いに来ていたみたいで、僕と父との会話を聞いてしまったと申し訳なさそうに謝られた。名前の意味くらい聞かれてもいいのだと答えると、申し訳なさそうにあいつはこう言った。

「俺は、お前に会うためにこの名をもらったのかもしれないと思ったんだ。俺は人と人を繋げる温かな橙色のような笑顔で歩み寄れる子に育ってほしいと歩橙(あゆと)とつけたと聞いたことがある。ただの思い込みかもしれないけどな。」

 確かに色が関連する名前ってことは共通点だと思ったけれど、今考えるとあいつはこう思っていたかもしれない。

 僕とあいつの名前の色を色相環で見た時、僕の色、碧(青)とオレンジはちょうど反対の場所に位置する色だった。環境は違えど、きっと歩み寄れる二人になるようにと想いを込められたんじゃないか、父は自分の子供たちを支え合える兄弟だと伝えたかったんじゃないかと。

 まぁ、父が死んでしまった今、その意味があったのかは定かではないが、兄弟として思えるのはちょっとした共通点と僕たち二人がそれぞれ考え、行動した結果に過ぎない。


 ふと、部屋の中を見渡すと、窓際で外を眺めている居候がいた。ぐりぐり頭を撫でるとそいつはこっちを向きながらこう言った。

「どんな季節でも夕暮れ時の空の色は橙色なんだな、柔らかく暖かい色だ。」

 あぁ、歩橙の雰囲気とそっくりだ。僕は空を見ながら思う。



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