第四章第一節
第四章 献上事例による検討
本項においては、これまでに確認された献上事例を基に、御彼覩の御意識がお向けになられる際に観測される兆候について、具体的なパターンごとに記すものである。
当該記述は、過去の観測記録、現場報告、並びに関係機関より提供された情報を整理したものであり、個別事例の詳細に基づき構成されている。
なお、これらの事例はすべて実際に発生した事象に基づくものであり、いずれも対象が御彼覩に対して献上に至った結果を含む。
したがって、本項における記述は、単なる参考情報ではなく、現実に確認された経過として理解することが望ましい。
御彼覩の御意識がお向けになられる過程は一様ではなく、対象の認識状態、環境条件、意識の強度等により複数のパターンが存在することが確認されている。
しかしながら、各事例に共通して認められるのは、対象が当該徴候を「異常」として認識し、その原因を理解しようとする過程において、観測状態への移行が加速する点である。
すなわち、徴候そのものよりも、それに対する認識及び思考が、献上へ至る主要因となる。
本項では、これらの事例を徴候別に分類し、それぞれの発生過程、対象の行動、並びに最終的な結果について整理する。
各記述においては、可能な限り客観的な記録に基づき、主観的解釈を排した形で記載しているが、一部においては観測環境の制約上、完全な記録が残されていない事例も含まれる。
そのため、記述内容は必ずしも全ての経過を網羅するものではないことに留意すること。
また、本項の閲読に際しては、各事例に含まれる徴候の描写が、御彼覩に対する認識を誘発する可能性がある点について十分に留意すること。
特に、複数の徴候が連続して記述される箇所においては、意識の集中が生じやすく、結果として観測状態への移行を促進する恐れがある。
したがって、本項の閲読は、前項に示した注意事項を十分に理解した上で、必要最小限の範囲に留めることが望ましい。
なお、本項に記載された内容を理解した時点で、既に一定の認識が成立している可能性は否定できない。
当該点については、各自の判断に委ねるものとする。
第一節 立毛反射事例
【事例報告:拝受状況観測室拝受係係長〇〇 〇〇】
記録番号:H-12
対象:拝受係員(男性・30代・新任職員)
事前承認番号:R01-E45-拝観1154
管理者:室長補佐〇〇 〇〇
係長 〇〇 〇〇
拝受観測員:係長 〇〇 〇〇
係長 〇〇 〇〇
主任 〇〇 〇〇
主任 〇〇 〇〇
拝受観測機:正常作動
AM11:07 拝受観測報告
AM11:09 拝受観測開始
AM11:10 拝受観測確認(情報基盤部〇〇 〇〇)
AM11:21 拝受開始
AM11:28 拝受中断
・閲読開始より約7分後、対象が右手を挙手。人差し指を立て、立毛反射の申告。
スピーカーにより30分の中断を命じる。
モニターでは、注意事項閲読中。
AM11:37 拝受中断時間再設定
・再度対象が右手を挙手。人差し指を立て、立毛反射の申告。
スピーカーにより30分の中断を命じ、同時刻を中断時間として再設定。
PM0:07 拝受再開
・拝受再開。観測モニターには、御意識が若干向けられていたが、基準値以下で異常なし。
※以降、事後記載
PM0:21 立毛反射
・対象右手を挙手、人差し指を立て、立毛反射の申告。
PM0:21 慶事兆候
・直後左手挙手。前指立て、慶事兆候申告。
・スピーカーで閲読中断、直ちに退避を指示。
・対象が右手で額を拭う。
・拝受観測値基準値2倍を越える
PM0:22 対象隔離、緊急慶事連絡
・規定に基づき、拝受室を施錠。対象を隔離。
・情報基盤部に緊急慶事連絡。
PM0:24
・対象が拝受室ドアを叩き、「かみが来る」と発言
・対象が通信機器で連絡を取るが、繋がらず(通信先:妻)
PM0:27 慶事連絡受理通知
・国土交通大臣から慶事連絡受理通知
指示事項①拝受対象の隔離
②観測職員の二次的な献上を慎むこと
PM0:28
・対象が遺書を殴り書く
・その後対象は拝受室を走り回る
PM0:34 御彼覩に対する献上
・対象が空間に呑まれ、存在消失
PM0:35 観測員の立毛反射を確認
・観測員〇〇〇〇が立毛反射を申告、即時退避。動画閲覧室へ移動させる
PM0:42 観測員の漠然とした不安の発現
・動画視聴中の観測員が規定の方法で漠然とした不安を訴える
・その後視線についても4時方向から感じると申告
PM0:44
・拝受値観測。基準値越えにより、動画視聴質施錠。
PM0:45
・情報基盤部に緊急慶事連絡
・対象が遺書を取り出し、床に置く。
PM0:47 御彼覩に対する献上
・観測員が空間に呑まれ、存在消失
PM0:49 緊急慶事連絡
・情報基盤部に存在消失を報告。
PM0:53 慶事連絡受理通知
・国土交通大臣からの慶事連絡受理通知。
その他職員、御彼覩に対する献上無し。
上記事例における献上は、立毛反射が複数回確認されていたにもかかわらず、適切な中断措置が講じられなかったことに起因するものと考えられる。
当該事例においては、一度目の立毛反射発生後に中断措置が実施されているが、二度目の発生時点において、観測値が基準値以内であったことを理由に閲読再開が許容されている。
しかしながら、立毛反射の再発は、御彼覩の御意識が断続的ではなく継続的に向けられている兆候と解されるため、当該時点で当日の閲読を中止することが望ましかったと判断される。
また、対象自身の行動についても留意すべき点が認められる。
対象は慶事兆候発生直前に額部の発汗を拭う動作を行っているが、当該行為は温度感覚への意識集中を伴うものであり、結果として御彼覩への認識を強化した可能性がある。
さらに、当該事例においては観測員に対する二次的な献上が発生している。
これは、当該観測員が動画記録の閲読中に徴候を認識し、適切な思考抑制が行われなかったことによるものと推定される。
当該事象は、観測員に対する事前の精神状態確認及び対応訓練が十分に機能していなかった可能性を示唆するものである。
以上の点から、本事例は単一の要因ではなく、管理体制、判断基準、及び個別行動の複合的要因により献上に至った典型例として位置付けられる。
特に、徴候の再発を軽微なものとして扱う判断は、観測状態への移行を見誤る要因となるため、今後の運用においては厳に慎む必要がある。
なお、献上直前において対象は強い混乱状態を呈しており、注意事項の遵守が困難となることは十分に想定される。
したがって、最終的な回避は対象個人の対応に依存するものではなく、管理者による早期の中断判断に大きく依存するものと考えられる。
最後に付記する。
本書を閲読している対象において、立毛反射が既に確認されている場合は、当該事例と同様の経過を辿る可能性がある。
特に、背部から頭部にかけての立毛反射を認識した場合は、御彼覩の御意識が比較的強く向けられている状態である可能性があるため、直ちに閲読を中止することが望ましい。
当該判断の遅延は、観測状態への移行を加速させる要因となる。




