第参話
嘲笑った連中は全て沈めてやった。
だが、同時に僕には友達がいなくなった。
それでも僕はよかった。
―――――――
この人は龍だ。そう、しかも人の姿に変身できるがふとしたところ(くしゃみ、咳、おならなど)で火を出してしまうぐらいの恐ろしいぐらいの実力を持った龍。
まぁ、龍にもいろいろと種類があって、ボス、幹部、チンピラ、下っ端みたいな?そんなものがあるのだ。
まず、一番実力が強いのがほぼ自然体の龍だ。
それは見た目でやばいとわかる。ちゃんとした形を持っておらずたとえば、火だったらマグマそのもの。剣とか矢、鉄砲なんかまったくきかない。水をかけても殆ど効かないし海に沈めても行動を続けることができるという恐ろしい存在だ。まぁ、この手の龍は殆ど荒ぶることがなく、感情がないのではないかといわれていたりする。
次に比較的能力の高い龍。
先ほどの例と続けて火を吐いたりする龍で扱うが、火山の動きとか普通に動かせたりする龍で活火山だったら好きなときに地面から火を噴かせて相手を襲う。奉られている事が多く、この祠などに対して失礼なことをやらかすともう、大変。へたれ龍鎮めが土下座をしてでもやめたくなるようなそんな感じだな。
そして最後が一般的な龍。
翼がなくても宙を漂い、口からその系統の何かを吐き出して暴れまくる。ものすごく低い確率で一応は一般人が倒せるかもしれない存在だが歳をとったものはまず無理だ、元から頭がいい上にさらに知恵をつけているのではめられて終了。まぁ、龍鎮めのほぼ本業相手がこの一番下のお方である。やっぱり奉られていたりして普段は恩恵を授けてくれる存在だ。
よって、僕の知りうる中で一番上の自然体の龍を相手にしたときは嘘でもいいから対等に行動しないといけない。相手のほうが下だとわかったらこの手の龍は人をおもちゃにして……こほん、だから僕はしっかりしないといけないのである。
「で、早く話を聞かせていただけますか?」
「むぁっ?ああ、そうっさね」
猫舌なのだろうか?舌をお冷の氷で冷やしながらそんなことを言う。ううむ、これまた不思議なことなのだが人の姿をしているときに触れても別に熱くはないのが不思議だな。
「こほん、俺っちの友人が実は機嫌が悪いっさ。他の龍鎮めにも話かけたっさがスルーされたのさっ」
そらぁ、そうだろうな。この人の友人だったらまず間違いなく相手は自然体。自然体が機嫌が悪い=天変地異、来たる。それと同じ意味なのだからまず間違いなく首を縦にうなずく馬鹿はいない。
「わかりました、僕でよければやりますよ」
「ほんとうっさか!?やはり、本家の息子はちがうっさね」
喜んでいるようだがこれはこれで苦しいプレッシャーだ。本家、本家、当主の息子。おべっかつかう連中には愛想が尽きた……とは言わないが金と地位を求める人はいつの時代にもいるもので僕に近づいてくる女性は結構いた……とか一度でも言って見たいせりふだけどね♪
「それで、場所はどこだかわかりますか?」
「ああ、わかってるっさ。俺っちのぼろいアパートの隣の家なんだけど……」
ぼろいアパート?この人そんなところに住んでるのか……望めば全てが手に入るまるで神のような、いや、実際に神様といっていい自然体なのにそんな貧乏暮らしをしているのだろうか?
住所とどういった相手なのかを教えてもらい、僕は一度別れる。今日中に何とか沈めないと、教えてもらった住所の近くには学校などが建てられていて鎮めるのに失敗したら周りに被害が出るのはまず間違いない、というかものすごいことになる。
想像できる見出しは『日本沈没か!?』『凍結都市来る!?』そんなところだろう。
「……なるほどね、だから最近寒くなってたのか」
春先なのに、地球温暖化が叫ばれているのに異常な寒さ。他の地方都市なんかはとっくに半そでがいるのだがまだこの町は冬が経過していない。
何でもかんでも龍のせいにするのは間違っていると思っていたけど、今回ばかりはその龍の仕業らしい。
氷付けにされないように居もしないだろう神様にお願いをして僕は僕の自宅へと戻った。ぼろくはないが綺麗でもない普通のアパート。
「……よし」
準備を全て終えて僕はアパートの鍵をかけて問題の住所へと向かった。




