12話 シークとイルと異世界案内所
「レンスイの爺さんに紹介してもらった異世界案内所ってここだよな」
シークとイルはレンスイに紹介された古びた雑居ビルが立ち並ぶ通りにある年季の入った家屋の前に立ちみあげる。
「看板とかないのかな」
「ブラックに近いグレーだな、大丈夫かここ」
「わー誰か助けてくれーい!」
家屋から男の悲鳴が聞こえる。
「なんだ!?うわっ!」
家屋の2階の窓から老鬼が窓から吹っ飛ばされるよう宙を舞う、シークの姉がカメラからミラクルジュースをとりだす効果は増毛。
「イルさんこれ」
「おう、任せとけ」
イルはミラクルジュースを飲み増毛し老鬼のクッションとなる。
「大丈夫か?じーさん」
「いや、大丈夫じゃない!わしのひ孫が危ない急いで2階の部屋にもどらんと!イテテテテすまんがわしを家の2階まで運んでくれんか?わしは腰が抜けて動けん…」
「肩をかそう」
「すまないお嬢さん」
シークは老鬼に肩をかし家へと向かう
「シーク悪いが俺はこの体じゃ家に入れないからここで待ってるな」
「あぁ、任せとけ」
シークと老鬼は2階の部屋のドアを開ける。部屋のなかでは老鬼のひ孫の2歳くらいの子鬼が宙に浮いている。手には人の顔の皮で作ったボールのような物を持っている。
「きゃわー!じいじー、えやー」
子鬼がボールをバンバン叩くとボールの人の形の口から体生再起不完全型の亡者がシークと老鬼に向かい飛び出してくる飛び出た亡者は立つことができず床を這うと血や汚物を吐き出したり部屋を汚していく。
「うお、あぶねーな」
「セイジロウやめるんじゃ!なんとかあのボールを取り上げんと!」
シークは老鬼をかかえながら子鬼の攻撃をよける。
「じーさんあのボールはなんなんだ!?」
「あれはわしが作った亡者の魂の抜けた身体の回収装置じゃ、表向きは亡者の亡骸回収を仕事にしてるからな、それをひ孫のセイジロウが勝ってに見つけて回収した亡者をバンバン解放して遊びだしたんじゃ」
ドーン
「くぁっ!痛ってーなぁ!」
「ぐふぇっ!」
子鬼の容赦無い攻撃がシークと老鬼に直撃し2人は床に倒れる。
子鬼はあはははと笑っている。
「じーさんを一旦安全な場所に隠すか」
その時トントントンと窓を叩く音がした。シークが振り向くと窓の向こうにイルがいる。
「大丈夫か?シークとじーさん」
イルが1階の屋根に登り窓から部屋を覗く。
「わー!おっきいわたあめー」
子鬼はボールを手放しイルの所へ飛んで行く。
シークは床に転がるボールを拾い老鬼にパスする。
老鬼はボールを操作し亡者を吸い取っていく。
「助かった、お嬢さんがたありがとよ」
「あぁ、俺たちレンスイさんから紹介で来たんだがあんたが異世界案内所のアズサさんか?」
アズサは抜けてた腰がもどり立ち上がりひ孫のセイジロウを抱える。
「わしがアズサじゃ、レンスイの紹介か、ちょっと待っておれ」
老鬼はセイジロウを抱っこヒモでくくり大きなハサミを持って戻ってきた。
「お連れさんの毛のカットをせんにゃな、たしかこんな感じだったかな?」
老鬼はイルの毛をどんどんカットしていく。イル1メートル位の背丈のてるてる坊主から手と足が生えたようなぬいぐるみにカットされる。
「ぷっぷぶーー!てるてる坊主じゃん」
シークはイルの姿に吹き出す。
「じーさん俺で遊ぶのはやめろっ!もういい、鏡はどこだ!」
「あぁ、すまない気に入らなかったかいの?鏡は1階の玄関に大きいのがあるぞい」
イルは走って鏡を探しに行く、ギャーと悲鳴が2階まで聞こえてくる。しばらくしてイルが2階へ戻ってくる。
「おい、じーさん!カットモデル料請求するからな」
イルはアズサに契約書を見せアズサはそれを受け取りサインする。
「で、おふたりはここを訪ねて来たって事は密入をしたいんじゃな、」
「密入って違法だろ?俺たちに危ない橋を渡れと?」
「なら異世界通行許可証は持っておるのか?近年許可証の発行には厳しくなっておるからなぁ、ここは許可証を持たない鬼の密入を手伝いするそういう場所じゃ」
「そうか、シークどうする?」
「密入する、アズサさん俺たち慈善町に行きたいんだが」
「慈善町か、確か日本の中国地方の山中の町だな、わかったその近辺で依代となる霊力を持った人間を探さないとな」
「そんな都合よく見つかるものなのか?」
「あぁ、慈善町には何故か霊力を持つ人間が多くてな簡単に見つかるさ」
「そっちのてるてる坊主さんは我々鬼と種族が違うな悪魔系じゃな、また別の転送方法を探さにゃならん、今のここの設備じゃ転送できんな多分」
「そうか、シーク俺は必ず後から合流する」
「あぁ、先に行って待ってるからなイル」
「ならお嬢さん転移機械魔法陣がある地下に案内しよう」
シークとイルはアズサの後をついて地下に降りると部屋の床には機械と接続された魔法陣が描かれている。
「お嬢さん魔法陣の中心に立っておれ、わしはこっちの機械で慈善町の依代になりそうな人間を探す、旧式の転移機械魔法陣だから細かい事はできんが…まぁわしに任せとけ」
アズサが見ている画面の地図にある無数にある大小様々な光の一つが大きくひかり点滅をはじめる。
「うん?この依代がよさそうじゃ、ちょうど召喚儀式中見たいじゃしちょうど良い、お嬢さん当たりじゃといいな、外れだったら人間界で別の依代を探してくれ、ではポチッとな」
「ん?待てじーさん!当たりとか外れってなんだよ!しっかり説明してくれ」
魔法陣はシークを風と七色の光が包み込むように渦を巻き雷の様な閃光が煌めく。
風が弱まりシークはゆっくり目を開ける。
「人間界に着いたのか?」
そこには人間の青年が1人と鬼の青年が1人と体生再起不完全型の化け物がいる。民家が立ち並ぶ住宅街だ時刻は夕方。
「新入りか?応戦頼む!こいつは物理攻撃が無効化される、呪いは使えるか?」
「呪いは使えない」
「…まぁいい、ここは退散するぞ!」
鬼の青年は目くらましを化け物に投げ3人は走り逃げる。
3人は河原の橋の下に身をひそめる。
「案内所では呪いの適性検査とか調べられるんだが聞かなかったか?無能力者でも異世界へ移動する時に呪いの力が自然と身につくはずなんだが、まさかもぐりの案内所の密入か?」
シークはこくんと頷く。
「わかった俺が基本は説明しよう、俺も何度か昔密入してたからな…」
「ありがとうございます俺シークっていいます!」
「俺の名前はキバだ、でこいつは俺とお前の召喚者であり依代の泰徳だ、俺もお前も泰徳から霊力つまり生命エネルギーを供給されてる、近くにいれば大丈夫だが、依代と離れる時間が長く続くと俺たち鬼は人間界で理性も姿も保てなくなる」
「はい、泰徳さん宜しくお願いします。」
「宜しくシークちゃん」
「ちゃん付けは嫌いなんだシークで良いよ」
「だったら俺の事も泰徳ってよんでくれ」
泰徳はシークへ手を差し出す握手のようだ、シークも手を出し2人は握手をする。
「さっきの化け物は理性と姿が両方崩れた鬼だ、それから鬼の世界と人間の世界では理が違うからな、こっちでは鬼が悪で人間が正義だ、人間に飼いならされた鬼や理性を無くした鬼が暴れ回っている、鬼を見かけたらまずは敵だと思え」
「わかった」
「シークはなぜ密入までして人間界へきたんだ?」
泰徳がシークに尋ねる。
「ねーちゃんを探してて、このカメラの写真の場所がが慈善町の神社のお祭りみたいなんだ」
シークはカメラを操作し姉の写真を見せキバにカメラを渡す。
「あっ!これ俺が作ったカメラか?シークのねーちゃんはエンレンさんか?俺も探してるんだ」
「ねーちゃんキバとは知り合いなのか?」
シークの問いかけに姉カメラは無言だ。
「ねーちゃんの魂のカケラがカメラに残っていて話せるはずなんだけど、ねーちゃんどうしたんだろう?」
「ああ、そういえばこのカメラ映した者の魂を切り取る機能があったな、ちょっとカメラ貸してもらっていいか?」
キバはシークからカメラを受け取りガチャガチャとカメラをいじる。
「やっぱりな、カメラに仕込んだ魂を切り取る鏡が割れてる、多分地獄から人間界に転移する際の衝撃で鏡の部分が破損したんだろう」
「じゃあカメラの中のねーちゃんとはもう話せないのか?」
シークはカメラの作り主なら直せるかもと期待を込めてキバに問う。
「ああ、残念だが無理だ」
困った顔をしてキバは返事をする。
シークはうつむく。
「ぐぐぃぃっうごっ」
ドサッ!
橋の上から体生再起不完全型の鬼が飛び降りてきた。
「さっきの化け物かっ、」
「シークカメラかりるぞ」
キバはカメラを操作し過去に自分がもしもの為に収納していた強力な電流が流れる武器雷をとりだす。
キバは槍を化け物に突き刺し電流を流す。辺りには化け物が焦げた匂いがただよい、化け物は動かなくなった
「泰徳も何者かに狙われているとなるとこのまま泰徳の家に向かうのも危険だな泰徳どうする?」
キバは化け物に刺さる雷槍を引き抜きカメラに収納はする。
「俺は家に戻る母さんが心配だ、無事だといいんだが…」
「何かあったのか?」
シークは泰徳とキバに尋ねる。




