13話 泰徳と地獄からの来訪者
シークの「何があったんですか?」の問いには泰徳はゆっくり口を開く
「そうだな何から話せばいいか…」
シークは泰徳の言葉に耳を傾けてる。
「あれは今日の朝のことだ…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今朝の泰徳視点
「泰徳手紙きてるよー」
泰徳は母から封書をわたされる。
「あっ、この前面接行ったとこだ」
書面には採用と書かれている。
「採用だって」
「あら、よかったじゃない1年ぶりの社会復帰ね!タクシー会社だっけ、頑張ってね!」
「ああ、ありがとう、母さん」
ピンポーンと家のインターホンが鳴る。
「私よー」
ドア越しに泰徳の母の姉の声が聞こえる。
「はーい!姉さんね今開けるから」
ガチャとドアが開く。
「大切な話があるの2人で話たいから空いてる部屋ある?」
泰徳の母と叔母は寝室に入って2人はそれぞれ腰掛ける。
「泰徳君どう?誕生日までに仕事決まりそう?」
「誕生日は少し過ぎるけど仕事決まったのよ!」
泰徳の母はニコニコしながらはなす。
「29歳になる前に仕事を決めて働けなければ間引かなくてはいけないの小川家の決定事項なの」
「姉さん待ってください泰徳は仕事が決まったのよ例の期限の29歳の誕生日は過ぎるけどどうにか助からないの?」
「それはとても危険な賭けなの期日までに定職を見つけないと霊力の使い方が分からない陰陽師の素養がある者は霊力が暴走する恐れがあるの、仕事が決まれば霊力をその職種に合わせて変化させ発揮する事ができるのだけど…と眠りの巫女様が」
「泰徳は渡さない!兄さん見たいにさせたくない!姉さん出てって」
「もう準備はできてるから、あなたもそのつもりで、私はもう帰るわ」
泰徳の母が叔母を玄関の外に追い出す。
いつのまにかパトカーと救急車が家の前に止まっている。
「泰徳!これを持って窓から逃げて!早く!」
泰徳は母からリュックを投げ渡される。
「母さんどうしたの?」
泰徳は母とリュックを交互に見て事態を飲み込めずキョトンとしている。
警察官と救急隊員が玄関前までやってきてドア越しに泰徳の母に話しかける。
「お母さんですか?息子さんを保護しにきました。あとは我々にお任せください。」
泰徳の母はドアのかきを二重三重にロックし泰徳に向かって叫ぶ
「警察も救急車もこの町も信用したらダメだから!この町をでて隠れて生活しなさい」
「えっ?俺なんも悪いことしてないじゃん…うごっ…」
泰徳のみぞおちを巨大な何かが殴り泰徳を失神させる。
「久遠、泰徳を安全な場所まで運んで!私も後から追いつく!」
「御意、我が主人小春様ご武運を」
巨大な何かは人型から大型の狐のような姿に変わり泰徳を口でくわえ窓から飛び出し建物の上をぴょんぴょん走り渡る。
「うっ…ここは?」
泰徳が目を覚ますと町が見渡せる山中の場所に居た。太陽が高い時刻は昼のようだ。
「俺どうしたんだっけ」
近くには母から渡されたリュックがある。
泰徳はリュックを調べると食べ物と飲み物、陰陽師入門書、霊力の使い方上中下の本、偽造身分証、お金が入っている。
「なんだこれ?陰陽師?霊力?」
本をパラパラとめくると手紙が落ちてきた。母の字だ
、霊力の使い方上の本の112ページを見て式神を召喚しなさい、きっと泰徳を助けてくれるから、本当は母さんが力の使い方を教えてあげられたら良かったんだけど…監視をどうにもできなくて、泰徳ごめんなさい貴方には平穏な生活をと望んでいたんだけど。と書かれている。
「小春様の息子泰徳よ、式神を召喚するのだ、さあ」
「!?」
いつの間にか巨大な人型の野獣のような者が泰徳の背後から覗き込み話しかけられる。よく見ると頭には狐のような耳と尻からは尻尾が生えている。
「なんだ!?お前、小春様って母さんの事か?なんなんだ一体」
人型の野獣は口を大きく開きよだれを垂らしながら泰徳の香りに近づいて囁く。
「小僧、生き延びたくあれば自身の力を信じてみよ」
泰徳は顔が青ざめ鳥肌が立ったが声を絞り出す。
「あ、あぁ…わかったやって見るよ」
「それで良い」
人型の野獣は泰徳から少し距離を離れ本をめくる泰徳を見守る。
「えと、この本の表紙の魔方陣に手のひらを当てて…我が魂に所縁のある眷属よ我が魂の矛となり盾となれ道は今ここに開かれん…でいいのか?」
辺りは黒いくもが渦巻くように集まり一点に集約する。おでこから二本の角が生えた鬼の青年が現れる。
「ふむ、鬼を呼んだか大したものだ」人型の野獣は鼻をならす。
「お前が俺の召喚者で依代か、俺はキバ、あんた名前は?」鬼の青年は泰徳に話しかける。
「俺は小川泰徳だ!まじか!?式神?俺にこんな力が…!」泰徳は信じられないという興奮で目を輝かせる。
「泰徳は何が望みだ?俺は望みはの俺の先祖である八岐ノ一族が作った鏡監を探している、何かしってるか?」
「知らないな、なんだそれ?」
「鬼よ、願いはその人間の身の安全を保障してほしい」
人型の野獣が泰徳のかわりに鬼の青年キバに話しかける。
「泰徳はそれで良いのか?身の安全とか基本中の基本で望みの内に入らないぞ」
「実は俺は今この状態がよく分からないんだ、混乱してしてる、願いとかも思いつかないし」
「そうか、何か望みがあれば言ってくれ叶えられる事なら協力しよう」
「小春様が心配だ、私はもどる」
人型の野獣は大型の狐のような姿に変え空に向かって飛び跳ね消えてるいく。
「泰徳フェイスノート開いてみろ霊力があるなら使えるはずだ連絡先を交換しよう」
「フェイスノートって携帯電話のやつだろ俺使ってねーし」
「いやいやそっちの携帯は一般回線だぞ、俺が言ってるのは霊能力者専用の回線だ」
「いや、俺霊力の使い方なんて知らねーし」
「霊力の使い方を知らない?って事はおまえ破滅型転生者か?って本人に聞いても分からんか」
「キバ、破滅型転生者ってなんだ?」
「人間界では巨大な力を持ち過ぎるものは危険とみなされて力を封じ込まれているんだ、それが破滅型転生者だ」
「破滅型は何となくわかるけど転生者っていうのはなんだ?誰かの生まれ変わりか?」
「人間界の呪い師のお偉いさんが予言するそうだ、俺も詳しくは知らん」
「そういえば俺も母さんが心配だ一回家に帰ろう」
泰徳とキバは山を下り夕方の住宅街を歩く。
「泰徳のお母さんも能力者なのか?」
「さあな、俺なんにも聞いてねーから」
2人が歩いてると進行方向先の曲がり角から黒い四つ足の大きなヤモリみたいな化け物が現れた。
「泰徳離れていろ!」
キバは化け物に走り寄り持っている武器を化け物に突き刺すが化け物の身体はスライムのように再生していく
「物理攻撃が効いてないな…呪いを使ってみるか」
キバは化け物に槍のような電流の塊を投げたり突き刺したりする。
「くそ!チャクラ切れだ、泰徳俺に霊力を供給してくれ!」
「すまない、意味が分からないんだが…」
「そうか…泰徳、式神を召喚しろ呪いが使える奴が来ると良いんだが…」
「あぁ、それなら分かる、やってみる」
泰徳は召喚を始める。辺りは黒いくもが渦巻くように集まり一点に集約する。両側頭部から渦巻き型の角が生えた少女が現れる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
泰徳の回想が終わり場面はもどる。
「でその時召喚されたのがシークだ」
「まさかこんなガ…お嬢さんが召喚されるとはな」
「お役に立てず悪かったな」
シークは少しむくれる。
「いや、俺の作ったカメラを持っててくれて助かった、そういえばエンレンさんの妹だったな」
「取り込み中悪いが…早く俺の家に戻ろう母さんが心配だ!」
泰徳は2人の返事も待たずに家に向かって駆け出して行く。
「シーク俺たちもいくぞ」
「あぁ、話はまた後でだな」
2人も泰徳を追って駆け出す。




