Act.01
【 まえがき 】
■異世界(ゲーム世界)トリップのお話です
萌えのままに突き進んでおりますし、いろいろご都合主義だと思われます
■のちのちに戦闘シーンやそれに類するシーンがある予定です。が、筆力的にそんなに派手なことにはならないかと思います。たぶん。
2013/12/7
オレの幼馴染みは、今日もゲームに夢中である。眼前でチョコレート菓子を貪りながらゲームをしている彼女は、にやにやと口元が緩んでいた。彼女――西成祐夏曰く、流行りの乙女ゲームらしい。そう言われるのもわかるように、販売数は異例の数字を叩き出しているようだ。しかしオレの回りでプレイしているのは、お前しかいないけどな。
土曜の真っ昼間から携帯ゲーム機でゲームとは、哀しい奴だよ。しかも彼氏の家とかではなく、幼馴染みでお隣さんのオレの家というのがまた哀しい。
「お前、真っ昼間からゲームしてんなよ。しかもオレの部屋で。せっかくの休みなんだから、友達と遊びに行けばいいだろーが」
「太陽光はお肌の大敵と言われていますけどね。だからゲームをしているんですよ。供給を需要しているから問題なし! というより、今日は弟が彼女連れてきてるんですー。気まずいったらありゃしないわ。大体、あのリア充は私を目の敵にしてんのよ」
「なんで実の姉を目の敵にしなきゃならねぇんだよ」
「私がゲーム好きだからじゃないの? まぁ、アイツのエロ本の隠し場所を知ってるっていうのもあるけどさー」
エロ本の隠し場所はマズイな。目の敵にされるのも解るわ。隆二が可哀想だ。隆二は祐夏の弟で、祐夏と一歳違いの年子である。
「つか、さっきからうるさいからね。いまミシェル様と敵を倒してんの。これに負けたら親愛ゲージが落ちるんだからね!」
知ったことかと言おうものなら、彼女は烈火の如く怒る。なぜ知っているのかといえば、前に怒らせたからだ。バカだのアホだの替わりにプレイしろだの散々だった。
贔屓目に見ても、祐夏はスタイルも顔も悪くない。なのにモテないのは、乙女ゲームに夢中だからだろう。
「やった! 勝ったー!」
「そりゃあ、よかったな」
ゲーム機をテーブルに置いて、やったーと両手を上げる祐夏を眺めながら、コップに汲んだお茶を一口飲めば、その家庭用ゲーム機が淡く光だした。
「え……なにこれ!?」
「演出だろ? この間見せてくれた雑誌には、そんなこと書いてなかったけど」
こんな演出もありっちゃありか。オレにはよく解らないけど。
「このゲームにこんな演出ないよ! バグ? これバグだよね!? みきっ、聞いてんの!」
だから『みき』じゃねーから! オレの名前は美貴だっつの! 皆実美貴。ぱっと見は女の子な名前だが、オレは立派な男だ。女の子のように『みき』と呼ぶなとそう言いたいが、言えずにいる。なぜなら、祐夏がオレの肩に手を置いて揺すっているからだ。そして言ったとしても聞いてくれないことは実証済みである。
「おち、落ち着けって……、祐夏……! 溢れる、お茶が、溢れるから!」
そう返すのがいっぱいいっぱいで、名前のことなんか一文字もでない。
「なんか光が強くなってるんですけどー! みきっ、どうしようっ」
「だから……落ち着けってば!」
オレが祐夏の手を引き剥がしたのと、オレたちが光に飲まれたのはほぼ同時。強い光に目が眩んだところまでは覚えている。あとは祐夏の『嘘でしょー!』というバカでかい叫びしか記憶にない。
祐夏の叫びが消えたのを不思議に思い、徐に目を開けて飛び込んできた世界に、オレは目を疑った。
視界に映るのは、幹が伸びる木と葉が茂る枝から覗く青空なのだから。




