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カラスが鳴いていた

 国会議事堂の松の樹に、カラスが数羽停まって鳴いている。


 「アホー、ガッ、ガー、クワ、クワ、カ、アホーッ」


背広の胸に、金色の『菊のバッチ』を付けた男(先生)が階段を下りて来る。


 ・・・衛視が敬礼する。


男は「公用車」に乗り、後部座席にどっぷりと座り腕時計を見る。


 男 「・・・間に合うの?」

 秘書「ハイ!」

 男 「例の件だけどね」


男は少し考えて、


 男 「恋三コイゾウでどうだろう」

 秘書「ハイ! じゃ、明日から」

 男 「うん。丁寧に教えてやってね」

 秘書「ハイ」


東京駅丸の内口に到着。

その男は車を降りて足早に改札に消えて行く。


  -秘書日報から-

 某月某日 結城憲護

本日、秘書(運転手)不足により、15時より代議士付き運転手を命ぜられ、第一議員会館『車寄せ』に車を回す。

本人(大木戸博康 財務副大臣)が地元(群馬)帰省の為、東京駅に向かう。

車中、本人の指示を受ける。

東京駅(丸の内口)に車を停め、本人を見送る。

会館事務所に戻り、松永(松永笑美子・女性事務員・秘書 )に『百地恋三モモチ・コイゾウ』の採用決定を知らせる。

松永を通じて明朝8時に事務所に来るよう伝える。

恋三の名刺を2ケース用意。 以上

                        つづく

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