ぼくが背中を蹴ったのは
大体が出鱈目な事の積み重ねみたいな、
そういうもので出来上がっている
僕の今日という一日。
木琴の『ド』を叩いたら
『ミ』みたいな音が出てて、
だけどそんな事は大して気にも止めずに
そのまま曲を奏でてる。
そういう曲を奏でてるのが僕で、
そういう出鱈目なメロディーが
僕の今日だとか昨日みたいなものだったんだ。
僕は今、少年の背中を蹴っている。
なぜ蹴っているかと言うと話は長い。
まぁ目下のところ、僕が蹴っているのは
背中だから力加減なんてしていないし、
僕の足も大して痛くない。
だから思いっきり振りかぶって蹴っていて、
ちょっと離れた所から見ている人には
サッカーのPKでもやってるんじゃない?
くらいに見えていると思う。
蹴られてる金髪頭の少年の背中は
体育の授業なんかで使うねずみ色の
マットみたいに「ドスッドスッ」って
いい音を響かせてて、少年の方も
まるで痛いですってアピールするみたいに
「うっ!うっ!」なんて呻いてみせたりしてた。
そんな蹴られてうずくまる少年の友人は
直立不動のままで、蹴る僕と蹴られる友人を
ただ呆然と見ているだけで、僕は
そのアホ面を見ていると、今蹴っている
少年なんかよりずっと、この友人を
蹴り倒してやりたいって思ったんだ。
だけど僕は気違いでも無いし、
鬼畜でもないからそんな事はしないし、
そろそろ蹴る事だってやめてあげないと
いけないなって思ってたんだ。
それに蹴る事にも少々疲れてきてたしね。
僕は一旦蹴る足を止めて、
そばで立ち尽くしている友人に
意見でも求めるように静かに見つめてやった。
友人が「すいませんでした!
もう勘弁してください」と言ってくれたので、
僕はうずくまっている少年の顔面を
フルスイングで蹴った。
腰が引けて、引き吊った顔をする友人を
僕はもう一度静かに、
そしてまっすぐに見つめた。
友人はもう目も合わせないし、
言葉も発しなくなっていた。
それでいいのだ、僕はそれを確認してから
もう一度少年の顔面を蹴った。
文句でも? という事なのだろう、
我ながら馬鹿げたポーズだと思った。
蹴られた少年は今度のは本当に痛かったらしく
呻くこともしないし、
手で顔を覆う事もしなくなっていた。
やれやれ、一々面倒くさいと
思われるかもしれないけど
規律だとかモラルというものは、
こういう事なんだと教えられて
僕は育ったんだ。




