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1章 プロローグ
1章 プロローグ
日差しが強い。
屋上に影はほとんどない。
制服のシャツの背中は汗で濡れていた。
俺は、貯水タンクがわずかに落とす影に座る。
影に入りきれないあいつの顔は、右半分が日差しを浴び、左半分が影に沈んでいた。
目は合わないが、口角だけが吊り上がっている。
理由はわからない。
あいつは、こんな場所に呼び出しておいて、用件も言わずにピザの箱を開ける。
「……食べていいよ」
中身は、具が多すぎた。
肉も、野菜も、全部。
どこから食べればいいのか、少し迷う。
あいつは含み笑いを漏らしたまま言う。
「アメリカではさ、ビットコインでピザが買えるんだ」
何の話か、見当もつかない。
「ぼくも、たくさん持ってるんだ」
ずっと楽しそうに笑っている。
「また、奢ってあげる」
あいつが、こっちを見る。
待っている目だった。
——あいつは、俺を神みたいに見ていた。
それでいいと思った。
あいつが、そう思うなら。
今は、まだ。




