表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/41

第九話 どうしてこんな事に?

 

 あいつらを探すのを中止して、最寄の迷宮へと移動して、番人みたいなのをスキルでかわし、中に潜って迷宮管理スキルで通信する。


 《おーい、ここの管理は誰だ》

 《いきなりなんだ。お前も同類か》

 《マウンテンマウスの……》

 《失礼しましたぁぁぁぁぁ》


 ああ、びっくりした。

 いきなり大声出すなよな。

 つまり、あるんだな、オレの迷宮が。


 何だよもう。

 元の世界かよ。

 すっかり騙されたな。


 幸い、友好迷宮連合の一員だったのでそのまま中継を依頼して、友好迷宮通信中継方式で遠距離通話をして配下に状況を説明し、当分戻れそうにないから自由に過ごすように伝えておいた。

 やはりコンタは同行したがったが、今は無理だから我慢してくれと言っておいた。

 思わぬ事で連絡が出来て良かったが、何でこんな事になっているんだか。


 確かにつらつらと考えてみれば、VRゲームってかなり科学が発展しないと無理だよな。

 だからもしかしたらそういうのがやれなくて、こういうのでお茶を濁しているだけだとしたら、世界を管理している存在が居るって事になる。

 そいつが導入したのが異世界利用のVR風ゲームなんだろう。


 空想に妄想が足されるような話だけど、異世界自体は存在しているんだし、迷宮を管理するように世界にも管理が居るってのが妥当な考えだ。

 だって魔王認定は誰がやっているのかって話になる。

 それこそが世界の管理じゃないかと思う訳だ。

 そりゃ人族に言わせると神って事になるだろうけど、それは単なる名称だけの事だ。


 世界にとって悪しき存在を魔王認定し、討伐の名の下に排除させようという試み。

 これってそんなに荒唐無稽な話じゃないよな。


 それにしてもこのゲームは良いんだけど、これからどうしよう。


 確かにステータスはかなり反映されているが、限界値が設定されているようで、オールステータスMAXになっているんだよ。

 しかもその限界値がそこまで高くなくてさ、とても知人の脳筋管理とは戦えそうにないんだ。

 今出会えばあっさりと殺されるだろう。


 確かにレベルを上げていけば改善されるかも知れんが、そうじゃなかったとしたら先の無いゲームって事になる。

 そりゃ今の姿なら人類の敵じゃないだろうから、人族の中にでも平気で入っていけるが、別にオレはあの境遇に不満がある訳じゃない。

 そりゃ当初は少し思ったが、この年月の中でつくづく人族の愚かさに愛想が尽きている。

 それに比べるとまだしも、モンスターのほうがオレにとっては馴染み易い存在だ。

 確かに立ち位置がそうだからと言えばそうかも知れないけど、それを差し引いても変わらない。


 まあいい、とりあえず一度戻ろうか……《飛術……空間転移》


 ◇


「お前、今、急に現れたな。もしかして、転移スキルとかあるのか? 」


 どうしてそんなに他人が気になるかな。


「何の事ですか」

「いや、今、急に現れたろうが」

「なんだなんだ、どうしたんだ」

「こいつよ、転移スキル持ちだぜ」

「おいおい、そんなの実装されたのか」

「言いがかりは困りますね。よそ見している間に移動してきた私に対してのそんな言いがかり。何かの意図を感じますよ」

「ははーん、お前、そういう手を使うのかよ。けどな、こいつは男だろ。それとも、そんな趣味なのか? 」

「そ、ちげぇよ。そんなんじゃねぇよ」

「ええええ、そんな趣味なの? パーティから出てってよ、気持ち悪い」

「だから違うと言っているだろ」

「そういえばさっき、お尻を触られたんだ」

「うわぁぁぁ、止めてよね」

「あれは単なる激励みたいなもんだろうが」


 話題を転換させて対話の対象をずらし、気配を消して速やかに退去する。


 ふふん、人族などこんなもんよ。

 さてと、あいつらは何処かな。


 あいつらに連絡しようとしたが、よく考えたらフレンドじゃないと通信できないぞ。

 同類なら可能な通信術も、人族相手じゃ意味が無い。


 ◇


 あちこち探してみるも中々見つからず、仕方が無いからあちこちの店を冷やかしながら、2時間ぐらいしてようやく見つけたものの、出会っても素通りしようとする奴。


「おーい、2-Cのカリスマ寝癖君」

「うおおお、誰だぁぁぁぁ」


 クククッ、あいつ、朝にはいつも変な髪型でよ、付いた仇名がカリスマ寝癖ってよ。


「お前……誰だよ」

「はぁぁ、やっぱりかよ」

「その白衣姿、もしかして」

「ダチの顔を忘れたか」

「雰囲気が全然違うじゃねぇかよ」

「どうだ、イケメンに見えるか」

「女かと思った」

「ひでぇぇぇ」

「くっくっくっ」

「もう狩りには行ったのか? 」

「おうよ、レベル4だぜ」

「オレはまだ1のままだ」

「ならよ、一緒に狩りに行くか。ちょうど他の奴らも来ているんだ」

「攻撃に期待するなよ」

「判っているって」


 待ち合わせ場所を聞き、雑貨屋で買い物をしてから行くと伝え、急いで買い物をする。


「お姉さん、この釘おくれ」

「あらあらお上手ね。それで何本欲しいの? 」

「手持ちが1000ベイダなんだけど」

「1本2ベイダだけど、何本欲しいの? 」

「それじゃ、500本欲しいです」

「900ベイダに負けておくわ」

「ありがとう、お姉さん」

「くすくす。また来なさいよ」

「うん、また来るね。本当にありがとう」


 こんなAIとか、今の科学で作れるかよ。

 さあて、気を取り直して、狩りに行きますかね。


 途中、道端でひとまず武器の作成をしようと、件の毒薬の瓶に釘を浸して別容器に入れていく。

 気分は暗殺者、なんてな。

 500本の処置をして、容器のひとつを腰に取り付け、合流地点へと走っていく。

 こぼれないとは思うが、落とすとヤバい代物だよな。


 ◇


 ひーふーみーよー……


「やっほー」

「えーーー誰よ」

「え、男? 女? 」

「これは男でしょ」

「誰も特定してくれない」

「くっくっくっ、オレが悪いんじゃないだろ」

「カリスマ寝癖が煩いぞ」

「あんだよ、サンチノ」

「うえええ、山口君なの? 」

「リアルネーム禁止」

「あわわわわっ」


 サンチノも止めてくれよな。

 苗字が山口だからと、山口さんちの○○○君でサンチノって付けやがって。


「ダンマスと呼んでくれ」

「変な名前だな」

「そうかな、気に入っているんだけど」

「どうせならサンチノにしろよな」

「だったらカリスマ寝癖にしろよ」

「まあまあ、そんな事より狩りに行きましょうよ」

「「そんな事とは何だ」」

「あははっ」


「そう言えばダンマス君はどんなジョブなの? 」

「効いて驚け。こいつは死に職だ」

「え、まさか。でもその白衣は、やっぱりそうなの? どうしてよ」

「目指せ錬金術師」

「茨の道だとは思うがな」


 ううむ、既に成っているとは到底言えんぞ。


 それはともかく、皆で門のほうまで歩いていく。

 そのうちパーティ申請が届き、イエスで加入になる。


「あれ、まだ1なの? 」

「こいつ、今から初だとよ」

「初で死に職って、寄生だよね」

「いいじゃねぇかよ。βじゃ誰も調べなかったいわく付きのジョブだろ。だからオレも先が知りたかったんだしよ、色々協力してやる事にしてんだ」


 ますます言えんぞ。


 それにしても、初の上級特典って派手なんだけど、こんなのもらっても良いのかな。


『マイ研究室』


 別空間に設けられた貴方だけの研究室。

 さあこれで何時でも何処でも研究が出来ます。

 セーフティエリアにもなっていますので、ログイン・アウトも可能です。


 野宿対策確保だぜ。


 ◇


「お前、さっきの奴。くそぅ、オレはあれで……」


 ヒュッ……トスッ……


「今、何か……それよりさっきはよくも逃げやがったな」

「おいおい、オレ達のパーティメンバーに何いちゃもん付けてんだ、コラ」

「いや、そうじゃなくてよ。こいつが、うっ、何だ、これ」


 お、効果が出たかな。

 そいつは急に苦しみ出し、光の粒子になって消えていく。


「うお、すげぇ早業」

「いや、ちげぇよ、オレじゃねぇよ」

「まさか、近くにPKが」

「そんな赤い奴とか居ないぞ」


 うげ、オレのネームは……あれ、赤くない。


 もしやあの毒薬、システム外アイテムになっちまってんじゃねぇか。

 だってゲームでの調べでは※マークで読めなかったし。

 うわぁ、ますます売れねぇぇ。


 弱ったな。


 この分だと回復薬も同様になりそうだし、料理も下手をすると同様の可能性がある。

 そうなると金が稼げない訳で、禁断の元の倉庫に頼るしかなくなるぞ。

 もっとも、あれに頼れば金策の必要なんか無いんだけどね。


 歩きながら小石を拾っていく。


 さっきの事があってから、周囲を警戒しながら移動していく面々。

 なので自然と移動速度が落ち、小石を拾いながらでも付いていけている。

 拾った小石はそのままアイテムボックスに入るから、ドンドン拾っていく。


 確かに釘は大量に買ったし毒薬も塗ったけど、あれは対人用だ。

 対PKの武器なので、そんなのをモンスターに使いたくない。

 大体、殺さない為に小石を拾っているんだ。

 恐らくオレがまともには戦えないと思っているだろうから、タゲ取りに専念するつもりだ。

 小石で注意を引くぐらいでも文句は恐らく言わないだろう。


 これぐらいで勘弁してくれよ。


 配下に同様の奴らが居るオレだしさ、殺したくないんだよ。


 ヒョイ……ギャウン。


「お、投擲か」

「攻撃スキル、それしかない」

「たはは、さすがは学者だな。よし、もっとけん制頼むぜ」

「あいよ」


 少し強かったな。

 もう少し弱めに。


 ヒョイ……キャウン。


 うん、これぐらい軽く投げると、痛いぐらいで終わるか。

 結局は殺されるにしても、直接は殺したくないよ。


 あーあ、参ったなぁ。

  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ