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桜の国のコトノハ使い  作者: 冬華白輝
本編・各国訪問編
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気付いた真実

お久しぶりです・・・

 “コトノハ”って最強だと思う。だって、力を込めて口にしたモノは実現してしまうわけだから。


 だから、雨を降らせることはとっても簡単だ。


 でも、ふと、私は気付いてしまったのだ。それは一時しのぎにしかすぎないんだろうなぁって。


 この世界は崩壊に向かって進んでいて・・・それを止めない限りはいくら私がその場で雨を降らせても、どこかでまた歪みが出るんだろう。


「夢未様?」


 じっと地面を見つめて動かない私に、雫くんが声をかけてくる。


 ああ、心配させてしまったなぁ・・・。


 そうだ。考えてる場合じゃない。今は一時しのぎでもやるしかない。


「大丈夫・・・“雨は降ります”よ~」


・・・ぽつ


・・・ぽつぽつ


「うわぁ・・・すごい・・・ホントに降ってきた・・・」


 雫くんが目を丸くして、呟くように言う。


「これが・・・“コトノハ”ですか・・・」


 槙さんも、呆然とその光景を見つめている。


 その間にも強く降りだした雨に、私達は慌てて屋根の下に戻った。


「・・・これで、土地に潤いが戻ります!ありがとうございます、巫女姫様」


「あー、でも、これは応急処置なので・・・“雨乞い用の水晶を作りました”から、どうぞ」


 ポン、と手品のように掌の上に現れた小ぶりな水晶に、槙さんはギョッとする。


「あ、雨乞い、用・・・ですか」


「そうですよ~。この雨も長く続かないでしょうから、晴れてしまったら、またこの水晶で雨乞いしてください。そうしたら、また雨が降りますから!」


 私の力もカナン様から与えられた力だから、この世界の歪みには叶わない可能性があるのだ。


 どうしてここまで歪みが大きくなってしまったのか、それが良くわからない。でも、もしかしたらって考えていることがある。


 私は、カナン様の眷族となった。その時に与えられた記憶の中に世界創世の手順がある。その手順の一つが“世界の核”を創ること、なのだ。


 その“世界の核”に、何かがあったのではないか。その為、世界を構築しているカナン様の力を吸いとらないといけないような事態になっているのではないか。


 それが、この世界が崩壊に向かっている事件の原因ではないか。


 もし、この予想が当たっているとしたら、その根本原因を取り除かない限り、いくら私がここで“コトノハ”を使いまくっても、この世界は崩壊に向かっていくし、この世界の人達は“あきらめること”に慣れてしまうだろう。


 食料事情の改善なんて、実は生ぬるい。


 桜の国の人達の幸福感も、海の国の人達の楽観主義も、楓の国の人達の神経質も、雪の国の人達のネガティブさも・・・“あきらめ”からきていたとしたら。


 変わろうとしても、変わらない。


 いや、違う。


 全てカナン様の思し召し、なんて思ってたら、目も当てられない。


 もちろん、表面上の改革も必要だ。人々の気持ちを少しでも向上させないと“世界の核”に影響があるに違いないから。


 カナン様は私に話を持ってきた時点では気付いていなかった。それは間違いない。


 でも、連絡が取れなくなってから、きっと気付いたはずだ。この世界の歪みは、ただ国同士の均衡が崩れたのが原因ではないと。


「巫女姫様・・・なにからなにまで、本当に、ありがとうございます・・・!」


 感激した様子の槙さん。まぁ、フツーはこんなに簡単に解決できるものじゃないから。でも・・・。


「気にしなくて良いですよ~、これが私のお役目ですから!」


 そう。私の役目だ。


 今は、カナン様に頼れないんだから、私が頑張らねばならない。そして、連絡が取れるようになったら、褒めてもらうんだからぁ~!

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