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二人は出会う




大きな破壊音を背に、漆黒の髪をした小さな少年と赤みがかった短めの髪に華奢な体格の女と、青みがかった少し長めの髪にガッシリとした体格の男が、草木の中を一定の距離を保って走っていた。



三人は言葉も無く走り、しばらくして足を止めた。



「チッ、何でこうなるんだ」



肩を大きく揺らしながら少年は悪態を()いた。



「フェイ様のせいです」



(そば)から聞こえた低い声に、少年は顔を(しか)めた。



「……まぁ、確かにそうだな」



フェイと呼ばれた少年は心当たりがあるのか、素直に非を認めた。



「分かってるならいいです」


「ツィア、ちょっと言いすぎだ」


「ツェルだってそう思ってるくせに、あたしばっかり非難しないでよ」



赤みがかった髪を揺らしながらソッポを向けた女ーーツィアに、

深いため息を吐いて青みがかった髪を掻き上げる男ーーツェル。



「兄弟喧嘩はそこまでにして、そろそろこの状況をどうするか考えた方がよくないか?」



今の状況について、フェイは半ば呆れ気味に二人の従者に言った。



「そうですね」


「これからどうしましょう?」



二人はすぐさま表情を一変させた。



「俺は魔力が底をついた」


「あたしはもう少し大丈夫かと」


「おれもツェアと同じです」


「ならーー」



三人が残りの魔力を話し合っていた時だった。





「キャー!!」



何処からか女の叫び声が聞こえてきた。



「なんだ?!」



フェイは何事かと、今走って来た道を急いで戻った。



「フェイ様!」


「待って下さい、フェイ様!」



二人も慌ててフェイの後を追う。





鬱蒼とした林を抜けた先には、丈の長い草木が生い茂る草地が広がっていた。



(あ……)



その草地の中心に、黒髪の少女が二人組の男達に囲まれるようにして倒れていた。



フェイは近くの木陰に身を潜め、相手の様子を伺った。



「フェイ様、先に行かないで下さい」


「危うく見失うところでしたよ」



後ろからようやく追い付いた二人を、フェイは口に人差し指を当て静かにさせた。



フェイが再び草地の方に目を向けると、男達はニヤニヤと怪しい目つきで少女を見下ろし何やら話していた。



「ここに罠を張っておいて正解だったな」


「あぁ、連中の仲間がこうも簡単に捕まるとはな」


「でもこの女、あいつらと一緒にいた女とちょっと違わないか? あの女はもっと髪が赤かったような気がするんだが」


「気のせいだろ。 ほら、さっさとこの女を囮にして残りの奴らも(おび)き出すぞ」


「あぁ」



男達は少女を担いで林の中へと消えて行った。





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