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【連載版】死亡エンドしかない悪役令息に転生してしまったみたいだが、全力で死亡フラグを回避する!  作者: 柚希乃愁
第四章

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希う

 レオナルドは、路地裏から空に上がると、眠っているミレーネが万が一にも落ちてしまわないように、ゆっくりとしたスピードで慎重に自分の部屋へと戻ってきた。


 そして、お姫様抱っこのまま、自分が普段使っているベッドに向かい、ミレーネをそっと寝かせる。

 そこでほっと息を吐き、体を起こそうとしたレオナルドだったが、


「レオ、ナルド、様……」


「ちょ―――!?んがっ!?」


 突然、寝惚けているミレーネが首に腕を回してきて、そのまま自身の胸に引き寄せてしまった。


「ぁん……」


 焦ったレオナルドがもがもがしていると、ミレーネの口から嬌声(きょうせい)が漏れる。

 一瞬、固まるレオナルド。


(ヤバいヤバいヤバいヤバい!?これはマジでヤバい!!!)


 顔がとんでもない柔らかさに包まれ、甘い香りが鼻腔をくすぐり、理性をすごい勢いで削っていく。

 なんとか脱出を試みるが、中々うまくいかない。


(くっ……、なんでこんな完璧にきまってんの!?)


 常に触覚と嗅覚が刺激されているだけでなく、抜け出そうと動く度にミレーネの口からは嬌声が漏れ、聴覚までもを何度も刺激され、それがまたレオナルドの理性を奪っていく。

 そんな悪循環の中、悪戦苦闘の末、やっとの思いでミレーネの拘束から逃れたレオナルドは、荒い息を吐いて何とか心を鎮めようと努力した。


(ヤバかった……。今のは本当にヤバかった……)


 体温が異常に高くなっているのが自分でもわかる。

 前世の記憶がないただのレオナルドだったら、あのまま襲っていた可能性が非常に高いだろう。

 というか、今のレオナルドにだって、年相応の性欲はあるのだ。ミレーネのような魅力的な女性の胸に抱かれて何も感じない訳がない。それでもそういった欲求を必死に抑えつける。


「………………ふぅ」


 その後、少しだけ冷静さを取り戻したレオナルドは、一つ息を吐き、無駄に入っていた体の力を抜いていった。


 ミレーネを見れば、体を隠すように被せていたはずのオシャレな羽織ものが先ほどの戦い(?)によって、お腹の辺りで丸まってしまっていたため、ハンガーにかけた方がいいと思い取り上げる。

 決して胸に触れてしまわないように細心の注意を払ったのは言うまでもない。


 そのとき、ミレーネの顔に、水色の綺麗な髪がかかってしまっていることにも気づいたレオナルドは、指先で優しく横に流した。


 今になっても、ミレーネは全く起きる気配がない。

 ドレス姿で、薄く化粧もしているミレーネ。

 着替えさせた方がいいのだろうが、あいにく、この部屋には念のための予備として置いているメイド服しかミレーネの服はない。大きすぎるだろうが、自分の服を着せるか、とも考えたが、そもそもドレスを脱がす訳にはいかないだろと自分に突っ込んだ。緊急事態でもないのに、寝ている女性を下着姿になんてしていい訳がない。それに、そんなことをすれば、理性が確実に飛んでしまう。

 化粧はどうすればいいかもわからない。

 ということで、レオナルドにはどうしようもなかった。


「まったく……。俺じゃなかったら今頃襲われてるぞ?」


 レオナルドの口元に思わず苦笑が浮かぶ。


 寝ているミレーネは、胸元が大胆に開いたドレスのため、彼女の超が付くほど大きな胸は、その柔らかそうな白い肌を結構な面積露出させている。いや、柔らかそうではなく、実際にめちゃくちゃ柔らかかった。

 加えて、少しだけ見える太ももも滑らかで大変扇情的だ。


 そんなミレーネが無防備に眠っているのだから、レオナルドの言葉ももっともだろう。

 ただ、言葉は(とが)めるようなものなのだが、その(ささや)くような声は、ミレーネのことを大切に想う気持ちに溢れ、とても柔らかかった。



 ミレーネに毛布を掛けたレオナルドは、ベッドから離れると、ミレーネの羽織ものをハンガーに掛け、自分は外套だけを脱いで、そのままソファに寝転んだ。

 もちろん、セレナリーゼから貰った銀時計とミレーネから貰った手巾は、机にちゃんと置いた上で、だ。

 シャワーを浴びたり、皺にならないよう服を着替えたりするべきだが、なんだかもう動く気がしない。

 それに、今日は早く眠ってしまうに限る。

 気を抜くとすぐにミレーネのことが気になってしまうからだ。



(……セレナとミレーネ。二人から、本来ならアレクが受け取るはずのものを貰っちゃったんだよなぁ……)


 だが、先ほど興奮してしまったせいで、中々寝つけないレオナルドは、ミレーネの体や香り、甘い声が勝手に思い出されてしまうのを防ぐため、別のことを考えようとした。


(ゲーム的には、二人のルートには入らない可能性が高いとわかっただけ、ってことでいいのか……?あとはハーレムルートもなし、かな?)


 レオナルドとしては、ただの独り言、ならぬ、独り思考だったのだが、これにステラが反応した。


『私はそういうことではないと思います』


(ステラ?どういう意味だ?)


『ゲームでも本当は、セレナリーゼもミレーネもレオの誕生日にそれらを渡したかったのではないか、ということです。けれど、ゲームのレオはこのときすでに相当な駄目人間だったみたいですからね。渡すに渡せなかったのでは?』


(え?そこ?ゲームのレオナルドが駄目な奴だってことは同意だけどさ。それはさすがに変だろ?そんなんだったら、アレクに渡す意味がないじゃないか)


『……いえ、やはりこれ以上の詳細は私から言うことではないので控えます。証明のしようがありませんし、あくまで私の仮説ですから』


(なんだよ、それ?……はっきりしないなぁ)


『これに関しては、私がレオの考えに変な影響を与えるべきではないと判断しただけです。レオの言うとおり、()()()()()()()()()()()()()()()()()でしょうから、当然ハーレムルートもないでしょうね。なので、今起きていることは、ゲームと切り離して、今のレオがしっかりと考えるべきですね。この世界が現実だとレオも言っていたでしょう?』


(……それは、まあそのとおりだな。これは現実なんだから、自分で考えて行動していかないとな……)


『ええ』


 ステラと会話できたことで、一時的にベッドで眠るミレーネから思考を逸らすことはできたレオナルドだが、やはりそう簡単にはいかず、その後も目を瞑りながら悶々とした時間を過ごし、実際に眠れたのは数時間後の深夜だった。


 ただ、今日は色々あって精神的疲労が相当溜まっていたのか、ソファだというのに、一度眠りに就いたレオナルドはその後爆睡した。




 夜明け前。

 仕事によっては、下働きの者などがそろそろ活動を始める時間。

 静かな部屋の中で、レオナルドの規則的な寝息が(かす)かに聴こえている。

 そのとき、熟睡していたはずのミレーネが静かにベッドから起き上がった。

 (あかつき)の空のおかげで意外と視界が利く中、寝起きとは思えない動作で、掛けられていた毛布を持ち、気配を消してレオナルドの元へと音もなく歩いていく。


 そして、ソファで寝ているレオナルドにそっと毛布を掛けながら確認した。

 レオナルドはよく眠っているようだ。これなら起きてしまうこともないだろう。


「……私の胸が大好きなレオナルド様なら、我慢できなくなると期待していたのですけどね。今日は下着も頑張ったんですよ?それなのに、ここまで紳士的な振る舞いをされるとは正直思っていませんでした。失礼な物言いで申し訳ございません。ですが、嬉しくもありました」


 ミレーネは囁くように呟くと、残念そうな、仕方ないと思っているような、それでいて幸せそうな、何とも言えない笑みを浮かべた。


「それと、レオナルド様の前以外で、()()でも眠ったりなんてしませんから、どうかご安心を」


 レオナルドを見つめながら、クスリと微笑むミレーネ。

 暫しの沈黙の後、ミレーネは表情をあらためる。


「……ステラ様。聞こえていらっしゃいますか?……これから私がすることをどうかレオナルド様には黙っていていただけますでしょうか。何卒よろしくお願い致します」


 寝ているレオナルド、その中にいるステラに向かってミレーネは頭を下げた。

 一方的な言葉だ。

 ステラに自分の声が届いているのかミレーネにはわからない。

 ステラが自分の願いを聞いてくれるかも、ステラの声が聴こえないミレーネにはわからない。

 それでも、ミレーネはステラならきっと聞き入れてくれる、そんな気がした。

 それはミレーネの思い込みとも言えるが、それで十分だった。



「レオナルド様……」


 ミレーネは熱く潤んだ瞳でレオナルドの寝顔を見つめる。

 口から漏れる吐息は熱く、鼓動はレオナルドに聞こえてしまうのではないかと思うほど(うるさ)い。

 もしも、今のミレーネを目の当たりにしたら、レオナルドは耐えられなかったかもしれない。

 それほどの色香を漂わせていた。


 そしてミレーネは、ゆっくりと自身の顔を近づけていき―――、そっとレオナルドの頬に口づけした。

 ほんの一瞬のこと。それでもミレーネの胸は熱い何かに満たされ、今にも爆発してしまいそうだった。


「……勝手なことをして申し訳ございません。レオナルド様、あらためて、お誕生日おめでとうございます」


 全身が熱い。愛おしさが溢れてくる。

 自分の顔は今、真っ赤になっているのだろうと見なくてもわかった。


「……今度はぜひ、レオナルド様からしていただけたら嬉しいです。私の初めての……ここに―――」


 それが高望みだとわかっていても、ミレーネは瞳を閉じて、自身の唇に触れながら、(こいねが)うのだった。


 その後、予備のメイド服に着替えたミレーネは、自分がいなくて驚くといけないと、レオナルド宛にメモを残し、ドレスを手に持って、部屋を後にした。

お読みくださりありがとうございます。

少々悩みましたが、ミレーネのターンは今話のような形となりました。

これにて、レオナルドの誕生日回は終了となります。

面白い、続きが気になるなど思ってくださった方、画面下の☆☆☆☆☆から応援していただけると嬉しいです!

【ブックマーク】や《感想》、《イチオシレビュー》も本当に嬉しいです!

モチベーションがとんでもなく上がります!

何卒よろしくお願い致しますm(__)m

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