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無敵の力で異世界無双~ただし全裸~  作者: みなみ
四章~幼馴染とアーデンハイツの王女様編~
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逃亡~一瞬の隙をつかれて~

 声がした方向に振り替えるとエナとレリスが立っていた。

 その二人から少し離れた位置にスチカもいるようだ。


「みんな!来てくれたんだな!」

「玄武から朱雀へ救援要請が来ましたので……」

「間に合ったようですね……!」


 こちらの戦況を理解したエナとレリスが、瞬時に戦闘態勢に移行する。

 ふとフリルに顔を向けると、こちらに向けてサムズアップしていた。

 ナイス判断だぞフリル!


「なんやのこれ!?どうなってるん!?」

「スチカちゃん、私たちが戦っている隙にフリルちゃんとティアちゃんのところまで行ってください」

「え?……わかった!」


 エナの言葉にスチカが頷いた。


「「ちっ!雑魚が何匹も!」」


 その様子を見ていたゴルマが面白くなさそうに毒づいた。

 とにかくこれで戦況を変えることができる!


「エナはテレアのフォローに!レリスは俺と一緒にこの筋肉バカを止めるぞ!」

「「誰が筋肉バカだ!!」」


 おめーのことだよバカ!!つーかうるせーよ!!


「わかりました!!」

「了解いたしましたわ!」


 俺の指示を受けたエナがスチカを伴い、コランズと戦っているテレアの元に駆け寄っていき、レリスは腰の剣を引き抜き俺の隣に並ぶ。

 ここからは完全に仕切り直しだ。


「シューイチ様、相手について知っている情報があれば……」

「筋肉バカで真正面からしかぶつかってこないけど野生の本能で的確な反撃をしてくる筋肉バカだ」

「さりげに筋肉バカを二回言いましたわね」


 大事なことだからね。


「今は魔法で分身を作り出してる状態だ」

「大体把握しましたわ」

「「作戦会議は終わったかよ?それじゃあ早速始めようぜ!」」


 だから二人同時に喋るなよ、うるせーんだよ!


「ダンジョンの時と同じだ、俺がフォローするから」

「わたくしが前に出ますわ!」


 レリスが自身に風を纏わせていく様子を見て、ゴルマがにやりと笑う。


「「中々に歯ごたえのありそうな奴じゃねーか……俺は相手が女だからって容赦はしないぜ?」」

「ええ、手加減はいりませんから、全力で来てくださいな」


 その言葉を合図に、中断されていた戦闘が再び開始された。

 相変わらずバカの一つ覚えみたいに、二人のゴルマがこちらに向けて突進してくるものの、対するレリスは微動だにせずゴルマを待ち構えるように剣を構えている。


「「オラァ!!」」


 二人のゴルマがレリスに拳を突き出したが、すでにそこにレリスはおらずゴルマの拳は空を切った。


「「なっ!?消えたっ!!??」」

「まずはその邪魔な分身体を消させていただきますわね」


 どこからかレリスの声が聞こえたかと思うと、風の弾丸が飛んできてゴルマの胸を貫いた。

 胸を貫かれたほうのゴルマの輪郭がぶれ、そのままスウッと消えてしまった。


「俺の分身が!」

「よそ見している暇はありませんわよ!」


 分身を消されて驚愕していたゴルマの横にレリスが現れ、剣を横薙ぎにしてゴルマの肩を斬りつけた。


「この野郎!!」


 レリスに向かって拳を振るうゴルマだったが、風の魔法でスピードを強化されているレリスにはかすりもせず、あっさりとかわされてそのままついでにもう一撃攻撃をお見舞いされる。

 確実に当たっているレリスの攻撃だが、どうやら思ったほどのダメージにはなっていないようだ。


「中々頑丈な身体をしておりますわね……思った以上にダメージが入りませんわ」

「スピードは速いようだけど、そんなぬるい攻撃じゃ俺は何時まで経っても倒せないぜ?」


 レリスの攻撃力も決して低くないはずなんだけどな、どんだけ頑丈な体してんだよ。

 ゴルマの拳をかわしたレリスが一撃入れた後、バックステップをして距離を取る。


「厄介ですわね……どうしたものでしょうか?」


 なんて言いつつもレリスから焦っている様子は微塵も伝わってこないし、実際に厄介だなんて微塵も思ってないだろうな。俺だって思ってないし。


「もう一つの俺の力を見せてやるよ……パーフェクトバインド!!」


 レリスに手を向けてゴルマが何やら魔法を唱える。

 パーフェクトバインド……名前からして……。


「なっ!?うっうごけませんわ!!」


 やっぱりか!!

 ゴルマの魔法により身体の自由を奪われたレリスの表情に焦りの色が見える。


「そこを動くなよ……オラァァ!!!」


 ゴルマの奴が拳を引いて何やら力を溜めた後、レリスに向けて勢いよく拳を突き出すとそこから拳圧が発生して棒立ちになっていたレリスを吹き飛ばし、壁に叩きつけた。


「うぐっ!!」

「レリス!!」


 そのまま倒れそうになるものの、何とか持ち直し体勢を整えたレリスが剣を構えてゴルマを睨みつける。

 動けるところを見ると拘束魔法はすでに解けているようだ。


「大丈夫かレリス!?」

「ええ……一応風を使って勢いを殺しましたので」

「ちっ……これなら確実に当てられるがやっぱり大したダメージにならねぇな」


 ゴルマがそう吐き捨てる。

 どうやら完全に動きを止められる魔法のようだが、効果時間は短いみたいだな。

 現にレリスに防御することを許してしまっているしな。


「こういうやり方は俺の趣味じゃねえが、お前みたいな早い奴相手には攻撃を当てられねえからな。悪いけどお前を倒すまで続けさせてもらうぜ!」

「同じ手が二度も通じると思いまして?」


 そう言った瞬間レリスの姿が消えて、ゴルマの横に現れ剣で斬りつけた。


「効かねえって言ってんだろ!パーフェクトバインド!!」


 レリスの攻撃を食らいながら、ゴルマが再び拘束魔法を使いレリスの動きを止めた。

 まさに肉を切らせて骨を断つって奴だな……って感心してる場合じゃないな!


「この距離なら拘束が解ける前に俺の拳が届くぜ!!」

「熱くなるのは勝手だけど、俺のこと忘れんなよ?プロテクション!!」


 動けないレリスに向けて拳を突き出したゴルマだったが、俺の作り出した防御壁によりその攻撃がレリスに届くことはなかった。


「こざかしい真似してんじゃねーぞ!!」


 振りかぶったゴルマがもう一度拳を突き立てると、防御壁は音を立てて粉々に砕け散った。

 だがそうしているうちにレリスに掛けた拘束は解けてしまったらしく、いつの間にか後ろに回り込んだレリスが縦に振り下ろした剣を背中受けてよろめいた。


「うざってえ野郎だな!!効かねえって言ってんだからいい加減諦めろ!!」


 ゴルマがそのまま振り返る勢いを利用した裏拳を繰り出すも、当然そこにレリスはおらずその拳は空を切る。

 攻撃を空振りさせて隙だらけになっているゴルマの死角にレリスが入り込んでいて、ゴルマを斬りつけて横腹に傷をつけたと思ったら、再び姿を消す。

 そのままスピードで翻弄するように現れては斬りつけ消えてを数回繰り返していくも、やはりゴルマに決定的なダメージを与えれない。

 ゴルマもレリスの姿を捕らえられないせいで拘束魔法を当てられず、闇雲に拳を振り回すが当然のごとくレリスには当たらない。


 しかしレリスは通じないとわかっているのになぜ執拗に攻撃を続けているんだ?

 今は問題なく攻撃をかわしているが、はっきり言ってあの動きはオーバーペースだ。このままじゃレリスの魔力とスタミナが尽きる。

 そうなったらゴルマの拘束魔法からの攻撃コンボが決まる危険性も増すことになるぞ……何か考えでもあるのか?


「いくら斬りつけても俺には効かねえぞ!何度も言わせんな!!」

「本当にそうでしょうか?」


 ゴルマの叫びに冷静に返したレリスが、もう何度目かの剣戟をゴルマに当てた。


「がああぁぁ!!!?」


 今まで全くダメージになっていなかったはずなのに、そのレリスの攻撃によって斬りつけられたゴルマの身体から鮮血が噴き出した。

 なんだ!?何が起きたんだ!?


「わたくしのぬるい攻撃は効かないのではなくて?」

「ぐっ……なんだ?何をしやがった!?」

「答える必要はありませんので、ご自分でお考え下さいな」


 そう言い捨てたレリスが再び姿を消して、ゴルマの死角に現れて剣を一閃すると先ほどと同じように斬りつけた箇所から鮮血が飛び散った。

 どうして急にレリスの攻撃が通るようになったんだ?

 もしかして魔法剣を使ったのかと思ったけど、魔法剣の発動には時間が掛かることを俺は知っている。

 となると考えられる要素は一つしかないな……。


「はあっ!!」

「うがああぁあぁぁ!!」


 よく見ると、ゴルマを斬りつけたレリスの剣が赤く揺らめいている。

 やはりそうだ……レリスは今朱雀の力を剣に乗せてるんだ!

 朱雀の加護を受けたレリスは、朱雀の持つ炎の力を操れるようになった。

 その力は強大で、ダンジョンの最下層にいる強力な魔物にすら致命傷を与えられるレベルだ。

 扱いが難しく相応の魔力を消費する力らしいが、レリスは魔法剣を使う要領で朱雀の力を剣に乗せることでそれらの問題を自力でクリアした。

 レリス曰く朱雀の意志も手伝い普通に魔法剣を使うよりも発動が早く、魔法剣よりも威力が出るとのこと。

 朱雀の力を宿したレリスの剣の一撃は、文字通り必殺級の威力となるのだ。

 攻撃が通じないと思わせておいてからの、この一撃だ……さぞ効いていることだろうな。


『なかなか頑丈な奴ね?レリス、もうちょっと出力上げる?』

「いえ、これ以上出力を上げるとわたくしの魔力と剣が持ちませんので、今のままの威力を保ちましょう」

『了解よ!私の力で可能な限り魔力消費を抑えるからどんどん行っちゃいましょう!』

「頼りにしてますわよ朱雀」

「だっ……誰と話してやがるてめえは!?」


 どうやらゴルマには朱雀の声は聞こえないようだ。

 レリスが激高するゴルマをスピードでかく乱しながら朱雀の力を乗せた剣を確実に当てていく。

 しかしあれだけレリスの剣を受けて立ってられるのは凄いな……敵ながら感心してしまう。


「ぐふっ!!?」


 ひと際強烈な一撃が入ったらしく、ゴルマがよろめいた。


「これで……っ!!」


 そんなゴルマの目の前にレリスが現れて、無防備なゴルマに向けて剣を一閃する。


「があああぁぁぁああぁぁ!!!!!」


 レリスの剣が深く入り、胸から鮮血を噴き出しながらゴルマがついに音を立てて地面に仰向けに倒れた。

 しばらくゴルマを警戒して様子を伺っていたレリスだったが、起き上がってこないのを確認し大きく息を吐きだしてこちらに振り返った。


「ふう……シューイチ様、終わりましたわ」

「お疲れさん、レリス」


 ところどころ危ない場面もあったが、終わってみればレリスの圧勝だったな。

 やっぱり神獣の加護って凄いんだな……俺も全裸で無敵になるとかいう頓珍漢な能力じゃなくてこういうわかりやすい能力が欲しかった。


「さすがに疲れましたわ……魔力もかなり消費しましたし」


 言いながらレリスが額の汗をぬぐう。

 とりあえずレリスには休んでてもらおう……さて。


「フル・プロテクション!」


 エナの魔法を唱える声が聞こえたのでそちらに目を向けると、テレアへ向けて放ったコランズの暗器をバリアで防ぐ光景が繰り広げられていた。


「―――厄介ですね」


 抑揚のない声で呟いたコランズが、エナに向けて杭を数本投げつけた。


「させないよ!」


 だがその杭はエナの前に立ったテレアによって全てをはたき落とされた。

 そのままコランズは続けざまに袖から細長い刃のようなものを数本取り出しテレアに投擲する。


「プロテクション!」


 だがそれはエナの作り出した防御壁によって全てを防がれて、地面に転がった。


「―――埒があきませんね。どうやらゴルマさんも倒されてしまったようですし引き際かもしれませんね」

「逃がしませんよ!」


 言いながらエナがコランズに向けて魔法を放とうと手を向ける。


「―――テレアさんと言いましたね?今は引きますけどあなたとは絶対に決着を着けますよ?」

「……」


 コランズの言葉にテレアは無言で返す。


「―――今から僕は逃げますけど、ただで逃げるわけにはいきません。与えられた目的はしっかりと達成します」


 そう言ったコランズが何やら黒い球を取り出すと、それを地面に叩きつけた。

 その瞬間、耳をつんざく高音と目を開けていられないほどの閃光が迸った。


「うおっ!?」

「きゃあ!!」


 全員が耳を塞ぎ目を閉じてしまい、動きを封じられてしまった。

 音が止み光が収まったらしく、目を開けるとコランズと倒れていたゴルマがいなくなっていた。

 どうやら逃亡を許してしまったようだ。


「たっ……大変じゃ!!」


 とそこへティアの慌てたような声が聞こえてきたので、そちらへ振り替える。


「フリルが……フリルがいないのじゃ!!」


 玄武の結界でティアとスチカを守っていたはずのフリルの姿が影も形もなくなっていた。

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