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自衛隊転移ー衛るべきものー  作者: GoGoGorilla
第七章

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エピローグ:移ろいゆくもの

こちらで最終話となります。

“禁足地”として封じられた間も、白峰しらみね駐屯地と小谷おだにの村との交流は絶えることはなかった。


外部へ情報が漏れぬよう慎重を極めたが、人の行き来は絶えなかった。そうした交流のなかで、村から駐屯地に嫁を迎える者が現れ、やがて新しい命が産声を上げた。そこに至るまでには、また数多の葛藤とドラマが繰り広げられたが、それはまた別のお話。


そうして生まれた子供たちもやがて成長し、世代は着実に交代していく。世代は変わっても、駐屯地に残る“未来の残滓”を、歴史に影響を与えぬよう順次確実に抹消していくという使命は、次の世代、また次の世代へと厳かに託されていった。


こうして、かつての異質な軍事拠点は、時の流れに削られ、少しずつ畑と住居が調和する、その時代に即した平凡な集落へと姿を変えていった。 北領主も代を重ねたが、それでも駐屯地との奇妙な関係は続いた。だが、治外法権的な自治は徐々に形骸化し、この地がなぜ“禁足地”とされたのか、その理由を正確に語れる者は減っていく。やがて、駐屯地から未来の遺構が消え去ると、禁足地として扱う理由も、特別な自治を維持する意味も失われた。


禁足の扱いは解除され、白峰は普通の村として、時代の流れの中に溶け込んでいった。



――数百年後。


第二次世界大戦が終結し、この地にあった帝国陸軍白峰基地は、連合国軍に接収されることになった。北の山頂には巨大な電波塔建設の計画が持ち上がり、かつての兵舎周辺では大規模な整地作業が進められた。


ところが、重機が土を返すたび、奇妙なものが顔を出した。 緑青ろくしょうの浮いた古い空薬莢。錆びた鉄が混じる風化の進んだコンクリート片。米軍による科学調査の結果、それらはどう考えても旧日本陸軍時代のものではなく、驚くべきことに“数百年前のもの”であると結論づけられた。そんな時代に、薬莢も鉄筋コンクリートもあったはずがない。調査員たちは頭を抱えた。

だが、この地には古くから、ある“怪しい伝承”が残されていた。


この地はかつて、一度足を踏み入れれば神隠しに遭い、二度と帰れぬ呪われた地だったため、時の領主が長らく禁足地に定めていたという。しかし、あまりにも被害が収まらないため、やがて北の山頂には人柱が埋められ、その上に石碑を立ててこれを鎮めた——そう語られていた。


気味悪さを拭えなかった米軍は、結局この地の使用を断念し、日本へ返還した。

そして数年後、基地は警察予備隊、続いて自衛隊の駐屯地として転用されていった。



白い朝霧に包まれた白峰の地に起床ラッパが鳴り響くと、駐屯地は徐々に活気を帯びていく。


朝霧が晴れた頃、訓練場には若々しい号令が響き、隊員たちが日本の平和を守るため、訓練に明け暮れる姿があった。


かつて、あの人々が感じたものと同じ山風が吹き、同じ空がどこまでも広がっている。


北の山頂には、今も無垢な岩が一つ、かつて仲間たちが誓いを立てたあの日と同じ場所に鎮座していた。だが、誰が、何のために立てたものなのか、現代にその記録は残っていない。口伝くでんでは、この地の呪いを鎮めるための物とも、かつてあった山の神を祀る祠の“ご本尊”とも、あるいは旅人を守る“道祖神どうそじん”とも語り継がれているが、その真相は誰にもわからない。


時代は重なり、人は巡る。


山頂の岩は、今日もこの地を、ただ静かに見守っていた。



-完-

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。


これまでは読者として小説を楽しんでばかりでしたが、自分でも一度書いてみよう、と思い立ち、今回初めて筆を執りました。

いざ始めてみると、ストーリーの組み立てや言葉選び一つとっても想像以上に難しく、さらには物語が進むにつれて前後の設定に矛盾が出てしまい、慌てて書き直すことも多々ありました。作家の皆さんがどれほどの熱量と苦労で物語を紡いでいるのか、その一端に触れることができ、非常に実りある経験となりました。


また気が向いたら、今回の反省を活かして、新しい物語を書いてみたいと思います。

その時は、またお付き合いいただければ幸いです。

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