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狂者達の物語  作者: 下南
一章 始まりそして脱走
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4話 訓練

「さっ、着いたよ」


扉の前で立ち止まって言った。デジャヴ...

そして扉を開けて私を押し込んで扉を閉めた。


ガチャリ


「え?」


明らかに鍵をかける音がした。

部屋は真っ暗なため広さが確認できない。

でも一つだけ分かる事がある...


“何かいる!”


人...ではない、獣...でもない。

でも怖いという気持ちは不思議と湧かなかった。


“戦いたい”


この気持ちだけが湧いてきた。


「ははっ!何考えてるんだろ...」


自分の思考に笑うしかなかった。

戦うにしたって武器がない。武器があっても使った事がない。

どうやって戦うと?

肉弾戦?格闘なんてやった事もない。


そんなことを考えていると明かりがついた。

突然ついたから目の前が真っ白になるが、直ぐに慣れて辺りが見えるようになった。

そして最も視界に入ったのは檻に入った6つ?匹?体?の黒い何かだった。


「さて...咲希さきもといhiroki(ヒロキ)、訓練だ。」


距離にして約100メートル。向こう側の壁のガラス張りになっている所に奴はいた。

30秒も経ってないよ?移動速度速くない?

というツッコミは置いといて...


hiroki(ヒロキ)?」


奴が呼んだ名前に首を傾げる。


「そうだ。hidden(隠れた) rowdy(乱暴者)略してhiro。そしてki番目だからhiroki(ヒロキ)だ。」

「女の子にヒロキって...」

「順番だから仕方ない。訓練について説明するぞ。と言ってもそこにいる失敗作を処理するだけだけどな。」

「失敗作?」

「そうだ。hiroaからhirokaの事だ。」


そうらしいので黒い塊に目を向ける。

これらもベンタブラック級の黒さだから立体感が一切分からない。

何でもかんでも黒くすれば良い訳ではない気がする。


それにしても...hiroaからhiroka...つまりa,i,u,e,o,ka番体ってこと...失敗していたら自分もあっち側だったということを考えると震えが止まらない。


「あぁ忘れてた。武器はこれだ」


奴がそう言うと同時に私の少し前の床が開き鞘に入った刀と鞘をつけるベルトが出てくる。

ハイテク...


「それがお前の今後の武器だ。」


奴がそう言うが...


「待って!私、刀なんて触った事ない」


もちろんそう訴えかける。


「問題ない。ちゃんと使える。」


そう言い奥に引っ込んで行った。


「...どうにでもなれ!!」


ベルトを取り腰に巻いてから鞘をベルトに付ける。

そして刀を抜いた。

そうして両手で構える。

扱い方どころか触った事もないが体が『こうである』と言って自然に動いた。


刀身が80センチメートルほど。柄が20センチメートルほどと割と長い。

確か刀は普通全長約95センチメートルだったはず...まあいっか。

刀身は水色でかなり綺麗である。何の鉱石を使っているのだろうか?

名前は...なさそうだし『紺碧こんぺきの剣』でいっか。

え?『水色なのに紺碧?』だって?鞘が紺色だからいいの。

それにしてもいつ檻は開くのだろうか...構えたままはなんか恥ずかしい。



1分経過...



「ゴメンゴメン。檻を解放するのを忘れていたよ」


は?ふざけるなよ?いっぺん死んでみる?

おっとしまった、つい汚い言葉が出てしまった。


「死ね...」

「怖いこと言うね...忘れていたんだから許してよ。」


一分だよ?

一分構えていたんだよ?

60分の1時間だよ?

60秒だよ?

一分って意外と長いんだよ?

生き物を殺す覚悟はできたけど...



「まあまあ檻を開けるから許してちょ」


うざい...


ガチャ


檻の開く音がした。それと同時に黒い奴らが襲い掛かってきた。


「速い...でも追える」


一体目の突進を一歩左によけてから、刀を薙ぎ、上半身と下半身で分断する。

人の形を留めていないので、上半身と下半身かはわからないが...


「こいつらが脆いのか刀が斬れすぎているのか...」


三体が左右後方と同時に攻撃してくるが、


「遅い...」


回転斬りで全部斬り伏せる。

すると直ぐに頭上からもう一体が攻撃を仕掛けてくる。


(三段構えはないんじゃないの?)


咄嗟に左腕を突き出して防御をとる。

ダメージはない...防御力高くない?

けれど左足が悲鳴をあげている。右足は問題ない...


(黒くなっている所は丈夫になってる?)


そんなことを考えながらも右手に持った刀で心臓を貫き貫通させる。

それだけで力なく崩れ落ちた。


「ラスト一体」


両手で構える。


静寂


どちらも動かない。


刹那


双方の姿が消える。


「せいっ!!」


相手の拳が届く寸前に袈裟で切り落とす。


「ふう...これで終わりと」


刀についた血を払い落としてから鞘に戻す。


「流石元人間って言ったところかな。」


連携をしてくるとは思っていなかったが故の感想である。


「それにしても...酷い...」


周囲を見回してそう言う。

血だまりに切断された内臓...かなりグロい

けれどももっと酷いものがあった。


「これを見ても何も感じないのか...」


それは自分の変化だ。

少し前までは動物の死骸ですら見れなかったのにこのありさまである。


「それにしても...どうしよ」


自分の腕を見る。返り血が酷い...


「お疲れ様。」


入口で奴がそう言ってきた。


「風呂はここを出て右の突き当りにあるから入ってくるといいよ。」


そう言い部屋を出て行った。


「お風呂あるんだ...」


取り敢えず風呂に行くことにした。



「いやはや...ここまでとはね。これから面白くなりそうだ...」



私が部屋を出て行った後に奴は惨状を見てそう呟いた

読んでくれてありがとうございます。

良ければ感想、評価をしてくれると嬉しいです。

あと誤字脱字報告もお願いします。


今更ですが、一章ではまだ異世界にいきません。二章からです。

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